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「マジかよ…」
丹羽は、ほんの30分前まで使えた携帯を睨みつけて吠える。
「心配してるよな」
恋人の携帯番号は普段ボタン操作で見付ける事が出来る為
今。
ガリガリと頭をかいてイライラとしても、思い出す事が出来ない。
生徒会。部長等の役員研修と言う名での山奥に一泊旅行。
充電がフルになっていた為に持って来るのを忘れた充電コードの為。
エネルギー切になった携帯と心に切なさが溢れ…
丹羽の心がギリギリと痛み出す。
「…………ったく」
溜め息をついた時。
目の前に白い小さな箱が差し出された。
「ん?」
「馬鹿が。使え」
「ヒデ。サンキューっ」
「借りは啓太で返してもらう」
「っ」
「くくくっ。冗談だ」
「勘弁してくれ」
部屋に備え付けられた古い電話器でかけようと思っていた指を、親友から差し出された携帯充電器を使い、
『おやすみ』
の言葉を送る為に動かす丹羽は惚気溢れる表情になっていた……。

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