台風のまっただ中、描いてた絵 | Island Life on Yoron


年は4回も大きな台風が来てしまって、どの台風で何がどうなったのか、

もう記憶がごっちゃになって分からなくなってしまっています。


台風が近づくと、いつも早々と停電になり

<えっ もう切れちゃうの!>とあきれながらも、あきらめるしかなく。。。

雨戸を閉めているものだから家の中は昼間でも暗いし、蒸し暑くて

<扇風機もクーラーも使えなくなるので> かなりつらい状況。



じっとして本でも読もうと思っても、暴風の音で落ち着かないばかりか、

凄まじい風の音に不安が募ってだんだん胃まで痛くなる始末。

暗闇の中で、不安を募らす轟音をきいているのは、体によくありません。




家の中で一箇所だけ明るい部屋がありました。

それは、浴室。

雨戸のない窓がひとつあるのです。

それで描きかけだったキャンバスを浴室に持って入って、そこで絵筆を握って制作することにしました。





台風17号の時は、朝8時半には暴風域に入り、そのまま午後2時過ぎまで

一秒たりとも止むことなく暴風が吹き続けました。



南風だったので、家の北側にある浴室は風下にあたり、

窓ガラスが揺れることもなく、<台風の時は風呂場に限る^^>などと思いつつ筆も進んだのです。




  浴室にて




午後2時を過ぎてピタっと風が止み、<やれやれ、やっと通り過ぎてくれた。。。>と、

珈琲をいれて、ホッとしていたら。。。

なんと、180度反対の北側から、凄まじい風が吹き始めたのです。

今度は浴室の窓もビリビリ揺れ始めました。

さっきの無風状態は、台風の目だったとその時気がついた私。。。



それにしても、前半の南からの暴風が6時間。台風の目が通過するのに2時間。

さらにそのあとの吹返しは、延々と4時間も。



浴室の窓の外、屋根瓦が飛んできました。枝もたくさん。












窓ガラスぎりぎりのところで、枝に引っかかった瓦



あの風の強さと、吹いてる時間の長さをどう表現したらいいのやら。。。


例えて言うと、

高速走行中の新幹線の屋根の上に乗ってる状態でノンストップで6時間、でそのあと逆方向にまた4時間。。。

窓の外、ヨロン島全体がそのような状態だったのです。







そんな台風のさなか描いていた、ウプガニク海岸の絵。



なんだか、見るたびに今年の台風を思い出してしまう絵になりそうです。






 



毎週末やってきた大きな台風のせいで、貨物を積んだ船はヨロン島に来ることができず、

パソコンも修理が長引き、

注文していた絵の具も届かず、

そして今年こそは食べたくて楽しみにしていた産直のいちじくも

鹿児島までは届いていたのに、運送会社の倉庫の中で一週間以上そのままになってしまって、

結局ダメになってしまいました。



でも、そんなことは大したことではないのです。






島はぼろぼろです。




それなのに島人の笑顔は爽やかです。

<みんなもっと大変だから>と家が全壊してしまった人が言います。



そして今日、

青い海は何事もなかったかのように、くやしいくらい美しく輝いています。