まず最初に、このお話は病院へ行くなと言っている訳では無いのでございますので、誤解のないようにお願いします。

一般診療をしていて思うのは、「余計な心配」をしている方が多く見られることです。わざわざ病院へ足を向けようと思うほどに不安になっているので、当然の成り行きだとは思います。不安に駆られてネットで情報を調べれば調べるほどに、知人友人の恐い話しを聞けば聞くほどに、健康テレビ番組で希な病気を自分に当てはめ、芽生えた不安はドンドンとかき立てられていくのです。

そして、不安の源を聞いてみると、余計な心配がかなりを占めていることに気づきます。


何が不安ですか? と、問えば、なにか変な病気になっていやしないか不安だとおっしゃいます。漠然としております。脳外科の外来では「認知症になりますか?」というのが多いです。そんなことは頭部MRIでも分かりゃあしません。構造を見て機能は写りませんから。あらゆる機械で調べても分かりません。いっそ、頭を空けて脳の一部を採取して顕微鏡で確認しますか? 甘いスイカを判別するみたいに叩いたり水に浮かべてわかればいいですけど。

なるかどうかも分からない認知症。
なったとしても治す事は不可能な医療。
だから或る意味なった者勝ちなんです。
迷惑をかけていることすら分からなかったりします。
やっぱり嫌ですね。
ならば、ならない努力をしましょう。
日々。。。

参照:◆ 惚け防止には農業:前編後編

なるかどうかも分からない漠然とした不安を抱えながら毎日を過ごすことが幸せなのかを考えましょう。

これが余計な心配。心配したところで何も変わらない。ロシアのように自分の上に隕石が落ちてきたらどうしよう。そんな感じ。


危機管理とは何でしょう。
不測の事態に備えることです。

地震に備えて水や食料の確保、カセットコンロとガスの確保。冬場の防寒グッズ。雨合羽。いろいろございます。

交通事故に備えて安全運転を行います。どんな時も全席シートベルトです。交差点の歩道に立つときは車道ギリギリに立ちません。

泥棒に備えてバッグは車道側では持ちません(これ、あんがい難しい)。戸締まりはしっかり確認。火の元も確認。出先ではバッグを椅子などに置き去りにせず必ず持ち歩きます。

病気に備えて保険に入ります。自然治癒力を最大限発揮できるような生活を心がけます。食材を選びます。腸内細菌を愛します。抗酸化します。抗炎症します。整体行きます。温泉行きます。いろいろします。

それでも、天災は起こるし、事故は起こるし、泥棒には入られるし、病気にもなります。日頃からできる危機管理を精一杯行うこと。ただ、それだけ。なるときはなる。なるかどうかも分からない漠然とした不安を持つ必要はありません。

大学受験の勉強を限界まで行って合格したら「あれだけやったんだから当然さ」になりますが、ぜんぜん勉強しないで不合格でも「落ちて当然だよ」になります。問題ありません。精一杯の努力をして駄目だったとしても、駄目だったところを洗い出し、精一杯やり直す。この繰り返しです。勉強もしないで「落ちたらどうしよーーー」という人を見て、貴方はどう思うのか。

話を聞いてみると、漠然とした不安を抱えて生きている人は、危機管理をしていない人に多いようです。日々、精一杯生きていない。だから不安になる。当然の成り行きなのかな~ なんて 思ったりも します。