昨日までの暖かさはどこへ…
風は冷たいけれど、陽光は明るく春の色を纏っている。
「白金台」駅からゆっくり歩いて15分ほどのところに畠山記念館がある。
園内の亀岡十勝の詩碑によると、この庭園は薩摩の島津家が幕府から一万坪のこの地を下付され(1669)、二十六代藩主が隠居して別荘とし庭園にした。明治維新後、明治天皇が行幸して堪能された。
今回は、日本の春―華やぎと侘び― 前期1月24日~2月19日 後期2月21日~3月22日
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/display/2008/winter.html
新年を祝う吉祥や慶賀の意味や願いが込められた作品と、侘び茶の世界の道具を取り合わせて畠山コレクションの中から日本人の美意識を感じられる展示となっている。
会期中に作品の入れ替えがあり、重要文化財「山水画」や数点が前期のみの展示となるため、なんとしても鑑賞したいと思っていた。
☆特別展示 重要文化財 赤楽茶碗 銘 雪峰 本阿弥光悦作 江戸時代17世紀 (全期展示)
http://www.ebara.co.jp/csr/hatakeyama/collection/co07.html
想像していたより小さくて両掌に納まるほど、ちょうど侘び助のつぼみがふっくらと開き始めたようなイメージ。
☆重要文化財 山水図 伝 夏珪筆 南宋時代13世紀 (前期のみ)
夏珪は杭州の人で山水画の代表画家。わが国の雪舟や室町画壇に大きな影響を与えた。
西湖の風景を基に描かれたものらしい。浅野家伝来の掛け物のひとつで、大切にしまわれて染みがあり、俗に「大名染み」といわれ非難より賞賛され話題にもなったという。
☆唐物鶴首茶入 銘 養老 南宋~元時代13~14世紀 (全期展示)
やさしい雰囲気が漂う、茄子のような形の茶入。酒井家伝来
仕覆:俵屋宗達裂(きれ)、挽家:黒檀節目、挽家袋:鼠茶…名物裂や袋物に興味があるので書き留める。
☆十二支蒔絵棗(なつめ) 桃山時代16世紀 (全期展示)
八角形の中にひとつずつ干支が描かれていて、新年にふさわしい華やぎのある棗。
☆銹絵富士山香炉 野々村仁清作 江戸時代17世紀 (全期展示)
富士山の朝・昼・暮をそれぞれ表現した連作は15年ぶりの公開となる。大きな作品。
☆亀香合 了々斎作 江戸時代18~19世紀) (前期のみ)
淡い緑色の亀は縁起物として新年にふさわしい。
出品目録では50点あり、後期展示の作品も含まれている。
私のあくまでも好みで選び、自分の記録として紹介してみた。
記念館を出ると、大きな古木が枝を延ばし、木々が重なり、枝にとまって鳥がさえずる。
眩しい光が木々の間から光を送っている。
さて、次回(後期)鑑賞はいつになるだろう…