「泡瀬ビジュル」という所。 | Okinawa通信 ⇒ 伊都国つうしん

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2010年1月。30年以上住んだ東京から引越し、沖縄生活をスタート。
その沖縄に10年暮らし、『Okinawa通信』を書きました。
が、さらに、2019年10月末に、ここ、福岡市西区・糸島近くの
「伊都国(いとこく)」の地に。

Okinawa通信 82



●沖縄のお正月情報、つづきです。


久しぶりに、というより、今年初めての快晴になった5日。
初詣に出かけました。


前回行きそびれた、普天間神宮ではなく、
ネットで調べて発見した、
地元、沖縄市にある 「泡瀬ビジュル」 という所です。


写真を見ると、鳥居があって、まさしく神社然としていますが、
「神宮」 「宮」 「神社」 という名はなく、
「ビジュル」………。


ちょっと話は跳びますが、


沖縄県で、海に面していない市町村は、
那覇市の南に位置している 「南風原(はえばる)町」 だけ、だそうです。


ここ沖縄市にも、海があります。
それが、泡瀬 (あわせ) です。
公園や、マリーナ、漁港、米軍の通信施設などもありますが、
基本的には遠浅の海です。


以前は、砂州でつながった無人の小島だったそうで、
その昔 (といっても、むかしむかしの話ではなく、18世紀半ば)、
ひとりの漁民が、海面に浮かぶ 「霊石」 を見つけて持ち帰り、それを祀ったのが、
ビジュル神信仰の始まり………

という由来が、この「泡瀬ビジュル」にあるそうです。



さて、話はまたちょっと別なところへ跳びますが、


私は、以前の仕事柄なのでしょうか、
音で聞いた言葉を、一度、頭の中で文字 (主に漢字) にしてみないと
腑に落ちないというか、納得ができない、という
融通の利かないところがあります。


例えば、つい先日の沖縄知事選の候補者
(ポスターでは、みんなカタカナで名前が書かれています)
「ナカイマ」 「イハ」 と聞いても、どうも知った気にならず、
「仲井真」 「伊波」 という文字を知って、初めて頭に入った、腑に落ちた気になるのです。


で、今回も。
「泡瀬ビジュル」 の由来は、知ったけれど、

その 「ビジュル神」 の 「ビジュル」 って、何だっ?
カタカナしかない言葉 (アジアからの外来語とか) だとしたら、仕方がないけれど……と。



●これはきっと、沖縄土着の神道なのかもしれません。


で、
ネットでしつこく調べてみたところ、
どうやら、ビジュルとは、
「16羅漢の一つの賓頭盧(びんずる)がなまった言い方」 らしく、
ビジュル信仰とは、
「おもに沖縄本島でみられる霊石信仰」 なのだそうです。


…… 16羅漢のひとり、ということは、
詳しい知識はありませんが、
お釈迦様の弟子なのですから、当然、仏教との関係です ………。


なので、
どうしてそこに、鳥居が建てられたのか、
「神社」 「神宮」 「宮」 の名はないけれど、どうして見た目も、神社そのものなのか。
そこらの由来は、書かれてありません。


…… まあ、それはともかく。

神道の信者である私が感じた、境内の空気も、
神社らしい、清々しさがありました。



わずかな参道ですが、
一の鳥居と、二の鳥居があり、
そこに絞められた、しめなわは、やはりちょっと内地のものとは違うよう。


そして拝殿 (祠のようです) で、
私らは、いつもの神社でのように、拍手をうって、今年の健康などを祈願し、
お参りをしました。

さすがに5日なので、参拝者は少なかったのですが、
私らの前や後にも何人か初詣の参拝者はいました。


ナミさんからいわれて気づいたのですが、
その参拝者たちは、私らのように、拍手はうちません……。


(拍手をうつのかどうか、調べるか聞くかしないと、なんとも分かりませんが、
 私らが見た参拝者は、うたなかったです)


すぐあとに、おばぁとその娘さんらしいの二人の参拝者が、拝殿に向かいました。
手には、おそらく食べ物だと思いますが、奉納品。
それを小さな拝殿前に置くと、
やはり、拍手はうたず、
二人一緒に、ひざまづいて祈りはじめました……。


その姿は、沖縄のあちこちにある
拝所 (うがんじょ)で、拝む人びとの姿と同じです。



…… ここは、神社の様式をしていますが、
    そして、事実、私が感じたのは、神社としての空気で、
    沖縄の拝所 (うがんじょ) で感じた空気とは、ちがいます。


    でも、やはり、内地の神社とは、異質です。

    今度、その由来を調べてみたいと思いますが、
    いわば、沖縄に根付いた 「沖縄神道」 とでもいうものかもしれません。


とはいえ、
天気のおかげもあるのでしょうが、
とても、気持ちのいい場所でした。 
いい所を見つけたな、という気になりました。




Okinawa通信-ビジュル1


                 参道前に 「泡瀬ビジュル」 の旗。
                 左奥に鳥居が見える。


Okinawa通信-一の鳥居


                       一の鳥居。
                       左に由来が書かれた石碑。
                       見た感じは、内地の神社と同じです。
                       絵馬や引かれたおみくじが結ばれている。


Okinawa通信-二の鳥居


                    二の鳥居。
                    しめなわの姿が、内地とは違うと思う。
                    奥に見える小さな祠が拝殿。


Okinawa通信-手水


                      手水場。
                      貯められた水ではなく、水道のようにプッシュ式。
                      初めて見ましたが、考えてみたら、
                      わき水ではない限り、こちらのほうが清潔。


Okinawa通信-いのり


                   拝所 (うがんじょ) のように、
                   ひざまずいて頭を下げ、
                   拝む二人の参拝者。
                   失礼とは思いつつ、とても興味深かったので。
                   二人はかなり長い間拝んでいた。
                   (私らがおみくじをひき、境内を後にするまでずっと)


Okinawa通信-おみくじ


                   ナミさんがひいたおみくじに、
                   弁財天が入っていた。
                   私のには、毘沙門天。
                   ちなみに、ナミさんは 「小吉」
                   私は 「大吉」
                   ただし、内容を読むと、
                   私の大吉より、ナミさんの小吉のほうが、
                   うんといい………。


                   私の願望は、
                   「気ながくすればととのう安心せよ」
                   ですと。