山内一典氏がventurebeat のインタビューに答えています。



グランツーリスモ(以下GT)の歴史を簡単に説明していただけますか?

GTは1992年、プレイステーション本体の開発中にスタートしました。
私が出した100の案のうちの一つでした。それが1997年にやっと完成しました。
他の案もたくさんありましたので、GTを作ったのは本当に偶然でした。
全く違う方向に行っていた可能性もあったわけです。
初代GTを1997年に出したとき、私はニッチなゲームだと思っていました。
しかし、それが非常によく売れたことで、2作目、3作目と続き、今に至ります。


(累計で)どれくらい売れたのですか?

世界で5300万本です。


すごい数ですね。

本当に運が良かったというだけです。


レースゲームはたくさんありますが、何が違うのでしょうか?

我々は実在の車をゲームに入れたかったのです。当時、それは一般的ではありませんでした。
シミュレーション系のゲームは存在せず、ほとんどがアーケードスタイルでした。
グランツーリスモは、ユーザーの目に新鮮に映ったんです。


1作目は何人で作ったのでしょう?

最初のは、7~15人です。その時々において違いましたが。


今は?

140人のスタッフがいます。


何が変わりましたか?

ゲームを作ることの難しさは、あまり変わりませんでした。
今のような大規模なチームとは、コミュニケーションにも多くの時間がかかります。
以前は、朝起きて、いいアイデアが浮かべば、夕方までには
それを何らかの形で形にすることができましたが、今では
いい考えがあっても、それが結果になるまで、2,3年かかるかもしれません。
それを形にするのに、ずっと多くの人員が必要だからです。


ディテールやリアリズムのレベルはどのように向上しましたか?

初代GTでは車ごとに300ポリゴンくらいを使っていましたが、
今は1台あたりに50万ポリゴンを割いています。当時の車のピースは
記号的なものでしたが、今ではまさに本物で、光も反射します。


ゲームにどのような「違い」を作ろうとしていますか?

ゲームシステムとゲームデザインでリアリズムを表現したいと思っています。
それが新しい革新を求める部分です。プレイヤーが体験することや、
プレイしたときに感じるものを変え続けたいです。


ノーティドッグのデザイナーは、「アンチャーテッド1でPS3の30%を使い、
2で80%を使った」としていましたが、貴方は?

80%のプロセッサーパワーを使ったと思います。PS3のハードウェアは
非常に高いピークパフォーマンスを持っています。
上手に扱えば扱うほど、よりよく動いてくれます。


新しいユーザーを獲得し、より幅広い層のユーザーがプレイしやすくするため、
どのようなことをしていますか?

レースゲームの新しいスタンダードと、新しいフォーマットを構築しようとしています。
これに関してはまだあまり多くを語ることはできません。


ソニーは、現在、新しいモーションコントローラを作っています。
既にステアリングホイール、ペダルの周辺機器がありますが、
あなたはレースゲーム向けのインターフェイスが向上すると思いますか?

ステアリングホイールとアクセルペダルで遊ぶのは楽しいです。
新しいモーションコントローラは、別の種類のゲームを作りたいです。


ランドスケープ(地形、景色)では何を目標にしていましたか?

常に、実物よりもより良く見えるものを作ろうとしてきました。
コースには車と相互に関わり合うオブジェクトがあります。

フェンス、タイヤ、バリアがあり、コースとオブジェクトも相互に作用します。


ゲームを作るのにどのくらいかかりますか?

(GT5には)5年かかりました。簡単になったり、より安く仕上がったりはしません。
PS3のような、また同じプラットフォームで2作目を作るのなら、楽にはなるでしょう。


グランツーリスモ10まで作り続けますか?

分かりません(笑)


何故、作り続けるのですか?
毎回そうなんですが、作品を出すときはいつも凄くフラストレーションがたまります。
「なぜこうしなかったんだ、なぜああやらなかったんだ」
と、発売のたびに思います。ゲームの発売は、私にとってはあまり幸せな時ではありません。
新作を出すと、それを修正するために、次回作に目を向けるのです。


完璧主義者のように聞こえます。

ええ、タイトルを発売するたびに大概かなり怒りを持っています。


GT6では何をしますか?

まだ何も決めていません。