全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー

当サイト「全国ご当地エネルギーリポート!」は、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議(エネ経会議)が主催するものです。著書『ご当地電力はじめました!』『自然エネルギー革命をはじめよう』で、全国で動きはじめた再生可能エネルギー(自然エネルギー)をめぐる面白い取り組みを伝えた、ノンフィクションライターの高橋真樹さんを特派員として派遣。各地でリアルタイムに起きているワクワクするような活動をつぎつぎと紹介していきます!エネ経会議についてはコチラ! 

ノンフィクションライター高橋真樹の自然エネルギーの書籍

最新刊2016年7月20日出版
『そこが知りたい電力自由化–自然エネルギーは選べるの?』
(著:高橋真樹/大月書店)




 ついに始まった電力自由化。
 私たちの暮らしはどう変わるのか?
 原発や 自然エネルギーはどうなるのか?
 「どこが安いか」の情報の中で抜け落ちる
 価格より大切なこととは?
 電力自由化とこれからの暮らしについて
 わかりやすく伝える入門書



こちらから試し読みもできます。
 『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)

 ワクワクする地域や市民のエネルギーの取り組みを紹介!
 エネルギーを、ひとり一人の手にとりもどそう!
$全国ご当地エネルギーリポート!
    『自然エネルギー革命をはじめよう
           ~地域でつくるみんなの電力』


    紹介動画はこちら
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 『親子でつくる自然エネルギー工作①風力発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作②太陽光発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作③小水力発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作④太陽熱&バイオ発電』
※テーマは各地域とあつかっているエネルギーの種類別に分類しています
※リンクバナーはこちら ご自由にお使いください

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 明けましておめでとうございます。このリポートを主催するエネ経会議をはじめ、応援していただいている皆さんのおかげで、今年の3月には連載100回を数えることになりそうです。今年もどうぞよろしくお付き合いください。

 

2017年最初の記事は、電力自由化についてのコラムの続きになります。前回は、「あれこれ考えずに、ひとまず電力会社を切り替えてみようという」という話をしました。今回はさらに踏み込んで、一般の方にとってとっつきにくい「電力自由化」とどんな態度でつきあっていけば良いのか、という点についてまとめました。

◆    トピックス

・今が安ければいいの?

・「消費者」か「参加者」か?

・電力自由化は「投票」と同じ

・クラウドファンディングで育てる

 

◆ 今が安ければいいの?

 

前回、今の時点で切り替えている家庭は「決して少なくはない」という分析もできると言いました。そして、すでに切り替えた人のほとんどは、安い価格や付加的なサービスが理由となって切り替えています。それ自体は悪いことではありませんが、価格やサービスだけが基準になってしまうとさまざまな弊害も生まれます。

 

現在の日本では、「発電コスト」に限れば電源として原発や石炭火力が安いことになっています。「安いことになっている」という表現をしたのには理由があります。実際は、どちらも適正な社会的なコストが省かれているので、実は長期的には決して割安とは言えないからです。

 

2016年末には、事故を起こした福島第一原発の廃炉費用や事故処理費用を誰がどのように負担するかという議論が行われました。試算では2013年に11兆円とされていましたが、今回は倍の21.5兆円にものぼることがわかりました。今後もこの費用は膨らむ可能性が大いにあります。

 

さらに、それ以外の原発でも廃炉費用の積立不足などが明らかになってきています。これら足りない分の一部を、電気を使う人全てに負担させるため、送電網使用料金(託送料金)に上乗せするという方向で話が進んでいます。本当に安いのなら、原発を使っていない新電力会社の使う送電網に上乗せするようなことはしないはずです。

また、石炭火力については、温室効果ガスを最も多く排出することで、長期的に見て環境に大きな負荷をかけるものです。そのような電源を長く使い続けることで、将来的には別のコストをかけて環境対策をしなければなりません。その環境コストは社会全体で負担するのに、発電して得られた利益は一部の企業のものになる、というのは問題です。

 

このように、「安い」というイメージのある原子力や石炭には、表に出にくい莫大なコストが隠されています。その「隠れたコスト」が含まれず、単に発電のためにかかる目先のコストだけで「どちらが安いのか」を判断するのはフェアではありません。

