契約締結上の過失の根拠条文 | 福岡若手弁護士のblog

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2011/4/22最高裁判タ1348号87頁です。

最高裁は、契約締結に先立つ、信義則

上の説明義務違反による損害賠償

責任を問う際には、不法行為責任は

あっても契約上の債務不履行責任と

いう構成はとらないと明言しました。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110422154455.pdf

 契約締結上の過失の根拠条文の中で

不法行為説ではなく債務不履行説に

立脚することの差異として①消滅時効

②立証責任分配があげられており

(損害額についてはいずれにせよ

履行利益ではなく信頼利益にとどまると

解するのが判例通説でした)、今回の

最高裁のスタンスに立つならば、従前

よりも被害者には少し不利になったと

考えてもよいでしょう。

 信義則上の保護義務という言葉

からは債務不履行構成がシックリ

くる部分もあったのですが、学者の

ようなレトリックでその理屈を排斥

しました。すると、信義則上の保護

義務に違反することは民法709条の

違法性を具備するという言い方を

するんでしょうね。

『一方当事者が信義則上の説明

義務に違反したために、相手方が

本来であれば締結しなかったはずの

契約を締結するに至り、損害を

被った場合には、後に締結された

契約は、上記説明義務の違反に

よって生じた結果と位置付けられる

のであって、上記説明義務をもって

上記契約に基づいて生じた義務で

あるということは、それを契約上の

本来的な債務というか付随義務と

いうかにかかわらず、一種の背理で

ある。』

『契約締結の準備段階においても、

信義則が当事者の法律関係を

規律し、信義則上の義務が発生

するからといって、その義務が

当然にその後に締結された契約に

基づくものであるということには

ならない』

ろぼっと軽ジK