よく、「どうして東大に行こうと思ったんですか?」と聞かれます。
答えはシンプルです。
「心理学者になりたかったから」です。
小学校6年生で心理学者になろうと決心した私は真剣に考えた。
学者になるということは、収入、生活を確保しながら研究ができる。
たくさんの後進に自分の考えを伝えることができる。
本や講演という形で、たくさんの人々に自分の思いを発信できる。
私の求める「心のこと」をずっと考えて、「遅れている」世界を進めることに貢献できる。
英語を仕事にしたい人は、海外留学を目指すことでしょう。
ピアニストになりたい人は、名ピアニストに弟子入りするかもしれません。
その「業界」には登竜門があります。
そこに行ったら必ずしも成功が保証されているわけではないけれど、
そのほかの道が全くないわけではないけれど、
多くは とりあえず、まず、そこへ進んで、そこからスタートする。
険しいようだけれど、「近道」「王道」があります。
文系で学者、という道が難しい道であることは、世間知らずの子供だった私でも分かりました。
「学者になっても食っていけない」「プロになれるのはほんの一握り」
だとすれば、超超トップにいなくてはならない。
どこの大学へ入っても学者にはなれるけれど、
学者を職業として、一生の仕事としていくには、その中でも抜きん出なくてはならない。
日本で一番の「学者製造所」は東京大学だと思いました。
一流の先生がおり、一流の同僚と切磋琢磨し、
いたる所に学者(大学の先生)としての就職口がある。
「誰々教授」という名前のおかげで本が出せる。
そんな大学は日本で一つしかない。
高校生の息子たちも受験生になり、素朴に母親に質問しました。
「母さん、どうやって志望校決めたの?」と。
答えはほんとうにシンプルです。
「なりたい職業に就くのに一番いい大学だと思ったから。」
幸い、私の特徴は「学校の勉強のできる子」でした。
欠点だらけで、人生全般から言ったらオバカサン極まりないんですが、
ペーパーの勉強はできたのです(当時)。
当時はバブル期で、男女とも成功願望やブランド主義がはびこっていましたが、
「いい会社に入る」とか「お金持ちになる」とか「箔がある」とか、
そういう発想は私にはほとんどありませんでした。
「私の求める将来はこの先にしかない」という野望で、
キラキラ?ギラギラ?していた十代だったのです。
(つづく)
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