都市伝説。
友達の友達、知人の知人、そのような間柄で伝播する真偽が定かでない噂話。
近いようでありながらも、実のところ全くの他人、しかしやはり身近に感じてしまう人物の体験談は、ときに怪異を含み、魅力的な物語として広がっていく。
それは事実でなくてよい、むしろ事実であってはならない。
真実は誰も知らない闇の中だけに存在するべきなのだ。
しかし、その闇に足を踏み入れてしまったとしたら、闇が足元まで広まってきたとしたら……
ここにひとつのサイトがある『FOAF都市伝説』
一見すると何の変哲もない、都市伝説を集め、それに説明や考察を加えたただけのサイト。
すごく大きくもなければとても小さいというわけでもない、どこにでもあるようなサイト。
しかし、こんなサイトにもひとつの都市伝説があるという。
「都市伝説に遭遇した時、都市伝説が現実になったとき、このサイトに救援コメントを書けば助けを求めることができる」そんなばかげた噂話。
そのコメントには何者かからの返信が来るというが、それが何ものなのか、どうやって助けるか、そんなこともわからない出来の悪い話。
本気の救援コメントを書いた人がいるのかもわからない、そして助けられた人がいるのかどうかもわからない、いかにも都市伝説的な話。
それに対し「返信コメントは幽霊が書いたものだ」だとか「政府が監視している」など、出来の悪い話にお似合いの派生した話も作られている。
そんな中で、どんなに話に様々な要素が付加されてもなぜか変わらないものがある。
それは返信コメントを書く人物のハンドルネームは常に同じだということ。
どんな話の中でも語られるそのハンドルネームは
『F』