日本は先進国からの転落どころか、自ら好んで後進国の盟主になろうとしています。

単に恥ずかしいということではなくて、世界で戦う、儲けるチャンスを逸しているのです。

それどころか、日本が昔のやり方を変えずに遅れたままでいると、その業界がやがて淘汰されて、そのあとに外資がやってきます。

 

バタリーケージが先進諸国で家畜の福祉に合わないと認識される中、家畜の福祉向上に断固反対するという活動を日本政府は日本の税金を使って頑張っているわけです。

 

バタリーケージとはこういう飼い方のことです。日本政府と業界ではこの金網を止まり木と認識しているようですが。

 

これに絡んで起きた贈収賄事件の主役の一人が吉川元農相(写真下)です。

国際飼育基準案「反対を」 鶏卵業者、吉川元農相に依頼

 

鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」(広島県福山市)の前代表(87)が自民党衆院議員の吉川貴盛・元農林水産相(70)=北海道2区=に計500万円を提供した疑いがある問題で、前代表は現金を渡した際、日本の鶏の飼育環境に否定的な国際機関の基準案「農水省として反対意見を出してほしい」と依頼していたことが、アキタ社関係者などへの取材で分かった。その後に政府から反対意見が出され、基準案の内容が見直されている。(朝日新聞 2020/12/04)

 

私は農水省が呆れた提案をして、家畜の福祉向上を国際舞台でぶち壊していることを知っていましたが、まさか、賄賂までもらってこのような破廉恥な政治を行っているとは思ってもいませんでした。ムキー

 

この経緯は「PEACE (Put an End to Animal Cruelty and Exploitation)」で詳しく紹介(後述します)されています。

今国会でも、維新の串田議員が動物愛護法の犬猫飼養基準の数値規制や、家畜のアニマルエルフェアについて国会で質問を続けており動画も拝見しましたが、農水省や消費者庁の後ろ向きでやる気のない詭弁が酷かったです。環境省は今回は悪徳業者の排除を目指しており、やる気はあるようです。

 

 

農水省が冷酷で恥ずかしい提案をしている内容はこちらをご覧ください。下矢印

OIE採卵鶏福祉コード最終案に対する日本政府意見があまりに残酷( PEACE 2020年3月)

 

ちょっとだけ紹介しておきます。

「採卵若雌鶏と採卵鶏の移動を適切にサポートし」から「の移動」を削除、「正常な行動を可能に」を削除

 

「砂浴びを促進するために砕けやすい乾燥した敷料にアクセスすることが望ましい」を削除

 

「ついばみを促進する敷料へのアクセスが望ましい」を削除

 

「営巣の区域へのアクセスが望ましい」を削除

 

「止まり木へのアクセスが望ましい」を削除

 

削除、削除、削除。

 

つまり、鶏本来の行動を発現できるようにする定め(それこそ「ウェルフェア」なのですが!)は全て削除するように、日本政府は意見を出しました。

確かに日本の業界は全く対応できていないにしても、「望ましい」まで削除させようなんて、残酷過ぎませんか。何のためにウェルフェアコードをつくるのですか。

 

維新の串田議員はオリンピックに関連したアニマルウエルフェアも提言しています。

 

 

 

内向きで内弁慶、世界が野蛮で日本が高い倫理観を持っているというならそれでもよいですが、日本が野蛮で世界が高い倫理観で動こうとしている、それを必死で今の日本のレベルにまでみんなを引きずり降ろそうとする、それでは私たちは見捨てられますし負けます。

今回国際基準を後退させることに“成功”しましたが、猶予期間をもらったつもりで危機感を持って変わらなくては遅れた業界に将来はありません。

 

 

 

 

まあ、日本でもグローバル企業はこういう動きに合わせていこうとしているところがあります。

家畜は可哀そうだが、養鶏農家がやり方は古いが一生懸命やっているから応援する、そんなことではグローバル社会ではどうにもならないのです。生きている間どういう扱いを家畜にするのか、その倫理観が問われているのです。

私たち消費者も倫理的に消費をするということを考えていかなくてはいけないと思います。

 

 

2020年12月10日追記

タイムリーな記事が出ていましたので、紹介します。

 

『ニワトリの閉じ込め飼育続ける日本採卵農場で女性従業員が見た“残酷”』
2020/12/10 10:30  真下 周 共同通信社記者