 

欧州では、石炭火力に対しては環境税が付加されるなど、「隠れたコスト」を見える化していこう、という動きが進んでいます。でも日本社会には国にも経済界にもそのような認識がなく、表面的な価格で安いと判断されてしまいます。

 

そのため、2020年以降に大型の石炭火力発電所が続々と新設される予定になっています。世界の先進国で気候変動の問題などを受けて、石炭火力発電所が閉鎖になったりする中で、これだけ多くの石炭火力発電所の新設を予定している国は日本だけです。電力自由化で多くの人が「表面的な安さ」ばかりを重視してしまうと、そのような動きが加速していってしまうのです。

 

図:日本の石炭火力発電所の設備容量。青が既存の設備で赤が新規建設予定の分(作成、気候ネットワーク)。

 

◆消費者か?参加者か?

 

ぼくたちは、スーパーで野菜を買ったり、携帯電話のキャリアを乗り換えるときは「少しでも価格が安い方」を選びがちです。でもぼくは、一円でも安いモノを選ぼうとして粗悪品を買ってしまい、結局損をした経験があります。

これを電力自由化で考えるとどうなるでしょうか?「電力の消費者」として考えれば、どこを選んでも得られる電気の質は同じです。だから粗悪品をつかまされることはありません。それこそ、安い方を選ぶ方が合理的に見えるかもしれません。

 

しかし、電源までさかのぼって社会的に考えれば、実は多くの人が損をする選択肢を選んでしまうリスクがあります。価格はもちろん大切です。でも電力については「消費者」という視点だけではなくて、「この社会を形作るメンバーの参加者」という視点も含めて選んで欲しいと思います。

 

◆電力自由化は「投票」と同じ

 

消費者か、参加者か、という問いかけは、必ずしも二者択一で選ぶ必要はありません。たとえ「自然エネルギー100%の電気」が手に入れられることになっても、その電気代が2倍3倍もしたらぼくだって支払えません。コストはもちろん重要ですよね。それでは現在「パワーシフトキャンペーン」などで紹介している自然エネルギー普及を目指す新電力は、どれくらいのコストがかかるのでしょうか?

パワーシフトキャンペーンで紹介している新電力会社リストの一部

 

電力会社やプランによっても異なりますが、おおまかに言って、今までの電気料金とほとんど変わらないと言っていいと思います。高くなる場合も、安くなる場合もありますが、おおむね3%から5%の範囲内と考えていただければ良いでしょう。詳しくは、普段使っている電気代をチェックしながらシミュレーションをしたり、直接新電力会社に問い合わせてみることをお勧めしますが、どこに切り替えても、価格が何十パーセントも変わるということはありません。

 

その反面、現時点では「自然エネルギー100%の電力」を購入することはできません。世の中は一気に変わるわけではありません。今はこれまで選択できなかったものが、少しずつ選択できるようになった段階です。では「自然エネルギーの割合をもっと増やしたい」と思っている一般の人は、どんな態度で関わればいいのでしょうか?

たとえ現在の自然ネルギーの割合が20%や30%程度であったとしても、その会社が将来的に自然エネルギーを増やそうというビジョンをしっかりと持っているなら、そのような会社を選んで、より割合を増やしていけるように応援して欲しいと思っています。

多くの人がそのような選択を取れば、社会に自然エネルギーのニーズがあることをしっかりと示すことができます。それは単にその会社の自然エネルギーの割合を増やすだけではなく、社会の中で自然エネルギーの存在感を増やすことにもつながります。

 

ぼくは、電力自由化は「投票」と同じだと考えています。今までは、電力会社を選ぶという「投票権」は与えられていませんでした。それが2016年から曲がりなりにも投票できるようになりました。選挙で投票するときも、自分にとって100点満点の候補者というのはなかなかいないですよね?だからといって選挙に行かないわけではありません。その中でよりマシな方を、一生懸命考えて選ぶ行為が、民主主義を形作るのです。

 

