2010-11-12 15:00:00

100分の1を100回やってみる

テーマ:ゲーム学術

 ゲームデザインにおいて初心者の陥りやすい問題の1つとして、確率に対する誤った考え方があります。

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課題:RPGで、ある敵を倒したら稀にアイテムが手に入る。このアイテム、敵を100匹ほど倒したら少なくとも1回くらいは出て欲しいのだが、さてどのような設定にすればいいか?
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 最も安易な考え方が、「100回に1回起きればいいことなんだから、1/100の確率でアイテム出せばいいんじゃね?」というもの。これと同じ考え方をした人に向けて、このエントリーは書かれていますので「簡単な余事象の問題だな」と分かっている人は、この先読む価値ないです。

 計算式とかだと分からない人もいるので、実際にやってみましょう。
 1匹目の敵を倒した時、全体で100%の中からから1/100の人にはアイテムが出ます。100%の1/100は1%なので、1匹目を倒しても出なかった人は99%ということになります。ここまでは問題ないですね?
 2匹目は、全体の99%という残った人の中から、その1/100の人にアイテムが出ます。99%の1/100は約0.99%ですから、2回目もアイテムが出なかった人は全体の98.01%になるわけです。
 続いて3匹目は、全体の98.01%の人の1/100ですから0.98%の人に出て、3回とも出なかった人は97.03%となります。何だか1%くらいずつ減って行くので、いい感じがしますね。

 この要領で100匹倒すところまでを表にしてみるとこうなります。→こちら
さて、100匹目のところを見ると…アレ?

 約37%の人がまだアイテムに出会っていないことになっています。「そこまで多いとは思えないんだけど」という感想の原因は、一度出た人が2つ目3つ目を出している分が作りだした幻想であって、実際には不運な人がこんなにたくさん生まれてしまうのです。

 表を見直してみましょう。
 30匹目くらいで全体の1/4くらいの人に出ています。それほどブレた数字ではないですね。
 50匹目で約4割の人に出ています。誤差1割というところでしょうか、まだまだ許せる範囲かも知れません。
 75匹目くらいで残りが1/4くらいの気持ちで居たわけですが、実際には50%近くの人が残っています。これは明らかに誤算です。

 数学的にも、ある回数で1度くらい起こって欲しいことを、「ある回数分の1」の確率で設定してしまうと、ある回数に達したときにまだ起こっていない人の割合は、37%弱に収束されます。要するに、何とか分の1の確率の物を何とか回やっても起こらない人は、100人中36人強になるということ。
 RPGで遊んでいて、レアアイテムがいくらやっても出ない経験をした人は多いと思いますが、原因の多くは、それを作ったゲームデザイナーがこの考え方をしたからです。逆に、その人が出なかった分だけ、いくつも出ているラッキーな人を生んでいることにもなります。

 ここでMMORPGの開発者の中には「トレードでその辺は補完できるから大丈夫」と無関係に思っている人がいるかも知れませんが、同じような問題はMMOにもあります。例えば、クエストの討伐対象となる敵が、確率で出現するような場合ですね。
 「3分に1回出現する敵だから、30分くらい待てば必ず出るような設定は1/10の確率」では同様に30分後に討伐完了していない人が、約37%も居ることになります。
 先ほどの計算をさらに進めると、想定回数の2倍やったとしても約14%の人が残り、3倍やったとしてもまだ5%の人は残る計算になってしまうのです。MMORPGの常識が確率による管理を原則とする風潮にあるので、ちょっとプレイヤーとしてはブルー入っちゃいますね。

 では解決法は?これは以前に何かのインタービューで話したこともあるんだけど、遠藤が勝手に名前を付けてる「抽選箱方式」という方法。

 簡単に説明すると、それぞれの人専用に100本くじの入った箱を用意して、その中の1本が当たりという出現設定。黒ひげ危機一髪みたいなものですね。最初の1発目で当たっちゃう人もいるけど、必ず最後には当たる仕組みです。→こちら
 そして多分、「100回に1回起きればいいことなんだから、1/100の確率でアイテム出せばいいんじゃね?」と考えてた人の理想的なイメージがこれだったと思われます。果たしてどうですか?

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コメント

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17 ■迷った時は

プレイヤーに有利な方向に振りましょうね!

16 ■勉強になりました!

なるほどそうか、そうなんですね。

完全に初めの一回だけで考えしまっていたので勉強になりました。

視野を広くして考えれば似たようなミスも防げそう。

最近作り始めましたが、ゲーム作りは奥が深くて面白いですね。

15 ■それもアリ

 確率で対応しようとするなら、率を上げればいいってことになる。
 しかし単純に出ない方に注視して決めた場合、多くの人がプレイした感想は「出やすい」というものになり、運の悪い人は「こんなに出やすいのに何で俺だけ・・・」となってさらに凹むことになる。
 くじ引きとかで、みんなが1回目2回目で当たりを引いてるのに自分だけは10回引いても当たらなかったら詐欺だと思うのだな。

14 ■無題

確率だけで言いますと、0.99を百乗根すればいいので、4.50%(有効桁数三桁)に設定すればいい事になります。

13 ■良い方法です

 出現数を完全管理するには良いですね。今時は当たったらリセットの方がゆとり仕様ですが、リアルな商店街の福引でも同様の手法が使えると思いました。

12 ■別解

抽選箱方式と同じ結果ですが、プログラム的には違う実装方法。
1回目は1/100の確率で当たりにします。
1回目で外れたら2回目は1/99で当たりにします。
2回目も外れたら3回目は1/98で当たりにします。
このように外れるたびに確率の分母を1ずつ減らしていきます。
これは抽選箱方式と同じ確率で1回目の当たりが出ますが、
記憶場所として箱を100個用意する必要がありません。

