資本主義の終焉? | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

いつも紹介するstumbling and mumblingから。

マルクスが言うところの資本主義の終焉が近づいているのか?というエントリー。

The final crisis of capitalism?

1. The rate of profit would fall, reducing the motive to invest and producing slower growth and bigger recessions.

利益率が低下している。

2. Low returns on real assets would lead to speculative bubbles and swindles and hence financial crises.

実物資産への投資に対するリターンの低下が投機的なバブルを引き起こし金融危機を起こす

3. Increased inequality would exacerbate economies’ propensity for crises, by creating a mass of people too poor to buy the goods which capitalism produced.

拡大する不平等によって多くの人が生産物を買うことができなくなる。

4. By its end, capitalism would cease to be a means for developing the economy’s productive forces and become instead a barrier to their development

最終的に資本主義は経済の発展要因ではなく発展を阻害する要因となる。

まあ、だからといって社会主義なんていう方向性がいいわけではないことは万人が承知しているはずだ。しかし、3と4はいざ知らず1と2は当てはまっている面があるのも事実だろう。

以前、タイラー・コーエンの著書(インセンティブ 自分と世界をうまく動かす )を紹介したが、その中にローマ時代の人々と17世紀のヨーロッパの人々の生活の水準はそれほど差がなかった。という記述があった。

我々の経済は産業革命以降、急激に発展した。それまでの経済成長のスピードをはるかに上回るペースで。でも、ふと考えればそれが当たり前かどうかはわからないわけだ。経済が非常にゆっくりとしたペースでしか発展しない。そういった可能性だった十分ありうる。そして、そういった世界が来ることは実は世界の終末でもなんでもないわけだ。

Now, of course, the death of capitalism has been hailed many times before. But I suspect that this crisis differs from that of the 30s and 70s.
In the 30s, profits were depressed by weak aggregate demand, something which could be cured. In the 70s, they were depressed by labour militancy, and when this was killed, capitalists’ desire to invest was rekindled.

もちろん、資本主義の終焉は過去に何度も言われてきたことだ。しかし、私は今回は30年代とも70年代とも違っていると考える。30年代は利潤は弱い総需要によって圧迫された。70年代は労働者の闘争性によって圧迫された。

But the problem now is deeper than then. Capitalism has lost its underlying oomph ; investment was low, remember, even before the recession. And this suggests that its vitality cannot be restored by policy measures, be they Keynesian (“boost demand”) or Thatcherite (“attack workers“).

しかし、現在の問題は過去よりも深い。資本主義はすでにその魅力を失った。投資が停滞している。しかも、それはリーマンショック以前からだ。その活力はケインジアンやサッチャリズムといういずれの政策をもってしても回復しないかもしれない。

30年代の不況・70年代の不況に対する解釈の違いはあるものの、結論は僕も似たように思っている。

日本がおそらく先行して成長しない経済に入った。その間、需要を増やす財政政策、あるいは金融政策、規制改革などのいろんな政策が取られたが、経済は(僕は決して悪いと思っていないが)多くの人にとっては満足する成長スピードを取り戻すことはなかった。

そして、欧米が今それに続こうとしているように見える。

おそらく、FRBが金融緩和をしようとも、オバマが財政政策を頑張ろうともアメリカもヨーロッパも経済の回復は遅々として進まない可能性が高そうだ。その証拠にドイツもアメリカも10年国債の金利が2%を割っているのだ。そして、世界中で先進国の企業も金融機関も投資先を失ってどんどん現預金を積み上げている。

もちろん、生産性を高めるべく各種の規制緩和を行っていくことは意味があるだろう。しかし・・・。それが大きく経済を回復させるかといえば難しいのではないだろうか?

今、欧州ではソブリン危機が起こっている。我々が成長しない時代を受け入れることは実はそれほど難しくないかもしれない。しかし、その前に、ねずみ講とも言える国家による社会保障システムを一度叩き潰さねばならない。それができなかえれば、破綻の二文字が見えてくるかもしれない。

資本主義の終焉というのは大げさだが、成長しないのが当たり前の時代はそう遠くないかもしれない。


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