唯一、遠藤が台本に文句をつけた所 | 遠藤雅伸公式blog「ゲームの神様」

唯一、遠藤が台本に文句をつけた所

 アニメの実制作に関して、遠藤は全く手を出していない。強いて言えば、8話の予告を読んだくらいなんだけどね。そんな遠藤が、どうしても台本に納得できなくて、アフレコ現場で「これは世界観的におかしいし、あり得ないセリフだ!」と変えてもらった一言がある。


 それは12話のカーヤのセリフ


ありがとう、生きて!

 ニーバと共に幻の塔へのタラップを登り始めて言う「生きて!」。


 台本が届いて、サブタイトルが「YOU ZAPPED TO ...」だったのには驚いた、というかヲィヲィだったわけだが、

「2期に繋げることになって、やっぱり原作のファンとしては『ZAP』がキーワードになると思うんですよ」なるほど、それは納得できる。

「このサブタイは明らかに内容が分かってしまうので、放送終了まで出さない方針です」これも当然考えられることだね。


 で、最初に台本に書いてあった件のセリフこそが 「ZAP!」だったのだ。

 タイトルはいいよ。ゲームでもなじみあるだろうし、ネタとしても悪くない。でも、カーヤのセリフがこれってのはダメだろ! この時点での考えは次のよう


◆ニーバが自分のパーティーのメンバーを直接射るのは理解できるが、これではカーヤが自分の魔力で残り全員を奈落に落していることになる。カーヤにそこまでの力があるというのは許せるとしても、余りに黒くないか?


◆「ZAP」は英語で、ゲームなら許容範囲だが、アニメで構築した世界観が一言で台無し。今までの詠唱はちゃんとそれなりだったのに、なぜここに来て崩す! だから、○○○は最後に裏切るとか言われ(略)


◆こんなに強烈に突き放すのなら、なんでその前でカーヤはジルにキスする!ニーバのキスは完全に打算で割り切りるけど、「これから付き落すけど今までの御礼ね」だったら割に合わない


 アフレコ現場で折笠さんがリハーサルしていた時、見ていた遠藤が「このZAPだけはやっぱり納得できないんですけど」と切り出した。そうしたら、賀東さんも違和感を感じていたみたいで、監督も含めて「何かいい言葉ないですかね」となった。

「カーヤが真っ黒で終わるんじゃなくて、何らかの優しさを表現して欲しい。だとすると、これから始まる未知の死地から、苦労を共にしたメンバーを開放するためにZAPを起動する。その真意は、彼らに生きてくれってことだと思うので、『生き抜いて!』が本線なのでは?」

「それだとちょっとこぼれちゃうかな」

「んじゃ、『生きて!』かな」

「それなら入りますね」

というわけで、これ以上アーメイの二の舞を踏まずに皆の無事を確定させるために、カーヤはZAPを起動したわけです。なので、全員助かってます。それが塔のシステムですからね。