新民事訴訟法の10年 | 福岡若手弁護士のblog

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福岡県弁護士会HP委員会所属の弁護士4名によるBLOG
(ただしうち1名が圧倒的に多いですが、だんだん若手じゃなくなってるし)

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一日一冊!の2009/3/8

ブログ、弁護士ラベンダー

読書日記の2009/3/5

ブログで、出色の出来の

座談会と大変褒められて

いた記事を、ようやく

読み終えました疲れたぁ;;

判タ1286号掲載です。

 争点整理の段階での

口頭での議論を活発化

させるためには、そこでの

発言で後日揚げ足取りを

しない(例:自白を成立

させない)制度的保障が

必要だとか、控訴審で

記録を読むと裁判官の

補充尋問がほとんど

なされていないとか、

証拠の吟味検討作業が

薄いとか、ベテランの

視点からの若手への

叱咤激励を感じました。

たしかに控訴率も取消率も

徐々に上がっていると

いう数字は、一審手続が

当事者の納得という点でも

希薄化していることを

示しているように思います。

 私が座談会に並んで

読むのをお勧めする記事は、

同じ号の北尾哲郎弁護士に

よる、法曹養成制度の改変と

絡めての民事訴訟に発現

している変容を指摘したモノです。

1、弁護士の党派性(普遍中立に

対比する言葉か)は強まる。

 ロースクール卒業生は多額の

出費を余儀なくされて実務家に

なる。貸与制に移管すればなお

借金の額は増加する。

 自らの収入確保をさらにさらに

重視しなければならなくなる。

2、法曹人口の激増の中で、

競争に打ち勝つためには、

依頼者の利益を最大限主張して

依頼者の欲望を満足させる

方法で依頼者を確保し続けて

いかなければ生き残れない。

いきおい、生半可な妥協は

できなくなる。

3、最近の若い法律家の

正義感が変わっている。

自己責任を強調したり、

ゲーム的感覚を持つように

なり、正しい者を勝たせる

ために裁判所が後見的に

手助けするのはおかしい、

当事者がきちんと対応しない

ために負けるのは当然で

あるという感覚が出てきて

いる(ある裁判官の感想、

ジュリスト1367号106頁)。

4、大手法律事務所では

エクスターンシップやサマー

クラークを活用して、優秀な

者を前期修習すら始まる

前にリクルートしている。

他方、司法研修所が正式に

修習生に出会うのは後期

修習まで機会がなくなった。

勢い、ロースクールに派遣

している裁判官教官を介して

優秀な学生の情報を選別

する青田買いに、今後は

裁判所も走らざるを得ない。

1~3は私も実感しつつ

ありますが、4のリクルーターの

視点は初耳でした。全て

見通しの出鱈目だった

司法試験改革に由来する

現象でして、今後も緩和

する見込はなさそうです。

ろぼっと軽ジK