電力自由化についても同様で、現時点では100%満足できる選択肢はないかもしれません。それでも、今までよりは良い選択肢が登場してきました。にもかかわらず、いつまでも「よくわからない」「めんどうくさい」「満足のいく選択肢がない」と理由をつけて何もしなければ、これまでの大手電力会社に一票を入れているのと同じことになってしまいます。

もちろん、意識してこれまでの大手電力会社を選ぶなら、それはそれでいいと思います。いずれにしても、今までは持ち得なかった「電力会社を切り替える投票権を使う」という意識を持てるかどうかが大切になってくるように思います。

 

◆クラウドファンディングで育てる

 

電力自由化については、「投票」という視点の他に、「クラウドファンディング」というとらえ方もできます。クラウドファンディングは、人々が共感できるプロジェクトに少しずつお金を出し合い、プロジェクトが成立すると出したお金に応じてお礼なりプレゼントがついてくる仕組みです。自分が選択したいと思う未来に、具体的に参加して応援していくことができるのです。

 

電力自由化では、電気料金として支払ったお金の一部が、自然エネルギーの発電所やそういう発電所の電気を購入している会社に回ります。投票と違って、具体的にお金の流れが変わるというのは大きなことです。現時点で、自然エネルギーを広めようと新しく立ち上がった電力会社は、従来の大手電力会社に比べれば資金力、人材、ノウハウ、設備、どれをとってもまだまだ弱小です。それでも、さまざまな工夫をこらして厳しいビジネスの現場でサバイバルしていこうとしています。

そこで多くの人がクラウドファンディングとして、自分の希望に近い会社を応援していけば、弱小だった小売会社をたくましく育てていくこともできます。そのように電力自由化は、みんなで理想の電力会社を育てていくチャンスとしてとらえることもできるのです。

 

選択の際には、これまでぼくのリポートやパワーシフトキャンペーンのWEBサイトなどで、自然エネルギーの普及や地域活性化という視点から、お勧めする電力会社の一部を紹介しているので、参考にしていただけたらと思います。電力会社の切り替えがまだの方は、新年を迎えたこのタイミングで、一度切り替えてみてはいかがでしょうか?

 

◆ 関連リンク

・パワーシフトキャンペーンの新電力会社紹介

・これまでの「全国ご当地エネルギーリポート」での新電力会社紹介

(数字は記事掲載時点のものなので最新のデータなどは各新電力会社にお問い合わせください)

・みんな電力(東京電力管内が対象),生活クラブエナジー(生活クラブの組合員が対象),中之条電力(群馬県中之条町が対象)

・Looop(全国展開),みやまスマートエネルギー(九州地域が対象)

・パルシステム電力(パルシステムの組合員が対象)

・湘南電力(神奈川県内が対象)

 

◆好評発売中!高橋真樹の電力自由化についての著書

 

『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』(大月書店

 

 

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早いもので2016年も年末です。今年の4月に電力自由化が始まってから、すでに8ヶ月がたちました。今年最後の全国ご当地エネルギーリポートとなる今回と次回は、電力自由化の現状がどうなっているかを踏まえて、ぼくたちがどう関わっていけばいいのか、ということを取り上げていきます。なお、電力自由化について「通販生活」にインタビューいただきましたので、こちらも合わせてご覧ください。

 

通販生活・高橋真樹インタビュー「消費者一人ひとりの選択が、自由で公平な電力システムを実現させる」

 

電力自由化は、日本の電力システムをより開かれた、効率のよいものにしていこうという「電力システム改革」の一貫として進められているものですが、その制度をどうするかについてさまざまな検討が進んでいます。中でも、そもそもはあまり電力システム改革とは関係がなかったはずの原発にかかわる問題がねじ込まれようとしています。最近ニュースで目にする「原発の廃炉費用を送電網使用料(託送料金)に乗せてしまおう」という話もその一つです。これについては今回の記事では詳しく触れませんが、パワーシフトキャンペーンのサイトを参照してください。今回は、電力会社の切り替えというポイントに絞って、今私たちにできることは何かをお話しします。

 

◆トピックス

・切り替えた家庭は少ない?

