説明が必要なビール〜美術館の展示に例えて | eni-bru★CRAFT BEERS ON TAP!

説明が必要なビール〜美術館の展示に例えて

昨日、お客様が美術館を二軒ハシゴされたというお話を聞かせてくださいました。

「美術展も学芸員さんの手腕によって、わかりやすい展示もあれば、そう見せるのかという展示もあります。
特に○○美術館の展示の仕方は前衛的で、よくも県立の美術館であんな展示を容認したなと、それを許可した上司のかたが素晴らしいと思います。」

お客様はそうおっしゃいました。
美術館の学芸員さんではないのですが、“その筋”の方なので、視点がそういうところに置かれるそうです。

そして、こう付け加えられました。

「関西の美術館ではできない、わかりにくい展示物や、展示の仕方を東京の美術館ならできる。
わたしはそんなに理解できるセンスを持っていないので、ついていけない美術展もあるのに、東京で開催するとお客様を動員している。
決して大阪や関西では動員がはかれないと思うんです。」と。


それをビールに置き換えるとどうなるのだろう?
ビアマン・森はお話を聞かせて頂いて、そう思いました。

そこからそのお客様に、ビールの説明でわかりやすいものと、わかりにくいものがあるという話へと変遷していきます。

例えば「フルーツビール」。
これはフルーツを使ったビールで、フルーティなり甘いなり、なんだかすぐに味わいは想像できます。

つづいて「にがみのないやさしい小麦ビール」。
これくらいの端的な説明でも、ある程度飲みやすいタイプであるとか、女性にもウケそうというのが伝わると思います。

今回入荷している中で、もっとも説明が必要なビール、つまりわかりにくいビールがあります。

「ダブルバイセプスI.P.A」

兵庫県に在住のビアマニアさんが、茨城県の常陸野ネストにて別注で造ったビールなのです。

ビアスタイルは“イングリッシュスタイル・インペリアル・インディア・ペール・エール”。
ビール好きの方ならすぐにわかるのですが、別注しない限りこのビアスタイルは世に出てこないスタイルです(だと思います)。

さて、どんなビールか、解体してご説明しましょう。
まず“インディア・ペール・エール”
頭文字を取ってI.P.Aと略しますが、ビールに使用するホップという素材の魅力である、苦味と香りという特長が十二分に反映されたスタイルのビールです。
グレープフルーツの皮のような香りや苦味を出すものもあれば、香草やハーブのようなタイプもあります。

そしてそのI.P.Aには大きく分けて、“アメリカンスタイル”“イングリッシュスタイル”があります。
現在の主流はアメリカンスタイルで、バチン!と個性を前面に押し出したビールです。例えばしっかり苦いとか、香りが強いとか。
対して、伝統を守るイングリッシュスタイルは、マイルドで角のとれた洗練された味わいが特長です。例えば苦味は後からゆっくりと奥ゆかしく出て来るとか。

そしてビールのスタイル名の頭に“インペリアル”とつくと、度数が強いという意味になります。
その昔、イギリスからロシアに献上されたビールは、長い輸送期間に堪えうるように、アルコール度数が高く造られ、その品質を保ってロシアまで届けられました。
その名残で度数の高いビールを“インペリアル”と呼びます。


はい、まだ説明は続きますよ。
このインペリアルI.P.Aは、別名ダブルI.P.Aとも呼ばれます。
倍ほど苦いよ、倍ほどしっかりした味わいだよ、という感じで捉えてください。

そして商品名の「ダブルバイセプスI.P.A」とは、このダブルI.P.Aにひっかけて、オーダーした兵庫県在住のビアマニアさんがボディビルを趣味とされていることから、ボディビルの最も一般的なポーズ「ダブルバイセプス」をもじったのです。

