全国ご当地エネルギーリポート!

-エネ経会議・特派員:ノンフィクションライター高橋真樹が行くー

当サイト「全国ご当地エネルギーリポート!」は、「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議(エネ経会議)が主催するものです。著書『ご当地電力はじめました!』『自然エネルギー革命をはじめよう』で、全国で動きはじめた再生可能エネルギー(自然エネルギー)をめぐる面白い取り組みを伝えた、ノンフィクションライターの高橋真樹さんを特派員として派遣。各地でリアルタイムに起きているワクワクするような活動をつぎつぎと紹介していきます!エネ経会議についてはコチラ! 

ノンフィクションライター高橋真樹の自然エネルギーの書籍


『そこが知りたい電力自由化–自然エネルギーは選べるの?』
(著:高橋真樹/大月書店)




 電力自由化開始から1年。
 私たちの暮らしはどう変わるのか?
 原発や 自然エネルギーはどうなるのか?
 「どこが安いか」の情報の中で抜け落ちる
 価格より大切なこととは?
 電力自由化とこれからの暮らしについて
 わかりやすく伝える入門書



こちらから試し読みもできます。
 『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)

 ワクワクする地域や市民のエネルギーの取り組みを紹介!
 エネルギーを、ひとり一人の手にとりもどそう!
$全国ご当地エネルギーリポート!
    『自然エネルギー革命をはじめよう
           ~地域でつくるみんなの電力』


    紹介動画はこちら
 身近な素材で風車や水車をつくろう!夏休みの工作にピッタリ!
 『親子でつくる自然エネルギー工作①風力発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作②太陽光発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作③小水力発電』
 『親子でつくる自然エネルギー工作④太陽熱&バイオ発電』
※テーマは各地域とあつかっているエネルギーの種類別に分類しています
※リンクバナーはこちら ご自由にお使いください

テーマ:

新年あけましておめでとうございます!2018年も、全国を飛び回って「ご当地エネルギー」のいま、これから、乗り越えるべき課題などさまざまな角度からお伝えしておきます。もちろんエコハウスをはじめ省エネについても欠かせません。

 

さて太陽光発電を中心とした各地で相次ぐ開発トラブルをどうすればよいのかというテーマでお送りする二回目です。今回は、トラブルの背景にある日本の土地利用をめぐる制度の問題や、ドイツの事例を紹介しながらどうすればこのような問題が改善できるかについて、ISEP(環境エネルギー政策研究所)の山下紀明さんに引き続き伺いました。

 

前編はこちら:どうする?急増するメガソーラーのトラブル

 

◆トピックス

・環境アセスは有効なのか?

・根底には土地利用方法の課題が…

・ドイツでトラブルが起こらない理由

・日本でも始まったゾーニング

 

 

◆環境アセスは有効なのか?

 

高橋:トラブルになる要因であり、解決のカギでもある2つの要素のうち、1つ目はFIT制度を改善することでした。では、トラブルが起きる背景の2つ目について教えてください。

 

山下:大きいのは、日本の土地開発をめぐるルールがきちんと設定されてこなかったという問題です。再エネに限らず、日本の土地の利用法は、土地の所有権を持っている人の自由度が圧倒的に高く、たとえ周囲の迷惑になるようなものであっても簡単には周りが止められない仕組みになっています。

 

例えば川の上流の人が土地を売って利益を上げる。でも工事によって土砂災害が発生した場合、その被害を受けるのは下流の人たちです。利益を得る人とリスクを引き受ける人が違うケースが多くても、土地を持っている人にすべての権利があるのが問題です。また制度として、市区町村が土地規制できるようになっていないので、もし自治体が強引に工事を止めた場合、開発者から訴えられると負けてしまう可能性があります。

 

高橋:自治体は環境アセスメント(環境影響評価)を適用して意見を言うことはできますね。

 

山下:確かに環境アセスで問題点が指摘されれば、強制性はないものの知事の意見などがつくので、開発のハードルは上がります。しかし環境アセスは、50ヘクタールの規模以下であればやらなくていいことになっています。およそ東京ドーム1個分ですね。事業者もアセスの正式な調査をするには時間とコストがかかるので、それを避けるために49.9ヘクタールの土地で開発している場合もあります。