・なぜ9割以上が切り替えないの?

・手続きはめんどう?

・切り替え先はどこでもいい!?

 

◆切り替えた家庭は少ないのか?

 

ぼくは今年7月末に『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』という本を出版しました。そのため、全国で電力自由化について講演する機会が増えています。ぼくの電力自由化の講演会の聴衆は、貴重な休みにお金を払って参加するというエネルギー問題にかなり関心の高い方たちです。ところが、たいていの講演会場では、電力会社(小売事業者)を切り替えた方に手を上げてもらうと、50人中2人か3人、というのが実情です。それだけ熱心な方でもその程度なのだから、一般の方はなおさら行動には移していないということがわかります。

 

全体の状況としては、電力会社を切り替えた家庭はおよそ234万件(11月30日現在)になります。この数字は、全国6253世帯のうちの3.7%に当たります。地域別では東京電力管内(132万2700件)が最も多く、そのエリアでは6%台になっています。これに関西電力管内の47万6100件を加えると、全国で切り替えた家庭の77%になります。つまり、首都圏と関西圏の切り替えはそれなりに選択肢も多く、切り替えが進んでいるものの、それ以外の地域との格差がかなりあるということです。

 

全国で3.7%という数字をどう考えたらいいのでしょうか?もちろん、全体の96%以上がまだ切り替えていませんから、「少ない」と考える人が多いのはわかります。しかし、民間の研究機関(富士通総研など)が事前に予測していた数字としては、自由化が始まって1年経った段階(2017年3月)で1%程度とされていました。彼らからすると、1年も経たずに4%に迫る勢いを見せている現状は、驚くべき数字と言えるかもしれません。

また、既存の電力会社にとって脅威といえるのは、一度切り替えた家庭の多くは、もう元の電力会社には戻らないということです。 中でも東京電力管内には、原発事故を始めとして東京電力にあまり良い印象を持っていない方が多いように感じられます。その人たちがいったん新電力に切り替え、もし何かの都合でもう一度別の電力会社に変えるとしても、その中に東京電力は入らないだろうと考えられます。現在、東京電力管内で切り替えた家庭は6%ですが、東京電力にとって「二度と戻ってこない顧客」と考えると、意外と大きな存在になってくるのです。

 

もちろん東京電力はそのことをよくわかっているので、他の電力会社の管内で営業をしたり、ガス会社を始めさまざまな事業者と提携したりするなど、巻き返しに必死になっています。いずれにせよ、この切り替えた世帯の数字が増えれば増えるほど、ボディーブローのようにダメージが蓄積してくる可能性があります。切り替えた人の数、という意味ではそのような考え方もできるのです。

 

◆なぜ96%の人は切り替えないのか?


「決して少なくはない」というとらえ方はできるのですが、一方で多くの人はなぜ切り替えていないのか、ということもやはり気になるところです。最大の理由は、「よくわからない」「めんどうくさい」というものです。電力自由化により、戦後はじめて電力の購入先を選べるようになったのですが、何しろ馴染みのないことなので、どうしていいかわからない、というのが率直な反応です。

 

めんどくさい?

 

その中で、各会社が販売している電気の内訳(電源表示)が義務付けられていない、という問題も指摘されています。それによって一般の消費者は価格以外で判断ができず、結果として選択できなくなってしまっています。 その電源表示も含めて、切り替えにかかわる情報が一般の方にはまだまだわかりにくいといったことや、具体的なメリットが見えにくいということも理由になっています。

 

たとえば「価格が安くなる」といっても、現状の3%や5%程度では面倒な手続きをしてまで切り替えようというインセンティブが働かない人は多いのです。また、電気は目に見えないので電力の購入先を替えても、コンセントから届く電気の質には何ら変化がありません。このような実感の湧きにくさが、行動につながらない要因にもなっているでしょう。

 

◆切り替えはめんどう?

