ターンアウト turn out 股関節の外旋 | 股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

股関節が硬い 徹底究明!中村考宏の超スムーズ股関節回転講座

骨盤後傾から骨盤をおこし股関節を超なめらかに。体幹と四肢を連動させ動きの質を追及する。運動とは人の重心が移動することである。運動を成立させるべく構造動作理論(Anatomical Activity)に基づくトレーニング方法と身体観察について綴ります。

股関節を外旋することが難しい、できない。股関節の外旋は大腿骨の長軸が外回転する動き、内旋は内回転する動き。治療院に来院される方たちをみてきて、股関節を回旋する回旋可動域の狭い方が多く、また競技動作、日常生活動作を快適におこなえるようにするために、欠かせない股関節の動きであると感じている。

 

 

クラシックバレエでは、ターンアウト turn out といって、〔足の指などが〕外側に向く、という意味で使われている。しかし、足のつま先を外へ向けても、膝から下だけが外旋して、肝心の股関節を外旋させることが、難しい、できない。股関節を外旋できる人は足のつま先を外へ向けるだけのことが、できない人にとっては難題なのだ。

 

▲日本人体解剖学 金子丑之助著

 

つまり、股関節を外旋する動きは、骨盤を受け皿にして、つま先、下腿骨、大腿骨までの配列を外回転する動きになる。ターンアウトができるプロダンサーは脚を股関節で外旋させている。それでもプロだからといって完璧な股関節のコントロールをすることは難しく、故障に発展している。だから、大人からバレエをはじめた人がターンアウトができず、挫折するのは無理もないと思う。

 

▲日本人体解剖学 金子丑之助著

 

プロが故障する原因には、運動基礎感覚のズレがある。例えば足を捻挫したときなどに靭帯や筋肉を損傷する。そのときに固有感覚受容器が損傷していることが多い。これは、深部感覚といって意識に上がらない体の中の感覚の流れに関わる感覚の受容器なのだが、足の捻挫が見た目に治ったとしても、以前のような動きができず、なにかしっくりこないような感覚があるときは、まだ固有感覚受容器の損傷が治っていないのだ。故障を繰り返したり、固有感覚受容器の損傷が残っていると、運動基礎感覚のズレができて、身体をコントロールすることが難しくなっていく。

 

▲日本人体解剖学 金子丑之助著

 

股関節を外旋できない人は、そもそもの運動基礎感覚がない、といっていい。大人からバレエをはじめて順調に上達する人は運動基礎感覚がある。運動基礎感覚がない人は、股関節を外旋できる体の状態することが先決だ。

 

▲日本人体解剖学 金子丑之助著

 

股関節を外旋できる体の状態は、股関節の運動に作用する筋肉が働く位置。筋肉の起始停止部が定位置に収まる骨格の配列を求める。趾骨、足根骨、腓骨、脛骨、大腿骨、骨盤の配列を適切にし、筋肉の起始停止部を定位置にする。そして、各関節は股関節を外旋することができる運動方向を求める。これらの要件を満たさなければ股関節を外旋できるようにはならない。

 

 

まず、自分の体の状態を把握したい。徒手検査法をもちいて、骨格の配列具合、筋肉の作用状況、関節運動の方向の反れをみていくと、そのほとんどが自覚できなかった人が多い。脊柱の配列が極端に右に偏っていたり、臀筋やハムストリングスが働いていなかったり、足首の運動方向が反れていたりするのを、自分では自覚できないのだ。そのような状況で筋肉をストレッチしたり、筋肉を強化しているので、体を複雑にし身動き取れない状態にしている人が多い。もっとシンプルに考えられる体の状態にしたい。

 

 

股関節の外旋は動きだから、股関節の動きを鍛えなければならない。運動基礎感覚のない人は、体の状態を見直さなければいけないし、運動基礎感覚がズレている人は修正しなければいけない。つまり、股関節の外旋をできる体の状態にして、股関節の外旋の動きを鍛えるのだ。

 

 

開脚ストレッチを取り入れている人は多い、単に可動域を高めるための外転ストレッチに留まらず、動きのあるターンアウトができるようになるための、ロールオーバーを取り入れ動きを鍛えたい。