 

これは制度が間違っていると思う人もいるでしょうが、日本の法律で他の開発行為には50ヘクタール以下はやらなくていいのに、太陽光だけは1ヘクタール以上はアセスをするとなると、特定の事業者だけ不公平ということになってしまいます。 

 

 

◆根底には土地利用方法の課題が…

 

高橋:問題は太陽光、あるいは再エネに限ったことだけではないということですね。

 

山下:「いまこれをやったら儲かる」という開発ブームは、実は10年に一回くらいきています。ゴルフ場だったりリゾート開発だったりするのですが、それがいま太陽光になっているということになります。かつてのゴルフ場やリゾート開発も問題にはなりましたが、社会全体としては止められませんでした。

 

土地利用と開発との関係を考える上では、いまたまたま太陽光が問題になっているから、そのためだけに規制をつくるのではなく、日本でもそろそろ土地開発をめぐってどのようにすべきか、ということを含めて包括的に検討すべきではないでしょうか。

 

 

高橋:土地利用をめぐる問題は根深いですね。現状では、行政が止めたい事例があっても難しいということになりますか。

 

山下:改正FIT法で法令遵守は義務付けられていますので、自治体が適切な条例を定めることは重要です。それが間に合わない場合に最大限できることとしては、自治体の首長(市長など)が認めないという姿勢を見せるくらいですね。

 

それでも、開発がすでに始まってしまったものを完全に止めることは(現行の法令上問題がない限りは)ほぼできません。あとはいくつか開発に関する条例をつくっている地域もあります。兵庫県内での大きな開発については、知事の同意が必要となっています。

 

◆ドイツでトラブルが起こらない理由

 

高橋:再エネ先進国のひとつ、ドイツではこのようなトラブルの話を聞きません。それは土地利用の方法が日本と違うからでしょうか?

 

山下:ドイツは、基本的に開発が不自由なんです。やっていい場所といけない場所がはっきりしている。たとえ土地を所有していても、国が決めた範囲にしか大きな設備は建てられないから、日本で問題になっているような何十メガとか何百メガという規模の発電所はほとんどできません。

 

再エネに関しては、国として2050年までにどれくらいまで増やすかという目標値と各自治体ごとにどのくらい導入すべきかという数値が連動するようにしていますから、開発に消極的なわけではありません。自治体はその数値も考慮して、自分の町でこれくらいやるなら、このエリアは開発するべきではなく、ここは適地として残すというようにゾーニングをしていきます。

 

高橋:開発できるゾーンを絞り込んでいくんですね。

 

山下:ドイツのゾーニングには、ネガティブマップとポジティブマップがあります。日本でもゾーニングをやっているケースもありますが、ほとんどはやっちゃダメなところ(ネガティブマップ)を決めるだけです。そして国としてどれだけ増やそうという方針が定まっていないので、単純に農地や市街化調整区域を全部ダメとかやってしまうと、どこにも建てられないという結論になったりする可能性もあります。

 

山下紀明さん

 

でもドイツは、ここには適地として進めようというポジティブマップもちゃんと作るんです。大枠は国でゾーニングしているのですが、そこから市町村が重ねて細かくゾーニングしていきます。ドイツは北部は風力が盛んです。農地に設置しているケースもよくあります。南は太陽光が比較的多くなりますが、屋根に設置しているものや他に使い道の無い土地がほとんどですね。

 

風力発電は必要な条件が多く、やれるところが限られているのでそれではっきりします。そして太陽光はたいていの所でできるので、余った所でしかやりません。ドイツでももちろんメガソーラーはありますが、例えば旧東ドイツの使われなくなった飛行場跡などにある。

 

日本のように山を切ってメガソーラーやるなんてありえません。日本は、山を切っても事業が成り立つ買取価格が付いていることもあってやってしまっているのですが、ドイツでそんなことをしたら自然保護法に抵触するでしょうし、仮に自然保護法がなくても大きな反対運動が起きてとても事業ができないと思います。

 

長野県のメガソーラー建設予定地の下流に流れる川は、農業用水など生活に欠かせない。設置の仕方によっては、水源の汚染や土砂の流入につながるケースも

 

◆日本でも始まったゾーニング

 

高橋:日本でも、そのような取り組みは始まっていると伺いましたが?

