仕事と介護 両立しよう 『遊び』も重要

ここまで本冊子を読んでいただき、なんだか大変そうだ・・・、と心配している人もいるかもしれません。逆に「なんとかなりそうだ」と楽観された方も?そうなんです。無責任な言い方に聞こえるかもしれませんが、きっと何とかなるのです。言い方を変えると、なるようにしかならない。


●できるだけ現状の生活を継続
「普段通りに生活し、『手をぬかざるをえない状況』を作らないと、介護に没頭してしまう。が、没頭したからといって、万事OKではないことを学びました」これは遠距離介護中の40代女性の言葉。自由業の彼女は、会社員よりは時間調整が可能です。配偶者の母親が入院したとき、連日往復4時間の距離を病院通い。気付けばまったく仕事をしていない自分が・・・。

かといって、義母に感謝されるわけではなく、不満ばかり。「毎日何をしているんだろうと考えると、洗濯物を取りに行って、また持っていくだけ」。むなしさに襲われました。

その数年後、義母は再び入院。同じ轍を踏まないように「仕事を減らさない」と決意。病院通いは週に2回に。仕事との両立は体力的にはキツかったそうですが、前回に比べ精神的にはずっとラクだったといいます。

同じく遠距離介護中50代男性の弁。会社員です。「サラリーマンっていう仕事は上司がOKを出すまでやり続ける。いかに精度を高めるかがポイント。で、目標を達成できれば報われる。でも、介護はまったく違います。相手は部下や上司ではなくて『親』なんですよ」

親にヘルパーを勧めても「ヘルパーは嫌い」といわれれば、それで却下。一生懸命考えて提案しても、思うように気持ちが伝わらない・・・。

2人の言葉から分かるように、介護に没頭しても、バンバイザイは訪れないということ。それなら、現状の生活をなるべく継続しながらが、いい選択なのではないでしょうか。


●『遊び』も却下しないで!
親が支援や介護を必要とする状況になると、自分だけが「遊ぶ」ことに罪悪感を持つ人もいます。でも、仕事(用事)と介護だけでは行き詰ってしまいます。パオッコの会員のなかには、10年、20年と通い続けている人もいます。医学の進歩とともに、介護期間が長期化しているのですね。

その間、ずっと遊びませんか?趣味もストップ?

それではあなたにストレスをためこむだけ。

下記は、独居で認知症のある親のもとへの遠距離介護が「達成」または「非達成」だった事例の、子の発言とその回数です。抱え込むと遠距離介護が困難になることは明らかです。自分だけが我慢するのはやめましょう。パオッコ会員も、親が安定している時期には海外旅行に出かけたり、日々に飲みに行ったりと楽しんでいる方は大勢います。



★達成事例の発言

・自分だけでは介護はできない(38発言)

・きょうだいや親族も介護に関与(31発言)

・信頼できる人や施設がある(28発言)

・家族だけの介護はつらい(21発言)

・家族の認知症は恥ずかしい(16発言)

・介護のことを話せる相手がいる(12発言)

・家族が介護を理解してくれる(10発言)


★非達成事例の発言

・きょうだいなどに迷惑をかけられない(57発言)

・他人に介護を任せられない(29発言)

・支援者のことが負担(24発言)

・自分の介護は不十分である(23発言)

・本人は自分を恨んでいる(21発言)

・介護職の評価が怖い(18発言)

・いっそのこと消えてしまいたい(13発言)など


松本一生「痴呆の遠距離介護と家族介護の課題」

2003家族療法研究 第20巻第3号より抜粋

※「痴呆」という表記は現在使われていません。現在は「認知症」といいます。



自分自身の生活設計も忘れない

親の介護は大切ですが、自分のことだって大事。親の介護のために仕事を辞する「介護離職」が増加していますが、ほんとうに、それでいいのでしょうか。


●仕事を辞めたらどうやって食べる?
親や配偶者の介護を原因に仕事を辞める「介護離職」が増加しているといわれています。40、50代を中心に年間15万人にのぼるとか。遠距離介護の場合、仕事をしていると、親元にスグにいけないもどかしさを抱え、「仕事を辞めようか」と悩む人も大勢います。また、先にも述べたように、病院などから呼び出しもあり、「こうちょくちょく休むと、同僚に迷惑をかけてしまう「という苦しい胸の内も何度となく聞いてきました。

「育児・介護休業法」という法律により、勤務する誰もが介護休業を取得する権利を有しています。会社に介護休暇制度がない場合でも、この法律を根拠に休業の申し出をおこなうことができます。ただし、休業期間は無給で善い事になっており、その対応は会社によってさまざまです。完全に無給の場合も、雇用保険によって最長3カ月、休業前の賃金の40%相当額が介護休業給付として支払われます。

辞めてしまえば、この社会情勢のなかで復帰はなかなか難しいの現状といえます。それに辞めたら、なにで食べていくのでしょう。実際、親が需給した年金から自分の国民年金や健康保険を支払っているという人もいるようです。しかし、親は明日亡くなってしまうかもしれません。

当然ながら死んだら、年金はストップしてしまいます。その後あなたは生活していかなければならず、自身の老後も迎えることになるのです。そのあたりをよく考えてから、離職については検討すべきです。

また結婚している場合は、収入が低いほうが辞めがちです。妻がパートをしている場合。たとえば、年間100万円の収入でも、10年たてば1000万円です。ほんとうに辞めてもいいのでしょうか。



★介護休業に「短期介護休暇」も加わりました
改訂前
・介護休業(対象家族一人につき93日まで)

・勤務時間短縮などの処置(介護休業と合わせて93日まで)

 

                 ↓ ↓ ↓

改正後

・介護休業(対象家族一人につき93日まで)

・勤務時間短縮などの処置(介護休業と合わせて93日まで)

・介護休暇(家族一人につき年5日まで、年10日を上限)


(2009年度改正:2010年6月30日施行)



★社会保険労務士 桶谷浩さんのお話
自身の生涯賃金

正社員として勤務しているケースでは、50~55歳が賃金のピークとなります。この年代はご自身の老後資金を貯めるにも持ってこいの時期。お子さんがいる場合も、そろそろ学費の支払いから解放されていくタイミングだからです。

あまり知られていませんが、自身の年金た退職金は勤続年数に左右されます。長いほど増額される、また、「自己都合」退職の場合、定年退職に比べて退職金が減額となるケースが一般的です。親の介護による退職は「自己都合」退職とみなされます。


親の介護は大切ですが、それは安定した経済的基盤があってこそできることだと思います。介護離職を検討している方は、ぜひ就業規則を読んで、ご自身がいま退職した場合と定年まで勤めた場合の所得差を計算してみてください。チェックポイントは賃金、年金、退職金の3点です。

パートや派遣の方も、辞めると収入がなくなってしまうのですよ。世帯の給与水準が下がると、確実に生活水準は下がります。どうか戦略を練ったうえで、行動してください。



NPO法人 パオッコ 編集

「不安」を「行動」の変える 知恵の保存版

転写


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