移民政策を肯定してみる | ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」

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ロンドン・東京そしてNYといつの間にかいろんなところを転々とそしてまた東京に。海外なんて全く興味なかったし今もないという予想外の人生でした。今は東京に戻りしばらくお休みしていましたが少しずつ再開してみようかと思ってます。よろしくお願いします


以前、移民の大規模な受け入れに対して疑問を呈した。日本を見る限り、移民のデメリットはメリットを上回る可能性が高いと僕は考えている。ただ、同時に冷静な議論が必要だと思っている。今日は肯定的な側面からの意見を紹介しながら考えたい。(参考過去記事→移民政策への疑問


移民が大量に流入したら職が奪われるという誤解を持っている人が多く、それを反対の根拠にあげる人が多い。本当にそうだろうか?


このブログからまずは要約してみる。(stumbling and mumbling)

http://stumblingandmumbling.typepad.com/stumbling_and_mumbling/2011/01/migration-wages-more-evidence.html


移民がネイティブの労働者の賃金に好影響を与えるという研究がさらに出てきた。


ヨーロッパの国々は国外への移住者によって平均賃金の減少と平等性の低下を経験してきた。一方で移民(国内への移住者)は平均賃金の上昇と平等性の改善にプラスの効果をもたらしている。


ふつうは移民がやってくれば、労働の供給増加によって賃金が低下すると考えられる。しかし、それは違うという3つの理由がある。


*長期で見れば、労働供給の増加に伴って資本が蓄積されるので労働力に対する需要が上昇する。

*移民はネイティブの労働者の完全な代替物ではない。

*スキルのある移民の流入は新しい職を生み出す。


といった内容。


以前、僕が書いたのは低スキルの移民の流入は低スキルのネイティブの労働者を短期的にはクラウディングアウトするが、ネイティブの労働者のより高スキルの職への移動とその努力を促すので結果としてはプラスの効果がある可能性があるということ(たしか実証的にも証明されたという論文もある)


いくら移民が増えたからと言っても、それぞれの国にはさまざまな習慣があるし、言葉の問題もあるからどうしても移民では無理という仕事は多々あるはずだ。そういった仕事までもが移民に奪われることはないというのは当たり前の話だろう。


当然、スキルのある移民はいろんな付随する仕事を生み出すというのは言うまでもない。たとえば、街に外資系企業のオフィスができれば、その街のさまざまなものやサービスに対する需要が増えるのは容易に想像できる。その会社の社長や幹部の家にはお手伝いさんとして雇われる人もでるだろう。もちろん、日本人の雇用も増えるはずだし、日本人が現地法人の社長や幹部に登用されることも多いだろう。


このように考えていけば移民というのが必ずしもネイティブの仕事を奪ってしまうわけではないのが容易に想像できる。また、ネイティブと移民が競争することになれば、その国の労働力の質の改善にも大きくつながるだろう。


このような経済的な観点からは移民はやはりプラスの効果があるのではないかと思う。(だから賛成とはならない点は注意。社会的なコストも見ないといけないからだ。)


いずれにしても、やはり上記のようなことが達成されるためには(高スキルでも低スキルでも)優秀で勤勉な移民の受け入れが必要で、そのためには日本がビジネスのしやすい魅力的な国にならねばならないということがわかる。なんでもかんでも移民を受け入れましょうといえばそれでいいというわけじゃあない。繰り返すが、社会的コストの大きさを考えれば、移民受け入れが日本にとってトータルでプラスになるとは僕は思っていない。


てか、このコラムの内容だとむしろ、優秀な日本人の流出こそ危惧しないといけない。こっちのほうが問題だろう。


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