 

山下:北海道八雲町では、環境省のモデル事業として風力発電のゾーニングを進めています。風車が建てられる条件には、主に4つあります。まずは風が吹くかどうかという物理的条件、2番目に渡り鳥が通るかどうかなど自然環境条件、3番目は人への影響など社会的な条件です。

 

最後に、事業化ということを考えると近くに送電線があることも大切です。そういった条件でエリアを絞り込んでいくと、最終的にどこでできるかという判断は、地域性とか町や住民がそこに風車を建てることをどう考えるか、という話になってきます。同じ場所に建てるケースでも、人によって解釈の範囲が違ってくる。

 

例えば、いまはただの草地だけれど、町を開拓したご先祖様が住んでいた大切な場所に風車を建ててよいのかどうかという話があります。人によってはむしろそういう場所にこそ、新しい取り組みを始めるのに良いのではという意見もある。

 

そのような数字に現れないような部分も含めて、どういう土地の使い方をすれば受け入れられるか、という話を丁寧に進めていくことが大切だと思います。

 

最適な設置場所をゾーニングする例(提供:分山達也)

 

ただ、実際の合意形成は本当に難しいので、どんなに丁寧に進めても反対する人はいます。多くの人が賛成していても、もちろん少数派を無視していいわけではありません。とはいえ、一人でも反対していると物事が決められないようでは何もできなくなってしまう。

 

長い目で見て、その取り組みが町全体の思いになるのかどうかという判断は、ひとつひとつのケースですべて違ってくると思います。最終的に、反対している人が「心理的に風車は嫌だけど、お前らは信用してるよ」みたいに言ってくれるケースもあります。

 

高橋:ゾーニングの取り組みもまだまだ始まったばかりです。これから日本がやるべきことは多そうですね。

 

山下:はい、事業者がきちんとすることはもちろんですが、現時点では制度的な不備がいろいろあることは確かなので、国と自治体は時間をかけてでも土地利用法について取り組んでいくべきでしょうね。ISEPとしても、問題のある事例を調査しつつ、そういった例を少しでも減らせるように提言していきます。

 

また一口に「再エネ」といっても、きちんとしたものからずさんなものまでいろいろあります。反対運動の中にも、まっとうなものから、必ずしも的を得ていないものもある。一般の方はそれらを見極める視点を持って、賢い消費者になるしかないのかなと思います。

 

懸念していることのひとつは、乱開発などが起きていることで、再エネを全否定するような極端な人たちが出てきてしまっていることです。どんな設備だって「夢のエネルギー」などということはありえません。そのうえで、より良いものを選ぶとしたらどうするのか、ということを一緒に考えてもらえたらと思います。

 

ドイツでは、国が力を入れて一般の方向けに再エネのQ&Aサイトをつくっています。ISEPでもいまつくろうと準備をしているところです。

 

高橋:どうもありがとうございました。簡単な解決策はありませんが、ひとつづつ、事実を踏まえた上でどうすれば将来の地域のためになるのか、という議論を続けていくことが大切だと感じました。

前編はこちら:どうする?急増するメガソーラーのトラブル

 

※なお、ISEPはメガソーラー開発に関わるトラブルに対する提言として以下のような書面をまとめています。ぜひ参考にしてください。

資料はこちらからダウンロードできます

 

◆お知らせ

高橋真樹・エネルギーの講演予定(1月)

1/17 長野市「エネルギー×信州の地域力」

ぜひおこしください!

 

ご当地エネルギーリポートの筆者がブログで実況中継!

エネルギー効率の良いエコハウスに住んでみました!

