そして、高負担だが高福祉のスウェーデンを見習えと言う声が強くなっている。まあ、いつの時代もスウェーデンというのはサヨクにとっては憧れの国らしい。では、本当にスウェーデンは安心・安全、人に優しい国なのだろうか?
本日紹介する本から引用しよう。
むしろ、スウェーデン人が国民性とでもいえるほど強く抱いているのは、「一人ひとりが自立して生きるべき」という徹底した個人主義の考え方だ。その帰結が、スウェーデン型の社会保障制度だと考えるほうが的を射ている。(中略)
本書で繰り返し述べてきたように、スウェーデン社会の基本は厳しい競争社会である。一人ひとりがしっかりと教育を受け、仕事を通じて所得を得て自活し、自己実現を果たす。そこでは、能力に応じて所得が決まり、甘えや依存は許されない。
スウェーデン・パラドックス より。
皆さんはこの一説を読んでどうお考えになるだろうか?
「え。。。?」と思われた人や、「そんなことはない!」と反発される人もいるかもしれない。
当ブログではスウェーデンが特にサプライサイドにおいて、アメリカやイギリスも真っ青の市場原理主義を取り入れていることを繰り返し主張してきた。
本書でも規制をドンドン緩和し、法人税を下げることで企業を誘致し、倒産すべき企業を助けることはないスウェーデンの市場重視の徹底したやり方が繰り返し述べられている。
また、解雇規制に関しても一般には厳しいとされるが、実際には頻繁に解雇も行われていると説く。また、平等性が高いとうことから、税の累進性が非常に強いとイメージをお持ちの方も多いだろう。しかし、これも本書ではあっさり否定される。所得税の累進性は非常に低く、課税最低限は約22万円である。各種の給付は充実しているがこれも低所得者偏重ではなくユニーバーサルにあらゆる所得階層に給付されるものが多いのである。
スウェーデンでは「働かざるもの食うべからず」の考え方が徹底されている。そして、企業の倒産も解雇も当然のように起こる社会である。ただし、働く意欲のある人(おそらく北欧の人は勤勉であるからそういう人が多いはずだろう)を助けるためには救いの手を惜しまない。そのために、失業したとしても職業訓練などの制度は非常に充実している。また、女性が働くための支援も充実している。
「貧困の罠」に陥ってしまうことや労働市場から阻害されて働くことができなくなることがないように政府は各種の制度を充実させているのである。
ただ、カワイソウだから助けましょう、格差はよくないから所得の再配分をたくさんしましょうというのでは、人々の勤労意欲を削ぎ、南欧諸国のように財政難に陥り国家が存亡の淵に立たせるだろう。実際、スウェーデンも過剰福祉でそのような状況におかれたこともあった。
そうではなく、より機会の平等を人々に与える。ただし、市場重視の姿勢と働かざるもの食うべからずの原則は決して曲げないというのが現在のスウェーデンを支える理念であると言えるだろう。
サヨクやリベラルが理想として語るスウェーデンという国はどこにも存在しないのかもしれない。
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