重度の外反母趾の治療「平人無病の腹」 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

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骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

外反母趾は、母趾(足の親指)のつけ根が飛び出し、その先が小指側に曲がってしまった状態です。母趾が小指側に曲がれば、曲がるほど、軽度、中度、重度というように程度が酷くなります。治療院に来院される方たちの外反母趾は重度に進行した状態が多くいらっしゃいます。程度が重度になると偏平足、外脛骨、内反小趾、浮き指、足根骨の崩れ、魚の目、タコ、爪の栄養不良など合併している傾向にあります。さらに重度の外反母趾は、膝痛、股関節痛、腰痛、肩関節痛、頸部痛などと影響し合っている場合が多く、全身を同時に治療しなければ、足の親指の治療だけでは治らない難しい状態だといえます。
 
 
足のトラブルは万病の元といわれます。足元は体の土台を担い、足のアーチ構造が動作をするときの接地衝撃を緩和してくれます。そのため体にダメージがなく、快適に動作をおこなうことができます。足の骨は趾骨14個、中足骨5個、足根骨7個、種子骨2個、計28個、左右あわせて56個。全身の骨は約200個なのでその1/4が足の骨で精密な足のアーチ構造を形成しています。しかし、足のトラブルをおこす足というのは、足のアーチ構造が崩れている傾向にあり、動作をするときの接地衝撃を緩和できずに体にダメージを蓄積しやすくなります。膝痛、股関節痛、腰痛、肩関節痛、頸部痛などを治療しても、外反母趾がそのままで足のアーチ構造が崩れたままでは、再発する場合が多く根本的に治ってないといえます。
 
 
重度の外反母趾の治療は、足の骨、下腿骨、大腿骨、骨盤、背骨、頭蓋骨の配列を正し、筋肉のズレ、関節運動の方向を修正し、そして、骨格位置を保持するための深部感覚を目覚めさせていきます。完全に変形してしまった骨は元通りにもどりませんが、体は健康に戻る方向へ回復していきます。その際は、お腹の位置を定位置に戻すことが大切だと思います。
 
 
東洋医学では、「平人無病の腹」といって、健康な人の腹は、腹部全体が温かく、適度な潤いがあって、硬からず軟らかからず、ちょうどつきたての餅のようであり、また上腹部が平らで臍下がふっくらして、手応えのあるのが良いとされています。足にトラブルがある場合は、お腹が、冷たく、硬い、凹んでいる、ふくらみが偏っている、季肋部に痛みがある、など東洋医学的には不健康といえます。健康なお腹を維持したいものです。
 
▲東洋医学概論