きわめてシンプルだがシカゴ大学のポスナーのブログから。経済発展と教育について。今日は途上国の教育について書かれている部分の要約をしたい。
途上国では「にわとりと卵」のような議論がある。高い教育を行うには高度な知性を持った人間が必要だが、途上国にはそういった人が少ないという問題だ。この解決方法は海外への留学生を増やすことだろう。もちろん、彼らの中にはそのまま海外に住みついて戻ってこない人もいるが・・・。同時に早い段階での英語教育が海外留学のためには必要だろう。
さらに、市民的価値観を植え付けることも途上国での教育では重要だ。正直さ・知識を大切にすることさらに国家への忠誠心は特に大切だ。
一方で血縁があまりにも強いことは政府の効率性を減らしコストを増やす。縁故主義がはびこり、社会の機動性がなくなり商業的価値が軽視されるからだ。
という内容。
一段目の話は誰でも納得できる内容。日本も明治以降多くの留学生を海外に送り込むことで発展してきたわけだし。
そういえば、最近は日本からの留学生が減っているということがなにかすごい問題のように捉えられているが、海外に出ても学ぶものがさほど多くなくなったということが原因であり大騒ぎすべき問題ではないように思う。
海外の大学に通う分の投資に見合うリターンがそれほど得られないからであり内向きとか以前に当たり前の現象だからだ。もちろん、経済的に余裕がなくなってきたからお遊びの留学が減ったというのも原因だろう。
ただ、国内市場が頭打ちになりますます企業のグローバルな活動が活発になることが予想されるからそれにあわせて日本人が語学の学習に再び熱心になる可能性は高いだろう。
ちょっと「むっ」と思ったのは二段目。家族の絆が強すぎることは問題だと書いてある。たしかに、多くの途上国では縁故というものが強すぎてワイロなどが横行している印象がある。となりの国の韓国でも本当かどうかは知らないがただ大学を出るだけではダメでコネがないとなかなか就職できないと言う話も聞いたことがある。
そういう意味では程よく家族の絆を緩め、あるいは国家に対する忠誠にそれを若干変質させていくということは非常に大切だろう。
日本だって昔は長男は地元に戻って来いと考えている人や女は大学なんか行かなくてもいいと考えている人も多かったはずだが、それは明らかに国全体で見れば効率性を削ぐ考え方であったように見える。
ただ、究極的に自由主義/個人主義を推し進めればアメリカの保守派のような家族を重視する考え方になるとも思うので、その辺はどうなんだろう。なぜなら人間は一人では結局生きていけないからだ。
いずれにしても、発展のためにはよりよい教育が必要だが、途上国にはそれを阻害する要因が多々存在している。実際、子供は労働力だと考えている国もまだまだ多いだろう。なんで勉強させるんだ?と。
そう考えれば、江戸時代から寺子屋などがあり子供に学習させようという気風のあった日本が急速に発展した理由も容易に理解できるだろう。
↓ブログランキング参加しています。クリックしてもらえると励みになります