【ゲーム制作の現場】企画を簡単に生み出す方法 | 遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」

【ゲーム制作の現場】企画を簡単に生み出す方法

 ゲームに限らず、企画というのは「テーマ」と「システム」が根幹となる。これは「主語」と「述語」に置き換えても構わないし、他の言葉に換えても問題ない。要するに「○○を××する」というのが骨子ということ。
 さて、いい企画者と言うのは、いかなる資質を持った人なのか? 打てば響くようにアイディアが出てくる人でも、細分化していくとやってることは実は凡人と変わらない。


「テーマを考える」
「システムを考える」
「テーマを吟味する」
「システムを吟味する」
「テーマとシステムの馴染み具合を考察する」
「全体として成立しているかどうか検証する」


 順番は人と場合によって様々だが、この6つを組み合わせて考えるのが基本になる。
 例えば、面白いシステムを思いついたので、売れるテーマと組み合わせてみた場合だと、「システム考案・吟味」を繰り返した結果が「面白いシステムを思いついた」になり、「テーマとシステムの馴染み」を考慮して「テーマ考案・吟味」の繰り返しを行い、良い物が出たら「成立を検証」して是非を決めるわけだ。

 いい企画者が凡人と異なるのは、考える時に引用するための知識・知恵の引き出しが多いこと。吟味するスピードが速いこと。そして没にする思い切りがいいことである。要するに経験豊富で、頭の回転が速く、臨機応変なのだが、誰にでも真似できるわけではない。
 では、いかにすればこれに匹敵する作業が簡単に行えるのか? 1つは「頭数でカバーする」もう1つは「量で補う」ことだ。


 ブレインストーミングという手法がある。詳しくは調べて貰うとして、まずは数人で集まって、最近イケてるテーマを無理にでもたくさん挙げて行く。何でも構わない。

「篤姫」
「ミニロト」
「ANA」
「タスポ」

とかいった具合。苦し紛れに変なのが出れば出るほど笑いも生まれ、発想の幅も広がる。

 次に上がったテーマとは関係なく、今度はイケてるシステムを挙げていく。

「動画配信」
「コーヒーアート」
「フリーハグ」
「給油」

とか、テーマと被ろうが何だろうが、とにかく挙げる。各々30分とか時間を決めて、フリーに思いついた人からか、順番で強制的にやるのが普通だ。お勧めは順番で強制的。

 色んなワードが出揃ったところで、テーマとシステムをランダムに組み合わせて、そこから何か喚起できないかをディスカッションする。

「篤姫がフリーハグ」

「ミニロトで給油」

「ANAで動画配信」

「タスポでコーヒーアート」


という感じ。何となくグッと来るものがあったら、それをキープしておいて、他の組み合わせもどんどん試してみる。キープが10個くらいたまったところで、そこから現実案としてイケそうなものを2~3個選び出す。大抵の場合は、満場一致で決まるが、企画としては賛否両論の方が「トンガった」ものになるので、単純な多数決で決めないこと。

 企画の面白さは、挙げられたテーマやシステムの量と、没にしたキープ企画の率で決まる。とにかく1つ思いついたところで、それ以外の可能性を考えるのをやめてしまうのが、ダメな企画者に共通のパターン。逆に、こうして出来たネタにビジュアルを付けて、人に伝わり安い文章を添えれば、結構まともは企画提案書に仕上がるものだ。


 この手法を普段から一人でコツコツと進めていき、企画を書き溜めることは良いトレーニングになる。慣れればジャッジも早くなるし、没をたくさん出すことも苦ではなくなるだろう。ついでに勉強もして知識を増やし、色んなことにトライして経験を積めば、いずれは良い企画者の仲間入りでできる…かも知れないね。