高橋さんちのKOEDO低燃費生活

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

2017年も残りわずかですね。今年も一年、大変お世話になりました。自然エネルギーをめぐる状況も刻々と変化しています。残念ながら、再エネによる問題事例も増えていますが、年末年始にかけて、そのあたりを掘り下げて考えていきます。

 

日本各地で大規模な太陽光発電事業などの開発をめぐり、トラブルが相次いでいます。ISEP(環境エネルギー政策研究所)の山下紀明さんは、そのような問題になった事例を調査し、自然エネルギーの設備の設置が適切な形ですすむよう、国や自治体、事業者に提言を行っています。開発をめぐってトラブルが起きる背景には何があるのでしょうか。また、欧米の事例を参考に自治体はどのような対策をすればよいのでしょうか?前後編に分けてお伝えする1回目は、乱開発の実態とFIT制度の課題についてお伝えします。

 

◆トピックス

・外部の事業者による乱開発か?

・地元の反対で撤退した事業も

・FIT制度がもたらしたずさんな開発は、今後減っていく?

 

ISEPの山下紀明さん

 

◆ 外部の事業者による乱開発か? 

 

高橋:さまざまな規模のトラブル事例を調査されていますが、どのような事業者に多いのでしょうか?

 

山下:よくイメージされるのは、地域外から来た事業者が乱開発をするというものですが、開発をめぐるトラブルという点では必ずしも当てはまりません。私たちの調べた50件のトラブル事例のうち、15件くらいは地元の土建会社がずさんにやっていました。もちろん、外部の受注を受けて地元業者が工事をしているケースもあるので、はっきりと分けられるものでもありません。「ご当地エネルギー」の取り組みのように、地域密着型でなおかつ公益的な意識でやっている所が増えればよいのですが、まだまだ少数派というのが現状です。

 

傾向としては、地元業者の中でもともと再エネを手がけてきた事業者がもめるケースは少なくて、ここ数年でできたベンチャー企業とか、異業種からの参入者が強引な開発をすることが多い。長年やってきた所はどういう点を抑えるとうまくできるか、ということがわかっているのですが、新規参入だとそれがないからでしょう。山を切り開いて、その土砂で沢を埋めるような工事をしているのは、たいていこういう事業者です。そうなると土砂が流出して、雨のときに増水が心配だという声があがります。 

 

50件のうち、もめていても半分くらいはそのまま事業が進んでいます。つまり反対者の懸念を反映していない事業です。残りの半分は、中止になったケースと、反対している人たちの納得する形で粘り強く交渉や措置をしたケースになります。

山の斜面に設置されたずさんな事業

 

◆地元の反対で撤退した事業も

 

高橋:撤退したケースと交渉の末、懸念点を対処しながら進めているケースには、どのようなものがありますか?

 

撤退した事業で一番規模が大きかったのは、長野県富士見町で計画していたR社のケースです。地元の反対運動のグループが粘り強く活動したのも大きかったと思います。自治体(富士見町)の方でも、もともとあった環境条例を基に、周辺地域の合意がないと認められないという立場を取りました。土地の所有権をもっている人は賛成していましたが、周囲の4つの自治区が反対決議をしたので、撤退したということになります。会社としては、そこまで反対されて事業をすすめるのはリスクが大きいと判断したのだと思います。また、大手の事業者だったので、ここを撤退しても他にも数多くのプロジェクトを抱えており、そこまでこの事業にこだわる必要性もなかったのかもしれません。

 

対応しながら進めている例は、大手商社のM社が、九州でメガソーラーを計画したケースです。その土地は、工業団地用に自治体が造成したのですが売れなくなり、結果的に植物が生えてビオトープになりました。そこにメガソーラーができるというので地元の環境団体は反対したのですが、M社は話し合いの末、開発によって貴重な生物が減るかどうかのモニタリングを、環境団体と一緒にやることにして話がまとまりました。意外に思われるかもしれませんが、都市部の大手企業は比較的ちゃんとしているというか、事業のツボを抑えている事が多いですね。過去にいろんな開発をしてきたので、知見が積み重なっているのだと思います。

 

◆FIT制度がもたらしたずさんな開発は、今後減っていく?

