昨年の春に入社した新入社員が早い時期に配属が決まり、溌剌とした姿で活躍しているのを飲料サービス業の店舗で多く目にする機会が増える時期です。一年前に配属された初々しい新人達も少し、自信がついてきてその表情には余裕が出始めてきています。




この春の新入社員が現場に出る前の新入社員研修の依頼が私の元にも少しずつ、増えてきておりますが、皆様の中にも店舗での指導係、教育係として新入社員に接する方も多いはずです。是非、「教える」と言うことについて共に学ぶ機会を設けたいものです。




さて、そもそも、『人』は教えることによって成長するものなのでしょうか?確かに最低限のマナーであるとか、仕事の進め方は上達するかもしれません。ただし、その『マナー』や『仕事』に対しての意味を伝えなければ、『ただやっただけ』の意味のないものになってしまうと私は考えています。あらゆる行動に対して『なぜ』という概念を持つようにしないとマニュアルだけをあるいは言われたことだけをやっていれば良いという人材になってしまいます。




社内セミナー等で管理監督者の指導に携わる場合、良く聞くことが『教えているのに理解してもらえない』という話を聞くことが多い様です。当然、教えてもらう側のやる気がなければ結果、そうなりますが、果たして理由はそれだけなのでしょうか?その『教え方』は理にかなっているのでしょうか?教える側だけの倫理を押し付けても、ただ、反発するだけです。では、どうすれば良いのか?




私の場合は、教えてみて、やって見せても相手がこちらの思惑通りに動かなければそれは『全て自分の責任』と考えることにしています。ここまで教えたのに『なぜ、わからないのだ!?』ではなく、『こちらの教え方のどこかに不備や違和感があった』と考えれば私自身の成長にも繋がります。但しこれらのことは実際に人を管理する立場にならないと分からないことだと思います。上手く『教える』と言うことは、『他人への気遣い』=『ホスピタリティ』に繋がると考えるのです。『やっている』と『できている』は違うのです。



年間多くのセミナーに出かけることがありますが、セミナー中、参加者の殆どの方々は、『こんなこと言われなくともやっているよ!』と言う顔で受講している方々に出くわします。そんな中、セミナーが終わった後に、感想を聞いてみると2つの意見に分かれることに気が付くのです。


①我が社は、まだまだやるべき事がたくさんあることに気付いた。良かった。


②我が社は、今日聞いたような事は既にほとんどやっているのであまり、良くなかった。




私が問題にする企業・担当者(大体が人事系・教育系の社員に多い気がします)は、②の企業・担当者です。②の感想を伺った企業の店舗を利用させていただく機会を得ました。当日、良い事例を拝見できると楽しみにしていました。ところが、結果は散々な結果となりました。



『やっている』か『やっていないか』と、問われれば『やっている』です。しかし、『できている』とは言い難いのです。





飲料サービス業に集うお客様が、今、求めているのは『満足』ではありません。進化したお客様は、サービスを受ける事前期待として、もはや『満足』は当たり前のものと考えるようになりました。『満足』を超える『感動』『感激』というものがそこに無ければ、お客様の心に『次もまた利用したい!』という気持ちを生み出すことはできません。


つまり、平均点では何も生み出さないのです。ただ、その行動を実行するだけでは厳しい話が自己満足に過ぎないのです。お客様の心に『感動』『感激』を伝えて初めて『できている』と言うのです。100点満点のサービスマンの挨拶は、ただ、大声を出しているだけではないのです。なぜ『挨拶をしなければならないのか?』ということを知った人の挨拶です。服装を正し、お客様にしっかりと顔を見せて、笑顔で接すること・・・。まずは、教えることの大前提ではないでしょうか。




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