■ディープ・パープル大作戦 編集力が大切
レストランで、「ディープ・パープル大作戦」というのをやったことがありました。
これは速攻でつくって、速効が出た販促物です。
ボクはある横浜のレストランをつくったんですが、ある朝、ボクの事務所に店長のホリさんから電話がかかってきました。
事務所といっても、ボクは自宅と一緒だからさ、その当時もね。
電話に出たら
「●●●のホリです」
「ホリさん、どうもどうも、どうされましたか?」
「先生、今日ね、パシフィコ横浜ってあるでしょう? あそこでディープ・パープルのコンサートをやるんですよ」
「そういえば来日していましたね。30年ぶりでしたっけ?」
「そうなんですよ。ライブは9時頃終わるらしいですが、そのあと、うちのレストランの下の道を3000人ぐらいの人が15分ぐらいの間に通り過ぎるんです。そこで10%オフのチラシを配って、夜の新規客を集めようかと思うんですが、どう思いますか?」
ちょっと考えてくださいね。
ディープ・パープルのコンサートを終わったあとの人が、「10%オフです」と言って配っているチラシを受け取ると思います?
頭の中は「Smoke On The Water」ですからね。
もうもやもやしていますよ。
「ホリさん、今からすぐつくってレストランにファクスするから、それをコピーして声の大きいバイトの子に配らせてよ」
それで作ったのがこれです。
------------------------------------------------------
レストラン●●● オリジナルカクテル
その名も
ディープ・パープル 無料!
このチラシご持参下さい。
MM21の中で一番夜景のきれいなレストラン●●●では、伝説のバンド、ディープ・パープルの来日記念として、オリジナルカクテルを作りました。
このチラシをもってきていただくと、お料理にオリジナルカクテル「ディープ・パープル」が一杯無料でついてきます。
コンサートの感動の余韻に浸って下さい。
クイーンズスクエアat2nd、4階にあります。
パシフィコ横浜方面から歩いてくると、左側のシースルーエレベーターで4階です。
お待ちしております。
------------------------------------------------------
パシフィコ横浜というコンサート会場は港にあって、電車に乗って帰る人は必ずその店の前を通らないと帰れないんです。
店の手前でチラシをまくわけです。
どうなったかというと、バイトが2人で400枚、5分で配って、24組、58人も来店してくれた。
すごい効果です。
考えたら当然のことです。
ディープ・パープルのコンサートを聴き終えてすごく興奮しているときに、向こうのほうで若いヤツが「ディープ・パープル無料です!」と叫んでこれを配っていたら、何だろう? と思う。
そのとき一番興味のあることですからね。
ディープ・パープルというカクテルについては、ホリさんに
「何でもいいから紫色のカクテルをつくって、ディープ・パープルという名前をつけてね」
と言ったんです。
そんなのはもともとないから。
「ディープ・パープルだから、少し濃いめの紫色がいい。
「赤ワインにジンジャーエールを混ぜてもいいから」とか言った。
「でも、なんだかまずそう」と言ったら、ホリさんが「そんなまずいものはつくりません」と言って、ちゃんとおいしいカクテルをつくってくれました。
スゴイですよね、一番お客さんの興味のあることを訴えかけていく。
「そんなのは一日だけのことじゃないの? 一日だけの販促ではしょうがないよ」と思うかもしれない。
でも、そうじゃないんです。
パシフィコ横浜ではしょっちゅう、いろいろなコンサートをやっています。
毎回いろいろなものを考えられます。
この日、うちが「ディープ・パープル無料です」と言ってチラシを配っていたら、ライバルの他の店もやっぱり配り始めた。
でも、「10%オフでーす」と言っていた。
ダメだろうな、それじゃ。
「10%オフ」では誰も受け取ってくれません。
自分の商品と近所でのイベント、そして販促物。
「編集」できる想像力が大切なんです。