とあるクリニックで“ミラクルリフト”を受けられた患者様が術後相談にみえました。
「不本意な結果になったので、糸を取って欲しい」とのことです。

まずは、手術を受けたところで取ってもらうのが確実です、と説明したところ、
そこのクリニックでは「入れた糸は取る事ができない」と言われたそうです。

手術の結果から推測すると、大変きれいに“リフトアップ”されているので、それなりに技術と経験のある医師が執刀しているようですが、なぜ『取れない』のか?
理由はわかりませんが、大変つらい思いをされているのが伝わってまいりましたので、治療を行いました。
まず、コメカミ部分を触って、糸の折れ目部分を探し、あたりをつけてから、数センチ皮膚切開します。

$美容外科医の本音 が書きたいなぁ-ミラクル2

コメカミ部分は、やや強めに周囲組織と癒着している為、剥離剪刀で丁寧に剥がしたあと、左手指先で糸を感知しながら、ゆっくりと糸を回旋させつつ少しずつ引っぱります。左指先が糸の引っかかりを感知したら、その部分を少し指先で押しもみ癒着を剥がします。そうすると大概の糸はスルスルっと抜けるようになります。それでも癒着が強い場合は、糸の走行に沿って局所麻酔注射を多めに行って組織を膨らますと癒着が取れやすくなります。

無事にすべて引き抜く事ができました。
美容外科医の本音 が書きたいなぁ-ミラクル3

ちなみに下の写真は、以前他院でミラクルリフトを受けられたのちに、私がフェイスリフトを追加したときの、ミラクルリフトの糸の全貌です。これがどこに糸が通っているのか予測をたてるのに役立ちました。
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