以前、書物の存在だけを当blogで紹介しましたが、読了しましたので、コメントを書きたいと思います。

結論から言うと、司法研修所への入所を考えているために法科大学院への進学を目指している人、法科大学院生、修了生の全ての方に読んでいただきたい本です。


大島眞一編『ロースクール修了生20人の物語』(民事法研究会)
http://www.minjiho.com/new_detail.php?isbn=978996286946

法科大学院出身者が書いたものと言うと、新司法試験(司法研修所入所試験)の合格体験記が多いのですが、これはそれを超えて、法科大学院修了生が、法科大学院時代の過ごし方や今の仕事について、具体的に書いています。また新司法試験に受かった人のみならず、司法試験には合格しなかったが、別の道に進んだ人、進もうとしている人の話もあります。


当然ですが、人によって書いてあることは違います。しかし書かれていた20人に共通するのは、誰もが前を向いて、日々、努力されている、ということです。現実の厳しさに直面しつつも、それに逃げない姿勢を強く感じました。


法科大学院を目指している人も、法科大学院生の方も、そして修了生の方々も、日々、法律(試験科目)の勉強に追われて、合格後のこと、合格できなかったときのことを、ゆっくり考える余裕がないと思いますが、この本を読むと、先輩方の成功談、失敗談から、様々なことが学べると思います。


法科大学院制度が続く限り、これからも法科大学院修了生は出てきます。その意味では、(別に同じ人が書くわけではないのですが)続編も出て欲しいと思います。


なお、引用。


「1 基本は条文

 参考までに具体的な勉強方法を述べたい。まず把握する必要があるのは、法律の条文が何を規定していて、実務上どのように解釈されて運用されているのかである。法科大学院時代、検察庁から派遣されていた教官に、『実務家が使うものはまずは条文である』と何度も指摘された」(八十島絵理検事の指摘。105頁)


「実務家の先生方は、根拠条文についても、丁寧に確認された。抽象的な法理ばかりで学習していると、理論や中間概念に慣れて、条文上の根拠に立ち返ることをつい怠ることが出てくるが、出発点はまずは条文であることを再認識させられた」(三澤信吾弁護士の指摘。117頁)


少なくない方々が、条文の重要性を述べています。全く同感です。