 

ただ一般の方が思うよりも、切り替えの手続きはとても簡単です。必要なのは毎月家庭に届く「電気ご使用量のお知らせ」という紙だけ。そこに記載されているさまざまな情報を、切り替えようとする新電力に電話やネットで伝えればおしまいです。あとの手続きはすべて新電力がやってくれますから、こちらから今まで契約していた電力会社に連絡する必要はありません。携帯電話のキャリアを切り替えるときよりもよほど簡単です。

 

手続きの他に多くの方が心配されるのは、新電力会社の信頼性です。長年にわたって電力供給を続けてきた大手電力会社に比べて、できたばかりの会社に切り替えるのは何かと不安、という気持ちはわかります。しかし、「電力会社を切り替える」といっても切り替えるのは「データとして電気を取引する相手が変わる」というだけのことです。

 

どこに替えたとしても、「発電所で生まれた電気が送電網を伝って家庭に届くという物理的な電気の流れ」はいっさい変わりません。 そのため新電力に切り替えたからといって、停電が増える心配は不要です。そもそも「電力の小売」という概念がわかりにくいので、物理的な電気の流れと取引上のデータとしての扱いが混ざってしまっている方が多いのですが、そこは分けて考えていただければと思います。

 

また、万が一その新電力会社が事業から撤退するようなことがあっても、別の新電力会社に切り替えれば済むことです。切替えに伴うリスクはほとんどない、と言っていいでしょう。

 

◆切り替え先はどこでもいい?

 

ぼくのオススメを言わせてもらえば、ぜひ一度電力会社を切り替える体験をしていただきたいと思います。今までの人生で電力会社を切り替えるなんて考えたこともなかった方がほとんどですから、その敷居はものすごく高く見えてしまっていると思います。でもこれまで述べてきたように、やってみればあっけないほどに簡単です。毎月の電気代が下がったり、自然エネルギーの割合が増えたりと嬉しいこともあります。

 

やってみてはじめてわかることもあるので、「とにかくどこでもいいので一度切り替える」という体験をすることが大事だと思います。そのうえで、自分の希望に合った電力会社はどこなのか、じっくり考えてもらえば良いのです。

 

実は電力自由化が始まる以前(2016年1月)に、ご当地エネルギーレポートでは「4月になったからといって、すぐに慌てて切り替える必要はない」とお伝えしました。実際、その後システムのトラブルや、4月時点にはなかった新しい新電力会社のプランなどが発表され、現在はだいぶ落ち着いてきています。自然エネルギーを増やしたいと考える人にとっても、それなりの選択肢が増えてきました。いったん切り替えるならそろそろ良いタイミングではないかと思うのです。

 

その上で、やはり自分は自然エネルギーを重視した会社を選びたいということなら、パワーシフトキャンペーンの新電力会社の紹介コーナーから選んでください。 最初に切り替えるときの注意事項としては1点だけで、電話やガスなど何かとセットにしたり、長期契約にしたりすると、次に切り替えるのが簡単ではなくなってしまいます。通常の電気だけ契約するプランであれば、ほとんどの新電力会社は契約期間を定めていないので、月単位でいつでもまた切り替えることができます。念のため、切り替える際にその点だけ確認いただくと良いでしょう。

パワーシフトキャンペーンのホームページの一部 

 

今回はここまで。後編ではもう一歩進めてどんな会社を選べば社会が変わるのか、そしてどんな姿勢で電力自由化と向き合っていけばよいかについて述べていきます。

 

◆関連リンク

パワーシフトキャンペーン

◆高橋真樹の新刊好評発売中!

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省エネそして快適な住まいの「低燃費住宅」への宿泊体験のリポート、第二弾は夏編です。低燃費住宅の部屋では冬でも暖かかったり、部屋によって温度差がないのでヒートショックなどが起こりにくいことを紹介しました。では、夏の蒸し暑さに対してはどうなのかについて気になるところだと思います。今回は夏にポイントを絞ってお伝えします。

川越モデルハウスの大きな吹き抜けとシーリングファン。家全体で空気がよく循環するようになっている。

 

◆今回のトピックス

・真夏の一軒家を冷やすのに必要なエアコンは?

・窓のある魔法瓶

・湿度はどうなる?

 

◆真夏の一軒家を冷やすのに必要なエアコンは?

