東日本復興国債を発行せよ! | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします

復興にどの程度の資金がかかるのかはまだまだ見えない状態である。福島の原発の問題はまだまだ予断を許さない状態のように見えるし、多くの人命の救助という課題が先決だから今はそんな話題が表に上ることはないだろう。

政府の規模を縮小すればいいと考える多くの人もこの惨事に対しては政府がなんらかの財政出動を行わなければならないと考えていると思う。(景気下支えの意味以上に被災地への所得移転を行うと言う意味で)

もちろん、どの程度?という問題はあるが、僕自身もその立場だ。

自民党は早速時限措置での増税と言う案を提案しているようだ。

一方で財政支出拡大派はこれをいい機会と国債増発で財政支出せよと言っているように思える。また、同じようなアイディアでも復興国債を日銀に引き受けさせろという暴論もあるようだ。

そもそも景気浮揚と被災地を助けるの(被災地への所得移転)は別のはずで、両者を一緒にしてやろうという悪意を感じられる。景気を下支えする(あるいは危機対応)には日銀による金融緩和で十分である。

いずれにしても、復興支援の財源として何がベストの方法だろうか?

個人的には上記のどちらもいい方法には思えない。

リカードの中立命題 が成り立つならば、増税も国債発行も行き着く先は同じである。

国債発行が将来の増税によって最終的に返済されると多くの人が考えるならば、国債を今発行して復興資金に当てようが、今増税して復興資金をファイナンスしようが長期的には同じである。(そして、現在の財政状況と財政再建をめぐる国民の注目の高まりを考えれば、その前提は成り立つと考えられる)

一方で個人的には時限措置的な増税には以下の問題があると思っている。

①今、多くの人の間で寄付をしようと言う雰囲気が高まっている。僕は非常にすばらしいことだと思っている。しかし、時限措置的とはいえ増税は結局、復興は政府がやればよいと多くの人に考えさせて寄付をしようという気運の高まりを抑えてしまうことにならないだろうか?

②時限措置による増税というのは本当に時限措置で終わるならばいいかもしれない。しかし、復興への道のりは相当長いだろう。そして、政府がどの程度、復興を支援するかという議論は必ず数年後に起こってくると思われる。阪神・淡路大震災のときにも、やはり(良くも悪くも)再開発利権・復興利権のようなものが生まれてしまったと聞く。時限措置の増税の撤回は「不幸な被災地への支援を終わりにするのか!」という議論を巻き起こすし、それは利益団体に必ず利用されるだろう。

政府が適切に判断できる保証はない。むしろ過去の日本政府の対応を見るならば失敗すると考えたほうがいいだろう。

③その上、財政再建へ向けた動きをさらに遅くしてしまう可能性も高い。現在の状況の中では難しいかもしれないが、復興資金の捻出のために少しでも財政再建をするのが本筋だと僕は思っている。

国債の発行も上記の②や③と同じような問題を抱える。しかもなしくずしの財政拡大を招く可能性が高いと言う意味ではよりたちが悪いかもしれない。

では、どうすればいいのだろうか?

個人的にはこの記事のタイトルにもあるように「個人向け東日本復興国債」の発行を提案したい。

ユニクロの柳井氏は今回の震災に際して10億の寄付をしたという。そのほか、個人で多額の寄付をしている人も多い。しかし、寄付というのは返ってこないお金である。いくら金持ちでもその資産の10%も寄付できる人は少ないだろう。しかし、使途が明確になった国債ならば、10億寄付をしてくれた柳井氏なら50億くらい購入してくれるかもしれない。

この案のメリットは・・・

まずは、各個人の寄付をしようという気持ちをうまく活用できるところが第一のメリットである。

そして、政府が恣意的にいくらを復興資金に回すのかと決めるのではなく、国民の総意がどれくらいなのかというのが明確にできる点が一番よい。

あくまでアイディアだが、1億以上購入者の名前を公開してもいいかもしれない(もちろん本人の了承を得られた人のみ)

さらに、この資金は明確に別会計で管理することにすればいいだろう。

もちろん、そんなこと言ったってどれくらい金が集まるかわからない!という意見もあるだろう。


ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ
少し古いが個人向け国債の販売実績のグラフである(MOFのHPより)

金利がどのレベルかによるが多いときは2兆以上の額を発行できている。(残念ながらH19年4月までしかこのグラフにはない。最近は金利低下と飽きられたこともあるのか販売額が急減していると言うから、その点は注意が必要だろう)

寄付しよう!という気持ちの高まりと被災地を救いたいという多くの国民の思いがあれば2兆と言わず5兆、10兆が販売できるのではないか?と考える僕は甘いのだろうか?(もちろん、この予測が外れた場合には別の手段を考えねばならないことは言うまでもない。)

しかも、販売する証券会社や銀行に仕事ができる。おそらくこんな状況で個人の資産運用サイドのビジネスはなかなか厳しいだろう。この復興債は気兼ねなく顧客と話すいい機会に彼らにとってはなるはずで、そこから別のビジネスも広がるかもしれない。

商品設計はさすがにここでは論じないが、たとえば、満期は3年・5年10年とかでシンプルなものがいいだろう。

そしてこの国債に基づくお金が償還した後にさらなる復興支援が必要であれば、その後は政府の財政支出削減や国民の信を問うた上での増税で資金を捻出すればよい。

ある程度期限を区切ることでより効率的な復興支援が行われることも予想される。

増税派も財政支出拡大派も財政再建派からも大きな反対はでなそうなのも大きなメリットだし、もし必要額が集まらなければその後に対策を考えればよい。デメリットもあまりないし民意も反映できるなかなかいい案だと思うのだが、どうだろうか?

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