ハンカチを買う | ケセラセラ通信日記

ハンカチを買う

服を替えて家を出たら、ハンカチを持っていないことに気づいた。夏場ほどではないが、この季節にもハンカチを使う機会はある。さて、どうしよう。駅の売店かコンビニで買うのが普通だが、センスの良くないチェック柄のものなどが想像され、ああいうのはあまり持ちたくねえなあと思う。
そのまま梅田へ出て、銀行と郵便局で用を済ますと、目の前がデパートだった。そうだ、デパートで買おう! 人の流れに乗って1階に入ったが、どこがハンカチ売り場だか分からない。案内所で尋ねてみたら、そのすぐ横だった。ちと恥ずかしい。
そこでは、5、6人のオバサマ方が、ギフト用にパッケージされたものを物色中。なるほど、ハンカチを人に贈るのもアリだな、と思う。もらって悪い気はしないし、「ネクタイを贈るのは、首ったけという意味」みたいなヘンな色も付いていないし……。そんなことを考えながら、紳士用の棚へ。色といい柄といい、さすがに洒落たものがたくさん並んでいる。しかしいずれも、ジバンシイ、バーバリー、カルバン・クラインなどのブランド物だ。私のような貧乏人が、ハンカチだけブランド物というのもなあ、という気がしてきた。ブランドのロゴなど入っていない、普通のはないのか。そう、普通の白いやつ。
また店員さんに訊くと、別のケースのほうへ案内してくれた。売り場の隅のガラスケースの、そのまた隅っこに、ひっそりとそれはあった。綿のものと麻のものがある。麻の素材感も捨て難いが、アイロンをかけるのが面倒くさい。「綿」と決めるが、それも5、6種類ある。同じ白でも、色合いに微妙な差があるのだ。真っ白いのから、生成りに近いものまで。洗濯してあるのに「黄ばんでる」と思われるのもシャクだなと思い、いちばん白いのにした。よく見ると、ストライプ状に細かい織り柄が入っている。その奥ゆかしい感じも良いではないか。消費税込みで1050円也。
自分で選んだ一枚のハンカチがポケットにあることで、ちょっといい気分だ。嬉しいことがあったときなど、その小さな記念に、また買ってみようかな。誰もくれないし。