8.5点/10点

◎能力とそれを使った戦闘が凄く面白い
○操作性が良い
△善/悪の選択肢
△サブミッション
×ちょっと不親切
×ややボリューム不足


◎能力とそれを使った戦闘が凄く面白い
主人公・Coleは電撃を使った様々な能力を身に付けられます。ストーリーが進むにつれ
アンロックされていく能力はどれも魅力的で、経験値を使ってアップグレードすることもできます。
戦闘はいわゆる"TPS"そのものですが、弾数制限が普通のTPSよりも格段に緩いので、
とにかく派手で爽快な戦闘が楽しめます。その分、敵の数が多いですし、それぞれ特殊な能力を持った
大小さまざまな敵が登場するので、最後まで単調に感じることはありませんでした。
攻撃方法には、通常の電撃のほかにも、普通の武器に置き換えて言えば
「スナイパーライフル」「グレネード」「ロケットランチャー」などが使えるようになるので、
プレイヤーのプレイスタイルにあわせた戦闘も可能になっています。
ただ、ミッション遂行中でなくとも大量の敵に遭遇するなど、とにかく戦闘が多いのは好みが分かれるかも。

○操作性が良い
Coleの様々な能力のほかにも、カバー(遮蔽物に身を隠す)やローリングなどの
基本動作も多数用意されており、下手すると操作が複雑すぎてついていけないほどの数ですが、
そのどれもが直感的でレスポンスも早いので、操作性はすこぶる良好です。
ストーリーが進むにつれて能力が増えていくこともあって、無理なく能力を使いこなせるようになります。

△善/悪の選択肢
メインミッション、サブミッション共に、ストーリーにあわせて様々な選択肢がもちかけられ、
その選択にあわせて、プレイヤーの善悪を表す"カルマ"が上下します。この選択肢が面白くて、
たとえば「依頼の成功報酬として1つ"Shard"をくれると言っているが、
ロッカーにはまだあと4個くらいある。1つだけ貰うか、それとも殺して全部いただくか」
など思い切った選択ができます。しかしながら、メインミッションであっても、
この結果が影響するのは"カルマ"くらいで、ストーリーの大筋に変化が感じられなかったのは
少し残念でした。(全ての選択肢で話を変えると膨大な手間がかかるので現実的に難しいですが…)

△サブミッション
100以上あるというサブミッションは、単純に「敵を一掃しろ」というものから
「こっそり後をつけて小包を回収しろ」「囚人を牢まで搬送しろ」といった独特なミッションまで
用意されていて、面白いものが多かったです。ただ、
"場所が違うだけで全く同じ内容のミッション"がいくつもあるのはどうかと思いました。
場所が違えば同じミッションでも違った楽しみがある場合もあるので、内容被り自体は悪くありませんが、
さすがに4,5回同内容のミッションが出てくると興醒めします。
もう少しオンリーワンのミッションを増やすか、バリエーションも増やして欲しいと思いました。

×ちょっと不親切
inFamousにはさまざまなミッションが用意されていますが、そのミッションのログがありません。
ミッションを受けたあとに、その目的をド忘れしてしまったり、説明をよく聞いていなかったときにも
自分で確認する手段がないので、ちょっと不親切だと思いました(しばらく彷徨うとテロップが出ますが)。
また、収集ミッション以外の複数のミッションを同時に受けることができない
(一つのミッションを受けると、それを完了or放棄するまで、
他の全てのミッション窓口が一時消失する)のもちょっと残念でした。

×ややボリューム不足
カルマ"Hero"で、サブミッションをそれなりにこなしながら約17時間でクリアでした。
あとはコレクション要素やサブクエストコンプリートすれば25時間近くにはなると思います。
「全然足りない」というほどではありませんが、ちょっと物足りないな、
というのが正直なところです。悪のカルマで二周目を遊ぶこともできますが、
「引継ぎ要素無し」「ムービースキップ不可」「ストーリーの大筋に変化無し」
という面から、個人的にはあまり意欲が沸いてこないのも事実です。
(そのうちまたやりたくなったときに再プレイするのが良いかもしれませんね)
また、箱庭モノにはつきものな、ゲームと無関係のプレイスポットが
用意されていないので、クリア後にも遊べる要素が欠けているのはちょっと残念でした。


まとめ-箱庭モノらしくない箱庭ゲーム。
inFamousはGTAタイプの箱庭ゲーに分類されていますが、プレイ感覚はかなり違います。
GTAの場合は「いろいろ遊べる箱庭をまず用意して、そこを題材にしたゲームを作るよ」って感じですが
inFamousの場合は「まず題材を用意して、ステージを作っていったら箱庭ができちゃった」んじゃないか?
という印象を受けるほどです(実際の企画手順は違うと思いますけど)。
舞台となるEmpireCityはそれほど広くはないですし、プレイスポットもありませんが、
ゲーム性や世界観にはこれ以上なくマッチしていると思います。

街を歩けば、「あっちで人がリーパーに襲われているから助けて!」と指をさして訴えかけてきたり、
「こいつは食料を盗んだんだ、殺してやる」と吊り下げられている場面に出くわしたりと
ミッションとは無関係に遭遇する出来事に干渉できるのもかなり興味深かったです。
GTAのような"箱庭的・横道的面白さ"を主に求める人には、ちょっと残念なゲームかもしれませんが、
そうでない人であれば、存分にこのゲームを楽しめると思います。


似非ログ