また、抽選箱方式の場合、
例えば30回目で当たりが出た場合、31回目から100回目までは必ず外れになりますが、
こちらの方式では当たりが出たあとには分母に100を足してやれば、
131回目から200回目までの間に均等に2回目の当たりが出せます。

11 ■たまには真面目に・・・

MMOの中でクエスト対象となるMOBは早いリポップと分かりやすい事が大切だと思います。
その点今回RoBで実装されたエデールのクエは好感が持てました。

逆にメインで苦労したクエストが、サブが同じように無意味に長時間待たされると・・・

同じく、多くのクエストアイテムが必要となる場合も(リリスやクマクエ)ただでさえ狩場が少ないのに出る確率も低いって・・・

「自分が苦労したのにアップデートで他の人が楽にクリアした」と不満に思う人と
「運営さん、イイ修正いれたね~」とか
「俺らがやった頃はさ~」と苦笑交じりに手伝ってくれる人と・・・

まあ、いろんな考方があると思いますが、ドルはゲームなので「楽しめないと意味がないし、無理してまでやる事ではない」にのですが、クエストが苦痛でやる気がなくなるとか、リタイアする方が出るようでは運営さんの力量が問われて当然だと思います。

このまま続けるとまだまだ長くなってしまいますのでこの辺で^^;

長文失礼しました><

10 ■最近

すっかり朝も元気が(ry

9 ■何を今更

MMOドルアーガに関わっておきながら…
貴方は何を垂れ流したいのですか?

老害と認識して下さい。

8 ■さらにドンとくるのが

他にも失念してそうなのが対象の数(時間あたりの試行回数)ではないかと思います。

10分で行けるマップにに30匹出てくる雑魚敵だから、大して価値が無い、高確率で出る物を出す。(例えば1/100)
1時間かかるクエストに1匹しか居ない稀少な敵だから、相応しいレアな物を出す(例えば1/10000)

確かにドロップの確率は100倍だけど、単位時間あたりの試行回数で比較すると180倍
こんな感じで二重三重に確率を重ねる事で、ゴミ?超レア?という体感の確率にさらに大きな差が出るのもあります。

ちなみに前者は2時間で期待値97%。後者は100時間で期待値1%未満です。
(後者で期待値50%だと7000時間ほどになります。週休二日定時サラリーマンの年間労働時間の3年半分くらい)


これもゲームデザインやる人の想定外になりやすい物ではないかと思います。
特に最近はパラメータデザインとマップデザインを同じ人が監修するとは限りませんしね。

7 ■はじめまして

はじめてコメントさせていただきます.

普通に「1/100の確率でいいじゃん」と思っていたので目から鱗でした.

言われてみれば当たり前のことですが気にしていませんでした.

6 ■無題

最初の題だけ見て答えは、
「その敵が出現する確率を上げる」
かと思いました。\(^_^)/

5 ■コメントありがとう

 このエントリーは、表が載ってることからもわかるように、数式が出てくるだけで「わからない」になってしまうような人向けです。なので、わかっている人にはものすごくバカなものなんですが、普段気にすることでもないので「へぇ~」程度に思ってもらえれば・・・。

 優れたゲームデザインの基本は、人が面白いと感じるかどうか?に基準が置かれるべきなので、だすさんのブレスオブ~のようなやり方が本来歓迎されるべきです。しかし、何でも「数字に置き換えて比較する」ことで、正しく判断しようとする人も少なくありません。
 日本のゲームは、そんなさじ加減の細やかさに特徴があったのですが、今はそのために必要な基礎知識が軽視されがちで悲しくもあります。

4 ■ブレスオブ

ブレスオブファイアの人だったかな?

命中率50%って画面で表示してて
本当に50%判定だと
2連続でミスしたときにユーザーのストレスがたまるから
画面で50%って表示してても内部では70%。80%と徐々に確率を上げてるって

3 ■無題

>>以前に何かのインタービューで話したこともあるんだけど、

ここでおっしゃってますね。

あの“ゲームの神様”遠藤雅伸氏がMMORPGに言いたい放題。「ドルアーガの塔」からケータイゲームまで,存分にどうぞ
(4Gamer.net '09.2.16収録)
http://www.4gamer.net/games/029/G002948/20090430012/


どこへ行ってもくじびきですから、こういう知識が行き渡るといいなと思っています

2 ■100

「確率は単純に1/100でいいやー、でも100回やって1個も出ないのは癪だから、99回やって1個も出なかったら100回目には必ず出るようにしたらOKじゃん、俺天才ww」
って思った俺涙目のエントリでした。ためになります。

1 ■抽選箱方式という言葉は

MMOドルアーガの座談会だったかOFF会だったかで話されていたと記憶しています。
確かに、一か所で数時間粘る必要がある&再抽選までに時間がかかる場合は必要な処理だと感じたことを覚えています。
今まで自分がアイテムドロップに関して話すときには「独立試行」であることを中心に話していましたが、
今回このエントリーを読ませていただき、余事象の方が簡単に理解できるのだなと改めて感じました。
自分は単なる同人屋ですが、よいお話を読ませていただいたと思っています。
ありがとうございました。

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