これでようやくこのビールがどんなビールなのか(魅力)がお解り頂けましたでしょうか?
ビアマン泣かせというよりも、ビアマンも本領を発揮させるビールです。

これが文頭の話に出て来たわかりにくい展示物にあたるでしょうか。
そしてお客様に言葉を使って説明するのが、わかりやすい展示方法にあたるでしょうか。

たくさん説明が必要なビールというのは、それだけ伝えなくちゃならない魅力がたっぷりと秘められたビールでもあります。
ぜひ他では飲めない「ダブルバイセプスI.P.A」をご堪能下さい。


さて、本日開栓の湘南ビールの「ヴァイツェン・ボック」。
先月イギリスで発表されたビールの世界大会でも、「湘南リーベ」という銘柄で世界一に輝くなど、実力が十二分に発揮されている湘南ビールの最新作です。
この「ヴァイツェン・ボック」は度数高めで、濃厚な口当たりが冬にぴったりの、小麦ビール。

現在、シャトーカミヤ牛久ブルワリー(茨城)の「ヴァイツェン・ボック」も入荷しており、まだ大山Gビール(鳥取)からの入荷も決まっています。
そろそろいつものように“恋愛”で例えて、その3つのヴァイツェン・ボックを説明し分けないといけませんね。お楽しみに。

さて、二日前にリリースされたばかりの“おすすめ料理”、「まぐろと山芋のユッケ~コチュジャン風味」が二日連続の売り切れです。すごくご好評を頂いており、提案者の料理人・林も喜んでおります。
本日も四人前限定でご用意しておりますので、お早めに。

本日はぐずついた天候で、ご予約も少なめです。
いつも混み合う金曜日ですが、本日は狙い目。
22日から予定していた“白いビール特集~ちょっと気の早いホワイトクリスマス”のビールも三銘柄開栓しておりますので、ぜひ飲みにいらしてください。
(文章/森)

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【11月からのイベント・フェアのお知らせ】

★ちょっと気の早いホワイトクリスマス~白いビール特集~★
開催/2011.11.22(火)~(ビールがなくなるまで)
一気に街はクリスマスムードが!エニブリュでは「ちょっと気の早いホワイトクリスマス」と題して、白いビール(小麦ビール)を特集してご紹介いたします。
勿論、料理人たちの“白くてあったか~いお料理”もあわせて登場します!
白いビールでこんな面白いラインナップができるのは、エニブリュだけ!

[ビールのラインナップ]
・シトラ・ヴァイセ[限定醸造/初入荷](あくらビール/秋田)
・ヴァイツェン・ボック[限定醸造/初入荷](湘南ビール/神奈川)
・ホワイト・エール(常陸野ネスト/茨城)
・ヴァイツェン(飛騨高山麦酒/岐阜)
・ウィート・ラガー[限定醸造/蔵元最終在庫](ノースアイランドビール/北海道)
・ヴァイツェン・ボック[限定醸造/初入荷](シャトーカミヤ 牛久ブルワリー/茨城)
・ヴァイツェン・ボック[限定醸造/初入荷](大山Gビール/鳥取)
・ヴァイエン・ホップ[限定醸造/初入荷](大山Gビール/鳥取)
ほか、まだ追加予定です。

★Meet The Top Brewers.
ブルワーを囲む会 Vol.10 [島根県/島根ビール編] ★

開催/2011.12.11[日] 18:00~21:00
ビールの造り手が話す「ビールの現場」。
リアルにビールの楽しさを感じる。
知的好奇心くすぐる、eni-bruのビールの学校。
[Guest Brewer] 矢野 学氏(株式会社 島根ビール 代表取締役醸造責任者)
※詳細はブログにてご紹介しております。

★クリスマスパーティ2011★
開催/2011.12.18(日)時間未定
昨年、音楽とビールのイベントとして企画し、予想以上の盛り上がりにスタッフ一同ビックリ。
とくにDJ:コースケこと、The 2nd Vine店長・有田コースケが、80年代洋楽でお客様を楽しませます。
そこに今年はマスター・西尾が参戦! しかも四周年イベントでも大盛り上がりも記憶に新しい“民民JACK”のサポートをうけて、五人体制でのバンド参戦ときたから、こりゃもう盛り上がり間違いナシでしょ!
※詳細は後日発表

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