 

一般的に、高気密高断熱の家は冬は暖かいけれど、夏は熱くなると考えている人は多いようです。また、ドイツ式の家では日本の夏の蒸し暑さに対応できないのではないかという懸念もあるようです。

 

確かに一般的な日本の家で単に気密性を高め、断熱材をたくさん入れるだけの工事をしてしまえば、うまく湿気を逃がすことができないケースもあると聞きます。 また、夏の日射をさえぎる方法がきちんと考えられていなければ、窓から入ってくる日差しで暖められた室内の空気が外に出ないため、必然的に暑くなってしまいます。施工会社によっては実際にそういう家をつくっているところもあり、それによって「高気密高断熱は夏は暑い」と考える人が増えたという話も聞きます。

川越モデルハウスの壁面の断面図。一番手前の漆喰が、湿度の調節もしてくれる。

 

では低燃費住宅はどうでしょう?今年8月の猛暑日に、低燃費住宅にお邪魔しました。モデルハウスを施工した齋賀設計工務の方に、川越モデルハウスに再度お邪魔したいと伝えると、ちょうど新しい低燃費住宅の家を埼玉県狭山市で建設中なので、そちらを見に来て欲しいと言われました。

 

「完成していない住宅なのに性能がわかるんですか?」と尋ねたところ、「それがわかるのが低燃費住宅です」という自信満々の様子。 夏の暑さ対策に効果があるんだろうか?さらに、建設中なのにそれがわかるのか?という2つの疑問を抱えて訪問しました。

 

狭山市に建設中の低燃費住宅。断熱に関係する外壁や窓は施工済みだった。

 

当日の狭山市は外気温が33度、湿度が75%の猛暑日でした。バス停から建築現場までわずか5分程度の距離を歩いても汗が滴ってきます。 現場では2階建ての一軒家の外壁や内装などをまさに建設中でしたが、家の基礎や天井、断熱材の充填や窓の設置工事は済んでいました。いわば建物としての躯体はできています。

 

蒸し暑い外から玄関を空けて中に入るとひんやり涼しく感じました。室温はだいたい25度程度、湿度も60%以下に保たれています。もちろんガンガンにエアコンをかけているものと思いきや、なんとエアコンは止まっていました。冬に続きまたしても衝撃を受けました。

内部は完全に工事中。

 

工事中にもかかわらず、室温と湿度は快適に保たれていた。

 

さすがに外は33度なので、ずっとエアコンを使っていないわけではありません。エアコンを止めて30分から1時間ほどすると、温度が2度程度、湿度も5〜6%程度上がってきます。そのときは5分ほど稼働します。それでも2階建ての一軒家で使っていたそのエアコンの性能は、なんと4畳用の簡易なエアコン一台のみ。工事中ということもあって仮に置いてあるものですが、これでも家全体を涼しくするのに十分すぎるほどでした。

 

ときたま動かすエアコンは、4畳用の簡易エアコンのみ!

 

このことは、家の気密と断熱がしっかりしていれば、夏を涼しくすごすために高価な機械に頼る必要はない、ということを意味しているようです。通常の家では部屋の数だけエアコンがないと快適にすごせないのですが、家にまつわるぼくのそのような常識は、この住宅の性能の前にまたしても覆されました。もちろん、気密性と断熱性だけでなく、窓の位置や建物の形や庇など、夏の強すぎる日射を防ぐための数々の工夫もされています。それにしても、なぜこのようなことが可能になるのでしょうか?

 

◆窓のある魔法瓶

 

株式会社低燃費住宅の代表を務める早田宏徳さんは、「家を魔法瓶だと考えてください」と説明します。魔法瓶は長い時間、温かいものを温かく、冷たいものを冷たく保ってくれます。低燃費住宅もそのように設計されているので、冬も夏も対応できるということです。

 

住宅は魔法瓶とちがって窓がついています。いくら断熱してもここから熱が逃げていってしまっては効果がないので、窓に力を入れて樹脂製のトリプルサッシを活用しているのです。それによって、温度が変化しにくい環境がつくられています。

大きめの窓もしっかり断熱することにより、中の涼しさを逃さない、外の暑さを入れないということが徹底されている。

 