 

高橋:このような問題事例やトラブルになる開発が増えている要因は何でしょうか?

 

山下:大きく分けて2つの要因があります。ひとつは、FIT(固定価格買取制度)によってこれまで儲からなかった再エネ事業が儲かるようになっていろんな事業者が参入しました。しかも制度が緻密に設計されていなかったために、丁寧に向き合うよりもずさんな開発の方が、手広くやったほうが儲かる仕組みになってしまっています。

 

長野県諏訪市のメガソーラー建設予定地に流れる川。予定ではここも埋め立てられる。

 

また、制度に関連するのですが、実際に設備が計画通りにできているのかをチェックする仕組みがないことも問題です。書類上ではちゃんとやりますとしておいて、手抜き工事をしてもバレにくい。風力など他の再エネの設備は、たいていは大きいし数も限られているのでそういうことが起こりにくいのですが、太陽光は小さいものがたくさんできているので、対応が不十分になってしまっています。制度の問題だけではなく、発注する側の問題もありますが、今のところ大きな業界団体がないので、業界としてやっていこうという形になかなかならないのが現状です。

 

※ISEPは、FIT制度について以下のような改善の提言を出しています。

 FIT制度:平成29年度以降の買取価格および制度改善への提言(ISEPホームページ)

 

 

 

高橋:FITの買取価格は毎年下がっていますから、今後はこのような乱開発は減ってくると考えてもよいのでしょうか?

 

山下:確かに、今後は本気でやろうという所しか残らないでしょう。これまでは、新規参入の数が一気に増えて、経験がなかったためにずさんな工事をしてトラブルを起こすケースが増えました。そうした目先の収益しか見ていない安かろう悪かろうという事業者は、今後はある程度自然淘汰されて減っていきます。

 

ただ、これから工事が計画されているものの多くは、設備認定の権利を2013年や14年の売電価格が高いときに取得したものです。これらはいろいろな理由で、まだ施工していないけれど、その価格で売れる権利だけ持っているんですね。

 

それでいまは太陽光パネルの価格も下がってきているし、施工も慣れてきたということで、今つくるとすごく儲かるんです。自分のところでやらずに、土地だけ抑えて売る業者もいるので、粗雑な開発が進められる可能性は十分にあります。制度としては、所有者が変わっても価格は維持されるので転売が繰り返されている場所もあります。制度的にはこれも問題ですね。

 

高橋:今後はFIT制度を改正し、そうしたおかしな状況を変えていく必要がありそうです。ただ、山下さんは、FIT制度を改正すれさえすれば、このような乱開発が防げるとは限らないとも言います。2017年の最終回となる次回は、乱開発が起きる2つ目の理由である、日本の土地利用をめぐる課題について紹介します。

 

◆お知らせ

 

ご当地エネルギーリポートの筆者がブログで実況中継!

エネルギー効率の良いエコハウスに住んでみました!

高橋さんちのKOEDO低燃費生活

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

前回に続き、中古マンションの断熱リフォームを手がける、今泉太爾さんのお話を紹介します。今回は主に、断熱リフォームのコストをどう考えるかについての話を取り上げます。年間で200件から300件の断熱リフォームを実施している今泉さんは、目先のコストだけではなく、暮らしの質についてのコストも合わせて考えるべきだと語ります。後編は、インタビュー形式でお伝えします。

 

今泉さんがリフォームしたお部屋。デザイン性はもちろんだが、本当にさがつくのは目に見えにくい部分。

 ◆トピックス

 ・断熱リフォームにかかる費用は?

 ・窓が結露しない価値はいくら?

 ・コストは判断基準のひとつでしかない

 

 ◆断熱リフォームにかかる費用は?

 

 高橋:断熱リフォームの費用は、どれくらいを考えればいいでしょうか?

