股関節をダイナミックに使うと、草取り後に腰痛にならなくなりました
先日、自宅から車で1時間ほど離れた実家へ行って庭の草取りをしました。
現在空き家になっている実家を私が時々行って管理しているのですが、
春から夏にかけての雑草の伸び具合たるや、毎年凄まじいものがあります。
ここのところ行けなくて2か月近く放っておいたら、すごいことになっていました。
ご近所の皆さんごめんなさい。
腰や背丈ほど生えているものもあります。
こりゃたいへんだとひるみましたが、取りかかりました。
これでもアレクサンダー・テクニークを学ぶ者のはしくれ、
何をやるにも探究とセットにして、身体の使い方で遊びながら草取りをやってみました。
実は、以前の私はかなり腰痛と仲良しさんでした。
草取りなんてほんの30分でもやったら即腰痛。
ちょっと根を詰めて1時間以上やったら、間違いなく翌日はヨロヨロ歩き。
酷い時はギックリ腰になります。
腰痛が持病のようなものだったので
腰痛サポーターやコルセットをいくつも常備していました。
さて、何年もの間「腰痛」と「身体の使い方」を探究してきて、
草取りにもアレクサンダー・テクニークを応用してきた私。
この日の探究のテーマは5月の合宿でミオ・モラレス先生から教わった「ラクさに気づく」にしました。
できるだけ多くの瞬間で「よりラクになるところはどこかな」と気づき続けてやってみました。
実際に動きの中で思い続けていたことを言葉にするとこんな感じです。
『頭が動いて身体全部がそれについていく』
→ これは何を置いても最優先の指示ですよね。
『上半身を本来の長さのままで草取りをする』
→ 腰痛のいちばんの原因は「ニセの股関節」つまりウエストで身体を曲げることにあると、経験上痛いほど知っています。ホントに痛い。
『股関節をダイナミックに使って上半身の途中での不必要な負担を減らす』
→ 上半身を長いまま使うには股関節を大きく使う必要があるんです。もちろん膝や足首にだって充分協力してもらいます。
『指先から草に向かい、前腕(肘より先)から上腕へ順番についていって草をつかむ』
→ 草取りに夢中になると、だんだん荒っぽい腕の使い方になりますので、その習慣を抑制します。疲れてきたらとくに丁寧にやるように注意しました。
『掴む前から引っ張る力を準備することはやめて、草を引き始めながら必要な力を使っていく』
→ 草によっては軽く抜けるものと、えらく抜けない憎たらしいやつとあります。なのに、その憎たらしい雑草を引っ張るための力を毎回無意識に準備していて、草をつかんだときにはもはや腕全体に力がみなぎっていることがあるんです。これは無駄な疲れと筋肉痛の元です。
私たちには、草をつかんだ瞬間に引っ張る抵抗力を計測する能力があります。最初から「チカラミナギリ状態」にせずに手を緩めて、その能力にお任せすれば必要最小限の握力、腕力で作業できます。効率が良くなるんですね。
『体幹を意識して腕の仕事を全身がサポートするように』
→ 腕だけで草を抜くのではなく、全身の体重移動を上手く使うと楽です。カラダのどこか一部だけに負担がかからないので、部分的な筋肉痛を少なくすることができます。
具体的には手で草をつかみ、腕が必要最小限の握力と引っ張る力を使い、身体の体重を草とは反対方向に傾けることで引っ張る力を助けます。腕だけで引っ張るよりもかなり楽です。
『どんな作業をしていても、いまどこがラクかな?と気づく』
→ 私は草取りが好きなんだと思います。無我夢中になって長時間やってしまいがちな私には絶対に必要な意図です。これを思う瞬間が多ければ多いほど、不必要な緊張をリリースするチャンスが増え、カラダを痛める時間が減ります。頭と首のラクさ、カラダのあちらこちらに見つけるラクさ、その意識を持ち続けると、作業がさらに楽しくなりました。
『毎回毎回、草を手につかむ際、初めて草取りをするような気持ちで』
→ 習慣的な動きではなく、新しく毎瞬毎瞬の最善を見つけるようにやりました。まだらっこしく思えるかもしれませんが、そんなに時間が余計にかかることではなかったですよ。
想像以上に私たちの動きのパターン化は強固なものです。どんどんいつもの定番パターンで作業を進めてくれます。この定番の動き全てが害になっているわけではないので、ある程度はこの自動パターンにお任せしますが、いつも「新鮮な気づき」を持つようにすると、害になっていたかもしれない不必要な力を使わないでいられます。そしてそれが自動パターンに加わって改善され、新しい定番パターンになります。
「初めてやるような気持ちで」はおススメですよ。作業が飽きなくなります。
さて、この実験探究草取りの結果!
なんと3時間も働き続けたのに、腰痛はゼロでした!!
もちろん、普段使っていない筋肉を酷使したので筋肉痛はあります。
翌日、背中と肩に若干の筋肉痛がありました。
これ、ほとんど腕の動きに使う筋肉でしたので納得できます。
ただ、左の手首を少し痛めました。今後の課題です。
あと補足ですが、服装もだいじだと思いましたよ。
「ズボンのひざが汚れないように」とか、「服や髪に草のクズがついたらいやだな」「顔に草が触らないように」などと考えると、
脚の使い方が制限されたり、草と自分の距離が適切でなくなります。
汚れてもいい服、がさやぶにも頭を突っ込む思い切り、なんてのもあるといいかもです。(笑)
数年前に、草取りの姿勢を
アレクサンダー・テクニークのレッスンで見てもらったことがあります。
先生はかの有名なキャシー・マデン先生。
(草取りなんてアクティビティをレッスンに持ち込む私って…)
先生を前にして、
自分のカラダの使い方を十分意識して草取りの動きをやってみました。
キャシー先生「うまくやってると思うけど?いつもはどうなの?」
そう言われて私は気づきました。
「わかりました。いつも草取りでちゃんとディレクション(指示や意図という意味です)していませんでした。今はとっても丁寧にやったので腰には全く負担がなく上手くできました。
そうです、私はいつも草取りにアレクサンダー・テクニークを使っていませんでした!」
キャシー先生「それはもったいなかったわね~(笑)」