判例は否定説のようです。


最判昭和57年1月19日判時1032号55頁
「原審は、被上告人に対し、上告人から貸金債務の弁済を受けるのと引換えに、右貸金債務の弁済を担保するために上告人所有の不動産について経由された被上告人を抵当権者とする抵当権設定登記の抹消手続をするよう命じている。しかしながら、債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、前者が後者に対し先履行の関係にあるものであって、同時履行の関係に立つものではないと解すべきであるから(大審院明治三七年(オ)第三〇七号同年一〇月一四日判決・民録一〇輯一二五八頁、最高裁昭和四一年(オ)第六三三号同年九月一六日第二小法廷判決・裁判集民事八四号三九七頁参照)、原審が、右とは異なる見解のもとに、債務の弁済と引換えに抵当権設定登記の抹消登記手続を命じたことは、同時履行の抗弁権に関する民法五三三条の規定の解釈適用を誤った違法があるものといわなければならない。そして、右の違法は原判決の結論に影響を及ぼすものであるが、本件では、被上告人からの上告の申立がなく、原判決を上告人の不利益に変更することが許されないので、上告人の上告を棄却するほかはない」


しかし、理由付けはなされていません。

この判決の原審がどのような理屈で引換給付判決を下したか興味深いところですが、原審は調べることができませんでした。