こんにちは!N.Sです。


ドラえもんの映画の公開が迫ってきていますね。
今年はメンバー10人くらいの団体さんで行くので本当に楽しみです。

新ドラになってからもう5つの映画が公開されましたが、そのBGMを作ってらっしゃるのは沢田完さんです。そして、各映画のBGMを集めたCDが発売されています。(発売されたのは去年の4月です汗)
それが、今回紹介する「Doraemon Sound Track History 2 ドラえもん映画音楽集 Music by 沢田完」です。

京大藤子F不二雄同好会のブログ-soundtrackhistory2


毎度のことながら今更感のある記事ですが、僕は昨年12月に買って以来結構な頻度で聴いていて、この魅力にすっかりハマってしまいました。ドラファンの間で評判のCDですので、是非購入してみてはいかかでしょうか?

ドラえもん映画を、BGMという違った視点でも楽しむことができる、とても良いCDだと思います。


それでは、まず「のび太の人魚大海戦」から。
---

更新はゆっくりしていく予定ですので、気長にお待ちください笑
また、CDに付いている解説の文章を参考にしました。以下に使う音楽用語が違っていたりすると思いますが、もし重大な間違いなどございましたらコメント欄にてご指摘いただけると幸いです。

---

~全体として~
・この映画では
 ①ソフィアのテーマ
 ②人魚族のテーマ
 ③怪魚族のテーマ
 があります。それぞれが各場面で効果的に使われています。
 
・「五音音階=ペンタトニック・スケール」を導入したメロディーづくりがなされています。
 日本では「ヨナ抜き音階」や「琉球音階」が有名ですね。

・ピアノが効果的に使われています。
 ピアノの美しい音色で、メロディーが引き立っているようにも感じられます。


DISC1

1,プロローグ~剣の伝説~
物語の開始。アーーという声で、高貴な印象を受ける。映画では幾何学模様の絵柄が出てくる場面。(あの模様はなんだったんだろう?)
中盤からは、二胡による人魚族のテーマ。中国風ですね。

2,スネ夫とパラオの写真
日常の曲。ポワ~ンとしててかったるいメロディーが面白い。
フレーズの最後の2音が、それまでの流れからずれて1オクターブ上がっていて、それにより新鮮さが出ているように思います。

3,のび太とドラえもん
爽やかで、何かが始まる予感がする曲。この映画で二番目に好きな曲です。
Bassの動きが心地良い。割と長い間同じフレーズが続くのですが、飽きないです。終わり方も素敵。

4,深夜の町が海底に!
海!のイメージたっぷりの曲。トランペットのタラララララララララーとか、バックのピチカート(弦をはじく奏法)かハープか何かのパパパパンッとかいうの(←聴けば多分わかります汗)は、恐らく、海のアブクのイメージかと思います。
舞台が海で全体のトーンが暗めになる為、音楽は暗くならないように作曲されているようで、この曲もその例に当たるでしょう。
後半の、サメに襲われるシーンの曲は迫り来る感じでスリル満点です。

5,ソフィアとともだち
ソフィアのテーマです。この映画の中で一番好きなメロディーです。
ソフィアの明るさ、強さ等がとてもよく表現されています。ピアノもいい味だしてます。
この曲には五音音階が使われていて、今回はその内の「ヨナ抜き音階」です。
普通みなさんが耳にする音楽はたいてい七音音階ですね。ドレミファソラシが主です。
五音音階とは、5つの音を主に使った旋律で、いくつか種類があるのですが、
分かりやすい例だと「琉球音階=ドミファソシ」があります。レとラが抜けています。「ニロ抜き音階」とも言います。
今回のソフィアのテーマは「ヨナ抜き音階=ドレミソラ」です。4番目と7番目、つまりファとシが抜けています。この音階は明治以前から歌われる童謡、演歌、スコットランド民謡などによく用いられています。桃太郎(ソラソソミソソミドレ…)とか浦島太郎(ソソドレレミソソミドレ…)の曲を思い出してください。見事にファとシが抜けています。
で、長くなりましたが、ソフィアのテーマもヨナ抜き音階が使われています。所々シがあったりしますがそれはアクセントを兼ねていれているのだと思われます。
この曲のどこか懐かしい印象は、音階から来ているのですね。
*追記(2011.3.14)*
ソフィアのテーマに使われている音階ですが、旋律を上がる時はヨナ抜き音階「ドレミソラド↑」なんですが下る時は「ドシソミレド↓」と、敢えて言うなら「ヨロ抜き音階」になっていることに、記事を書いたあと気づきました。
というわけで、このソフィアのテーマは上りと下りで音階の種類が違います(どちらも五音音階にはかわりないが)。アクセントとしてシが入っているわけではありませんでした。


6,アクア星の思い出
調の変化したソフィアのテーマ。どっちかというとこっちのが好みですね。
キラキラした印象がするので。

7,友だちになろう
ソフィアのテーマの後半部分。
やっぱりピアノが良いです。突き抜けるような明るさがあります。

8,ブイキンと怪魚族
怪魚族のテーマ。ゆっくりな三連符のやつがそうだと思います。これは、怖いシーンの曲に大抵使われています。
後半のトロンボーンとホルンのグリッサンドが迫力ありますね。ここの、楽器はよく分からないんですがウロコとかヒレっぽい音があって、それが深海を彷彿とさせます。

9,伝説の水中都市
再び人魚族のテーマ。二胡で。人魚族の今までの歴史や文化のイメージがたっぷり詰まった曲。
このテーマも何かしらの五音音階が使われているみたいなんですが…七音音階と混ざっているので分かりません。
後半部の、何か始まるようなトランペットのメロディーが爽やかです。

10,海へ!~巨大ウツボの攻撃
躍動的たっぷり。
各映画にはこの手の曲がそれぞれに一つはある気がするので、これを「躍動テーマ」と呼ぶことにします笑
途中から怪魚族のテーマ。巨大ウツボは怪魚族の仕業だおということが音楽からも分かりますね。
さらにその後は、怖いけどテンポの良い曲です。和太鼓?がいいですね。

11,捕らえられたしずかちゃん
メロディーはスケールで動きますが、バックでは怪魚族のテーマです。

12,総攻撃
名前の割に、攻撃の「準備」的な曲。
オドロオドロしくて怖いです。

13,予言
北インドの「バイラヴ・タート」という音階でしょうか?違うかもしれません。
ドレ♭ミファソラ♭シ です。これは五音音階ではありませんね…
これを聴くと、異国情緒漂う感じがします。

14,剣の力
シリアスな感じ。白熱のバトル!?
所々にグリッサンドが入れてあるのは、やはり海のイメージを出すためでしょうか。

15,あきらめないで!
諦めかけるソフィアにのび太が励ましの言葉を投げかけます。(映画ではここしかのび太の活躍する場面がないような…)ここにソフィアのテーマ豪華ver。
後半、これからやるぞ!という感じの曲+怪魚族のテーマ。

16,逆転の勝利!~奇跡の海
10の躍動テーマ再び。
ゆっくりなところにもフルート、グロッケン、クラリネットなどで躍動テーマが挿入されています。
そして!
感極まって人魚族のテーマ。壮大ですね。オブリガートがグッと来ます。沢田さんの作るオブリガートはどの曲でも本当に抜群に良い!
続いて自然な流れでソフィアのテーマ、オーケストラver。
沢田さんの音楽のすごいところの一つに、いろんなテーマが違和感なく混ざり合って一つになり、心に響くことが挙げられると思います。

---

というわけで、人魚大海戦のBGMについての考察を終えたいと思います。
次回は「新・のび太の宇宙開拓史」です。

記:N.S