利用者Xは、消費者金融
Yとの間で10年間にわたり
取引を続けてきた。約定
債務は200万円近くあった。
その取引経過を利息
制限法に照らして引き
直すと過払金が2000万円
近く発生する。
(※ただし、この時期には
貸金業法を事実上無効化
した最高裁判例も、消費者
金融に取引履歴開示義務
あることを明言した最高裁
判例もまだ存在しないので
消費者金融は取引履歴の
開示自体を徹底抗戦して
いたことはメモしておこう)。
Xは弁護士Zに債務整理を
依頼し、X代理人ZはYとの間で
2003/8/25に残債務20万円を
支払って終わりとする清算
条項を付した和解契約を
交わした。この和解には
確定効がある(民法696条)。
実は2000万円の過払金
返還請求権があるのに
その事実をYに秘匿された
まま、逆に20万円支払う
内容の和解を結ばされて
しまった。こんな和解を
有効とするのが果たして
正義なのか
これはXそしてZとは別の
弁護士Aのそんな思いが
露呈した裁判である。
2011/9/9東京高裁
判タ1370号179頁では
Xの過払金請求権は
和解の確定効により
消滅したので、Xは
諦めなさいと説示した。
同様の結論は東京地裁
2005/10/21判タ1224号
263頁・大阪高裁2010/6/17
判タ1343号144頁があるが、
同時に、これを認めない
裁判例(東京簡裁2009/11/26
兵庫県弁HP,東京地裁
1999/9/28判タ1085号232頁、
東京地裁2004/11/29消費者
法ニュース62号63頁)もまた
存在し、最高裁が統一見解を
示さない限り、下級審が
入り乱れるだけである。
それぞれの理由づけは
各自裁判例にあたって
ほしいが、個人的には
出そうと思えばすぐ出せる
証拠(ただし、和解当時は
提出義務までは最高裁で
命じられていなかった)を
素直に提出していない消費者
金融が、いくら消費者に
弁護士がついているとしても
武器(証拠)を有しない
弁護士は消費者と同程度の
無力な存在ともいえるので
(これは実感から)、相手の
武器がないことに乗じて
取得した和解の効力を何らの
留保なく肯定することには
どうしても違和感が拭えず、
最高裁における是正を
期待するのである
ろぼっと軽ジK