 

 今泉:戸建だと広さによって大きく替わりますが、マンションの断熱リフォームの場合、断熱にかかわる金額だけで言えば、窓がおおよそ30万円から60万円程度。壁の断熱は外に接する外壁だけを考えたケースですが、20万円から40万円の範囲です。

 

今泉太爾さん

 

壁の場合は、実際にはいったん剥がして戻す工事が加わるので、それを合わせると200万円ほどを考えたほうが良いでしょう。そのため断熱リフォームのためだけに工事をするというよりも、リフォームするタイミングで断熱材を入れるのが合理的です。

 

 ちなみにこのマンションの部屋(千葉県浦安市/前編参照)は、外壁の断熱もした上に、壁の内部でかなりカビが繁殖して傷んでいたこともあり、徹底的にリフォームをしました。キッチンや部屋の改修など、断熱以外の部分も含めて大幅な工事をしたので、合計で1000万円代のリフォーム費用がかかっています。

 

まるごとリフォームしたため、リフォーム前とでは部屋の配置も様変わりした。

 

その全体の費用からすると、断熱にかかる費用というのは微々たるものです。 断熱リフォームはコストアップの価値をどう考えるか、ということが大切です。寒さ暑さを改善して、結露やカビを減らす健康的な暮らしをするのに、窓なら30万円程度、壁でも30万円程度で大幅に効果が上がるのがわかっているのだから、やらない理由はありません。

 

良い素材を使えばもちろん多少のコストアップはしますが、私は30年スパンで考えて、抑えるべきところを抑えながら、必要な所にはちゃんとコストを掛けたほうが良いと提案しています。

 

高橋:断熱とコストの関係は、「先行投資」と考えることもできますね?

 

 今泉:その通りです。窓や壁を30万円ずつ(合計60万円)かけてリフォームするとします。そのことで年間の光熱費を10万円程度削減できたとすれば、およそ6年間で回収することができます。そして、7年目からはプラスに転じます。このマンションの部屋で、5台あったエアコンが1台で済んでいることからわかるように、設備更新費と光熱費の削減量というのは大きいですね。

 

断熱への投資は単なる出費ではなく、先行投資の意味合いも。

 

さらに、30年くらい先までは手をいれることなく、数字に現れない快適性や健康度がアップすることになる。総合的に考えると、確かに失敗しない先行投資と考えることもできます。 例えば内窓を付ける場合は、目先の費用を考えてガラスはペア(2枚)ではなくシングル(1枚)でいいと言うお客さんがいます。

 

でも、コストは3割アップする程度です。何倍もするわけではありません。効果は何倍もアップしますが、コストは少しアップするだけなので、せっかく内窓を付けるならぜひペアガラスやLOW-Eペアガラスにして欲しいと思います。

 

 ◆窓が結露しない価値はいくら?

 

 高橋:断熱の価値は目に見えないので、コストを掛ける価値を伝えるのが難しそうですが。

 

 今泉:確かに、コストに比べて体験したことのない快適性はわかりにくいものです。だから最初は説明して納得してくれるまで時間がかかります。でも、私はこの8年ほど、100件以上の断熱リフォームをしていますが、お客さんから後で「断熱しなきゃ良かった」と言われたことは一度もありません。 特にコストパフォーマンスが良い窓については、きちんと説明すれば内窓をつけないという人はいないのではないでしょうか。

 

リフォーム前は5台だったエアコンが、1台で済むようになった。

 

マンションで30万円から60万円です。60万円としても家を購入した金額でいえば、月々の住宅ローンの支払いがせいぜい月1,000~2,000円程度増えるという話です。それくらいの金額は、金利の変動などの誤差で吹っ飛ぶ単位なので、それがどうしても払えないということはありえないと思います。それで快適性や省エネ性能は大きく上がるわけですし。

 

たとえば結露した窓を毎日拭かなきゃいけない手間がなくなるだけでも、月2,000円よりはるかに高い付加価値があると思います。 日本の住宅の暑さや寒さに対するスタンダードは、世界的に見れば凄くレベルが低いのですが、一般の日本人にはその認識がありません。変える必要がないと思っている人に伝えるのは確かに難しいことです。

 

