■機能の消費と関係性の消費
一般的に、消費不況のようになっています。
先日も、ある百貨店のえらいさんが言っていました。
「安いものしか売れない。回復の兆しは感じられない」
これはある意味正しい認識です。
一般的に考えると景気は当分、回復しないでしょう。
デフレ基調はすすむんじゃないだろうか。
若者たちはクルマを欲しくない。
クルマだったら、別に動けばいいんだから、軽自動車の中古で十分。
服だって、別にブランド品でなくてもいい。
ユニクロで十分。
いわゆる「機能消費」。
機能だけで買うということ。
クルマの機能は移動手段。
だったら移動できればいい。
服の機能は寒くなければいい。
だったらブランドでなくてもいい。
そういうこと、、
以前から何度も言っていますが、今の消費者は、もう「モノ」ではしあわせを得られない。
そういうことを知っているからです。
「モノ」はもう売れないってことです。
どんなにいい商品でも、
どんなにいい機能がたくさんついていても
どんなにステキなデザインでも
欲しくないものは、いらないのです。
伝わってますか?
2年ほど前の「NHKスペシャル」で、「メイド・イン・ジャパン」という番組をやっていました。
モノづくり日本の威信をかけて、大手電機メーカーが技術のすべてを投入した、デジタルTV受像機の開発物語でした。
1台の価格が100万円!
3TB(テラバイト)のハードディスク搭載。
8チャンネルの番組を、同時に26時間録画できる。
「中国や韓国のメーカーにはマネできない技術です」
とその大手電気メーカーの開発者は言っていました。
でもね・・・真似できるんですよ。
今はもう韓国や中国のメーカーが作っていますよ。
わずか2年で・・・
その製品が輸出され、研究されたらすぐに技術力は追いつきます。
そして、また中国や韓国のメーカーに安く作られまたまた、シェアを縮める結果になる。
こういうことをやっていても、景気は回復しません。
誤解を恐れずに言うと、「モノづくり」ばかりにこだわっていると国が滅びます。
モノにいくら新しい機能をつけても付加価値をつけても、売れないものは売れないのです。
だって、消費者は「モノ」は欲しくないんですから。
「モノ」や「サービス」から発想していると、結局、価格競争になって安くしなければ売れなくなるのです。
どんなにこだわったものでも、どんなにいい製品でも、欲しくないものは欲しくないのです。
付加価値をつけるのなら、モノ的な付加価値ではない「価値」。
スペックや機能の付加価値ではなく、コトや体験の付加価値をつけなくては、これからの時代、売れる商品なんて開発できません。
「コト」や「体験」・・・
それはさまざまな「関係性」から生まれるんです。
お客さまとの関係性。
世の中との関係性。
あなた自身との関係性。
関係性という観点で、あなたの商品や会社、お店を検証してみましょう。
これからは極端な「機能消費」に向かう流れと、この「関係性の消費」の流れのふたつに分かれていくのかもしれない。
そういうことです。