以前の記事でお伝えした巨大冷凍庫の中に体感ショールームをつくったYKK APの広報部の方も、さすがにトリプルサッシは日本ではまだ一般的ではないけれど、樹脂製のペアガラスの窓を推奨して、いずれ日本の標準になるようにめざしたいと言っていました。光熱費の削減と夏も冬も快適な空間の両立をめざすために優先すべきは、やはり窓のようです。

 

とはいえ、さすがに猛暑日には外気温の影響を受けます。そのために低燃費住宅では、家に1台だけエアコンを設置して、どうしても暑くなったときに少し動かしています。でも数分もすればすぐにまた家全体が涼しくなるので、同じ時間動かしてもエアコンの消費電力が通常の家とでは大きく違ってきます。このように、従来の家とはエアコンを始めとする家電の使い方がまったく変わってくるのです。

 

8月26日の川越の外気温。日中は35度に達した。

 

同じ時間帯の低燃費住宅(川越モデルハウス)の室温。エアコンに頼らなくても外の気温の変化を受けにくく、25度以上になっていない。

◆ 湿度はどうなる!?

 

室温に加えてぼくが夏に気になっていたのは、あのジメジメする湿度についてです。エアコンの効きが良いので、エアコンをいつもかけていればジメジメすることはありませんが、先程伝えたように、この家はエアコンに頼らなくても湿度はあまり上がりません。その理由は、壁の漆喰にありました。壁の内側にびっしり塗られた漆喰が、湿度が多すぎれば吸収して、自然とコントロール(調湿)をしてくれるようです。そのため、夏もエアコンに頼らず快適な湿度を維持しています。

 

2016年9月には、外の湿度85%だった雨の日に、再び川越モデルハウスを訪れましたが、室内の湿度は床から天井まで、2日間に渡って70%を越えることはありませんでした。

 

 

9月22日に再び川越のモデルハウスを訪問。外の湿度は80%以上だが、室温は快適に保たれていた。

 

部屋の湿度は40%から70%程度がちょうど良い値とされています。それより低ければ乾燥してウイルスが繁殖しやすくなり、高いとカビが発生しやすくなります。カビが増えればダニも増えるので、アレルギーも起こりやすくなります。とはいえ、この範囲内で湿度をコントロールするのは、除湿機や加湿器を使ったとしてもなかなか難しいことです。それがこの住宅では実現していました。

 

ぼくはエネルギーを中心に家のことをお伝えしているので、どうしても省エネかどうかだけに注目してしまいがちですが、川越のモデルハウスや建築中の住宅などを何度か訪問する中で、もっと大事なことに気が付きました。このモデルハウスのような家で長い時間を過ごすのか、シックハウスのような所で長い時間を過ごすのかによって、健康状態はだいぶ違ってくるのではないか、ということです。

夏は外から強烈な日差しを取り込まない工夫も必須だ。ブラインドやすだれは、室内側ではなく、外側につけるのがポイント。写真は川越モデルハウスの外付けルーバー(ブラインド)。

 

もちろん、省エネと快適性を両立した住宅の方法論はひとつではありません。低燃費住宅のグループ以外にも、全国にはいろいろな方法で省エネで、快適な健康的な住宅を作っている方たちがいます。ぼくとしては、今後も従来の建物の常識を覆してくれる住宅やオフィスを紹介していきたいと考えています。

 

また新築の戸建の情報ばかり届けても、誰もが新築の住宅を買うわけではありません。そこで中古マンションをリフォームしている現場にも足を運んできました。近いうちにリポートしますので、そちらも楽しみにしていてください!それではまた!

 

◆関連リンク

低燃費住宅宿泊体験の冬編はコチラ

低燃費住宅のWEBサイトはコチラ。見学や宿泊体験も可能。  

低燃費住宅代表・早田宏徳さんインタビュー(前編)  

低燃費住宅代表・早田宏徳さんインタビュー(後編)

 

◆高橋真樹の新刊好評発売中!

『そこが知りたい電力自由化〜自然エネルギーを選べるの?』(大月書店)

 

 

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