毎日結露を拭く手間はいくら?数字に反映されていない隠れたコストも考えたい。

 

しかし、普通に暮らしていて結露したりカビが生えやすい家は、日本以外の先進国では「建築の不具合」だとして訴訟になってもおかしくないレベルです。日本だけは、そういう悩みを口にしても「住まい方ですね」なんて言い訳が通じちゃう社会になっている。 お客さんの寛容さに甘えすぎているんじゃないか、と思います。

 

業者によっては、中古マンションを売るときに壁のビニールクロスだけ新しいものに張り替えて売っているケースもあります。そして実際に生活し始めて1年くらいたって、壁の中がカビだらけだったとわかる。自分はプロとして、見なかったことにしてまた戻す様なな無責任な仕事はできないので、こういうことを説明しながらリフォーム工事をやっています。 

 

◆コストは大事、でも判断基準のひとつでしかない 

 

高橋:コストは見えやすいけれど、見えない部分の大切さは住んでからでないと気付かない人がほとんどなんでしょうね。

 

今泉:たしかに断熱材を多めに入れると少し高くなる。でも住まいは、人生でそうしょっちゅう買い換えられるものではありません。ご飯を食べに行って、失敗したら次は別のお店に行くというのは可能ですが、住宅の場合はそうはいきません。

 

もし一生に一度しかご飯を食べれられないとしたら、そのときコストだけで考えて400円の牛丼を選んで食べるんですか?ということです。ぼくは一生に一度の食事の機会で、400円の牛丼は選びません。本当に好きで選ぶのならば、かまわないと思いますが。

 

一生に一度の食事なら、400円の牛丼を選びますか?

 

もちろん予算は大切です。でも無理のない範囲で、快適な暮らしを追求することはできる。自分や家族がどんなものに囲まれて暮らすのが良いかを考えれば、「とにかく安ければ良い」ということにはなりません。その時の判断基準としては、コストは要素のひとつでしかないと思うんです。

 

 高橋:コストだけを気にしすぎることで、逆に損をする部分もありそうですね。戸建や賃貸の人でもできることはありますか?

 

 今泉:もちろんです。戸建はマンションよりも費用はかかりますが、それでも内窓を付けるだけなら100万円あればかなりできる。前回お話したように、北側の窓をやるだけでもだいぶ変わります。すでに家をお持ちの方にはぜひやってほしいですね。

 

 賃貸は、持ち家に比べると手を入れる部分が限られます。しかしできないことがないわけじゃありません。やはり内窓を付けるのは難しいことではありません。10年くらい住むつもりだったら、十分元がとれます。また、DIYで手を入れてもいいよ、という条件がついている賃貸物件を借りる方法もあるでしょう。

 

高橋:今はリフォームがちょっとしたブームのようですが、そのときに「断熱」という視点を入れていくことが大事になってきそうです。

 

今泉: 戸建てにもマンションにも言えることですが、壁紙がカビなどで汚れたら、上から新しい壁紙を貼って表面だけきれいにするのが今のリフォームの主流ですが、それでは原因が解決されていないので同じことが繰り返されるだけです。目に見えない壁の中にもしっかりとコストをかけて断熱リフォームをすることで、その後の暮らしの質が向上するのは間違いありません。

 

 高橋:どうもありがとうございました。2回にわたり、断熱リフォームについてお伝えしました。そろそろリフォームをとお考えの方は、見栄えだけではなく、夏は涼しく冬暖かい、カビの生えない気持ちのいい生活をめざしてみてはいかがでしょうか?

 

断熱リフォームにはお金をかける価値がある。リフォームの際にはぜひ考えてみよう!

 

前編はこちら!マンションの断熱リフォームで快適さアップ!

 

◆お知らせ

 

エネ経会議代表の鈴木悌介さんの著書、『エネルギーから経済を考える』が、価格をリニューアルしてエネ経会議出版部から出されました。

 

 

地域経済を考える上で、基本となるエネルギーを通してどうやってまちづくりをしていくのかが書かれた好著です。お問合わせはエネ経会議まで。

AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。