■リッツカールトンホテルのサービスを真似してもうまくいかない
これから、「日本薬局協励会」での講演をします。
今、待機中。
1時間くらいあるから、ブログを書きます。
マネできないものをマネしてもしょうがない。
感動はマニュアルじゃ伝えられない。
そういう記事です。
基本的にクレームは聞かないほうがいいですよ。
「クレームはお客さまからのラブレターだ」なんて、嘘です。
聞かなくていいクレームがほとんどです。
ある観光ホテルが以前テレビ番組に取り上げられたときの話です。
そこで、こういうシーンがありました。
お客さんがうがい薬が欲しいと言ったので、仲居さんが在庫している薬を持っていった。
そうしたら、「それはいつも使っているメーカーじゃない」。
そう言われた仲居さん、薬屋まで走っていって、そのメーカーの薬を買ってきた、という話です。
これはやってはいけないこと。
いつも利用してくれている、「おなじみさん」だったら、それはいいかもしれません。
でも、その番組のお客さまは、新規のお客さまでした。
そんなことをやっているから、サービス業がおかしくなっていくんです。
あんなことを従業員さんにやらせないほうがいい。
それもテレビで取材なんてさせちゃダメ。
あんな無理難題を言うお客さんがいっぱい来ちゃう。
普通のサービス業として間違っていると思う。
続けられるのならいいんですよ。
すべての客の要望を、すべてかなえる。
そういうコンセプトで、ずっと続けられるのなら、それは素晴らしいかもしれません。
でも、それを実現するためには、ものすごいコストがかかります。
たくさんの人を雇わなければなりません。
社員の教育にもお金がかかります。
そして、わがままなお客さまが増えていきます。
リッツカールトンのサービスの本がたくさん出ていますが、そういうのを参考にしていると、間違った方向にいきます。
もちろん、あれはあれですばらしいと思います。
でも、再現性がない。
真似しようにも真似できないんです。
そもそもターゲットが違うのですから。
全体の人口の、わずか5%のVIPが泊まるホテルだから、対象にしたサービスをしているわけです。
だいたい、ボクたち普通の人は、リッツに泊まっても、チェックインのときとチェックアウトのときにしか、ホテルの人には接しないことが多い。
だから、感動的なサービスや、過剰なサービスを受ける機会はほとんどないのです。
だから、普通のサービス業をしている観光ホテルが、リッツカールトンを目指してしまうと、おかしなことになっちゃいます。
大変な客ばかり増えてしまいます。
前述の観光ホテル。
うがい薬を買いに走っては、いけません。
お客さんに薬屋さんの場所を教えることです。
「うちにはありませんが、薬屋さんはここにありますから」って。
それで十分素晴らしいサービスです。
このホテルが放送された後、クレームの電話がたくさんかかってきたそうです。
「わたしが泊まったときには、ああいう対応をしてくれなかった」
そういう種類のクレームがほとんどだったそうです。
客のクレームを恐れたり、客のニーズを聞こうとしたりすると、おかしなことになってしまう。
そんなことをやってはいけないのです。
あなたのサービスをもう一度見直してみましょう。
どうしていいかがわからなかったら、ボクのブログ。
◆追記◆
編集前の記事に書いてあった「5000円のたこやき」はどうもジョークのようです。
すみません、リッツカールトンのみなさま。
ボクの記事を見て、リッツに問い合わせしてくださった人がいました。
<リッツの返答>
おつかいを頼んだら応じてくれる
料金の請求は『その商品の販売価格』が原則
特殊な商品で遠方でしか買えないものなどは交通費等の実費も加算
ただし、これらは必ず事前に説明する
購入後にはレシートも渡す
念のため、たこやきの件について関連部署すべてに聞き取りをしたがくだんのブログ記事のような事例は確認できなかった(宿泊者の氏名や利用日時が不明なため、明細との突合せはできず)