「沖縄大使」 という存在。 | Okinawa通信 ⇒ 伊都国つうしん

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2010年1月。30年以上住んだ東京から引越し、沖縄生活をスタート。
その沖縄に10年暮らし、『Okinawa通信』を書きました。
が、さらに、2019年10月末に、ここ、福岡市西区・糸島近くの
「伊都国(いとこく)」の地に。

Okinawa通信112



●よくある芸能人の 「○○一日署長」 的な 「○○○大使」 ではなく、特命全権大使、がいるのです。


しかも、外務省のエース級の人が派遣されているとのこと、知りませんでした………。


元外務省主任分析官で作家の、佐藤優
(母親が久米島の人で、そのこともあって、沖縄についてたくさん書いている)と、
元沖縄県知事の大田昌秀 (この人も、久米島出身) の二人の著作、


『徹底討論 沖縄の未来』 という本を読みました。


密度の濃い本です。
沖縄戦の相当詳しい話、基地問題、沖縄独立論、など、さまざまなテーマで語られ、
しかし、(当然といえばそうかもしれませんが) 書名のような 「未来像」 は見えてきませんでした、
が、そのベースとして、 必要なこと………、二人とも異口同音に語っていたのは、

「沖縄の 『知力』 の増強」 でした。


そして、未来にむかうための、現時点での諸問題の背景が、かなり分析的に語られ、

私にはとても意義のある本でした。


その中に………初めて知った 「沖縄大使」 の話がありました。


沖縄県には、外務省の沖縄事務所というのがあるそうです。
その沖縄事務所に、諸外国の大使館にいる大使と同様、特命全権大使として、
沖縄大使がいる、とのことです。



どうして? なんのために??


ネット情報によると、

「沖縄の駐留米軍にかかわる事項などについての、沖縄県民の意見、要望を聞いて
 日本政府に伝えるとともに、米軍との連絡調整をすることが職責」


という目的のため、1997年に、橋本龍太郎首相が設けたポスト、
当時の沖縄県知事は、まさにこの本の、大田昌秀氏だった。


大田氏の話によると、
それまでは、米軍や米国に対して、言いたいことは直接どんなことでも伝えることができたが、
外務省からこの沖縄大使が派遣されて以来、それができにくくなった、とのこと。

 
「沖縄県民の意見、要望を聞いて日本政府に伝える」 よりは、
「米軍との連絡調整」 のほうが重点、
もっといえば、米軍の駐留を円滑にするために、設けられたポスト、という感じだ。



●初代 「沖縄大使」 以来、14 年間で8人が着任。


  8代目の樽井澄夫大使という人が、


「なぜ、沖縄大使が必要なのですか?」
というマスコミのインタビューに対して、こう答えているそうです。


「沖縄に特命全権大使が住んでいること自体が大事だと思います。
 私も沖縄問題を頭では理解していたつもりでしたが、こっちへ来ると、
 それがいかに薄っぺらな知識だったかということがよくわかりました。
 外務省本省に沖縄を正確に理解してもらう報告を書くためにも
 沖縄に暮らす必要があるのです」


しかし、あくまでも大使ですから、地元の要望を受けても、


「日米安保の運用や沖縄の米軍基地の運用にかかわるものについては
 東京(外務省本省)と在日米軍司令部がやりとりしたうえで、東京から指示がきます。
 指示があるまでは動きません」

 ………………。


この本の、佐藤優氏は、元外務省主任分析官ですから、
このあたりの事情は、当然、よく知っています。


佐藤氏によれば、
沖縄大使のほかにも、実は、国内に外務省から派遣されている大使がいます。


成田大使……これは、外国の要人たちが成田を訪れるときに、握手するのが仕事だそうです(笑)。
北海道大使……これは、時代とともに北海道東京間の距離がなくなり、廃止されたそうです。
大阪大使……これは関西の財界の関係、情報収集らしい、ですが、何のためなんでしょう。

で、


「率直にいいますと、北海道大使や成田大使は、外務省の人事抗争で敗れた人とか、
 性格に問題がある人とか、こういう人は他の大使では出せないから国内に置いておく……」

「大阪大使は、外務官僚のたかりポストですよ」
  ……………とのこと。


それに対して、

沖縄大使は、外務省のエース級の人が派遣されている。
8代目の樽井澄夫大使も、中国大使に派遣されてもおかしくない優秀な人らしい………。


それだけ、政府ならびに外務省は、
沖縄県、沖縄県民と、米軍、基地、米国の問題、情況を重用視している、ということ、
らしい。


しかし、そう額面どおりにとって、いいものか。
問題は、まず、どのように (つまりどちら側に足を置いて) 重要視しているか、ということでしょう。


●さらにもう一つ、驚くべきことが。


さきほどの大使の言葉に、
「外務省本省に沖縄を正確に理解してもらう報告を書く」  とありましたが、


その、報告のために、沖縄事務所には極秘の暗号がかかる装置が置かれている、とのこと。


仮に通信データを盗んでもスーパーコンピュータで一年半くらいかけないと解けないような暗号らしい。
モスクワとの連絡と同じやり方をしているそうです。


誰に知られることをおそれているか。


佐藤氏によると、外務省沖縄事務所は、アメリカとの連絡を密にしているらしい、
つまり対アメリカではない。


暗号をかけての報告が、沖縄事務所から本省へ政府へ、送られる。

沖縄を、外国扱いしている ………と、思わせる………、
ないしは、
米国や米軍とのやりとりの報告を、沖縄県民には、知られたくない ……のか、
と、思わせる………。


やはり、どう考えても、
国内に、沖縄に、特命全権大使がいる、ということは、


沖縄大使という存在があるということは、おかしな話なのです…………………。




●……と、これまでとは全然、関係ないですが…………。


  今年も、夜になると、ただよってくる、いい香り。


お隣さんのベランダ庭から、わが家の玄関先に顔を出している、
「夜香花 (やこうばな)」 が、今年も、ふくよかでセクシーな、よい香りをただよわせています。

見た目は、どうってことない樹木の花なんですが、
香りは、ちょっと強烈です。 


いかにも、南の島にいるなぁ……という気にさせてくれます。



Okinawa通信-夜香1


                   夜香花 (やこうばな)。
                   よい香りを、あたりにただよわせます。
                   奥に見えるのがわが家の玄関。
                   お隣さんから、かなり元気に顔を出してます(笑)。



Okinawa通信-夜香2


                    昼間は、黄色っぽい筒状の小さな花、
                    それが日が落ちたころから、花びらが開き始める。
                    色も、白っぽくお化粧した感じに。

                    それにしても、いい香り。


                    香りの印象からすると、あでやかな、派手な感じの

                    中型ないしは大きな花……なんですが、

                    このとおり、小さく可憐な花たちが、たくさん集って、

                    にぎやかに、セクシーな香りを、振りまいている……。