私の住んでいる地域では、


日に日に太陽の出ている時間が短くなり、


気温も下がってきております。


「不滅の太陽」を実感できる、


冬でも暖かい土地に行ってみたいものです。


さて、今日も少しでも皆様のお楽しみになればと祈りつつ、「ジアルの日記」をお贈り致します。


 「2385221日。今日は編集部の同僚が、『ボーナスが出たから、みんなで飲みに行きましょう。奢っちゃうわよ。』と言うので、仕事が終ってから編集部のみんなと居酒屋に行った。彼女はハイピッチで飲み、上機嫌で話し続けた。飲み始めてから1時間程経った時に、彼女は打ち明け話を始めた。お気の毒と言うべきか、頑張ってねと言うべきなのか、対応に困る理由で彼女は飲んで騒いでいたのだった。彼女がかなり壊れた発言を始めた上に、動きが鈍くなって来たので、家に連れて帰ろうとしたのだが、彼女は自分では立つのが難しい状態になってしまっていた。

『困ったわね、どうしようかしら。』と相談していると、

『お嬢さん方、お手伝いしましょうか?』と、聞き慣れた声がした。声のした方を見ると、エリムが立っていた。

『友達を家まで送って行きたいのだけれど、立てなくなってしまっているのよ。』

『分かった。タクシーまで連れて行くよ。』エリムが彼女を立たせて店の外へ連れ出してくれた。私がタクシーを止めて、3人でタクシーに乗って、彼女の家へ向かう。

『どうしてあんな若向きの店にいたの?』彼女が眠ってしまったので、私はエリムに聞いてみた。

『調査の過程でポーカーをしたら、結構勝ったんだよ。それで、会社の同僚と飲む事にしたんだ。たまには知らない店もいいだろうという事になって、若者の間で流行っている店に来てみたら、君がいた訳だ。ちょっと驚いたよ。』

『私も、貴方とこんな所で会うなんて思わなかったわ。』話しているうちに、彼女のマンションに着いた。彼女を揺り起こして、エントランスと自宅のドアを開けて貰った。

また眠り込んでしまった彼女をベッドに寝かせて、持っていたメイク落とし用のコットンで化粧を落としてあげた。

『君も家に送るよ。』エリムは言ってくれるが、

『一応、もう一度皆の所に顔を出すわ。さもないと、貴方と一緒にホテルに行ったと思われそうだもの。』私は答えた。エリムは暫く考えてから、

『考えてみると、私の同僚もそういう連中だったよ。じゃあ、もう一度店に行こう。』と言った。

待たせておいたタクシーに乗って、再び店に向かう。

『女性があんな風になるまで飲むなんて、珍しいね。何か有ったの?』と、エリムに聞かれた。

『彼女はね、2ヶ月前に、「他に好きな女性が出来た」って、彼氏に振られたんですって。そしたら、その人が付き合っている女性に、「他に好きな男性が出来た」という理由で振られたのだそうよ。』

『成る程、それは飲むに値する目出度い事だね。』

『そうかしら・・・』

店に帰ると、私の同僚達と、見知らぬ男性達が席を移して一緒に歓談していた。

『おやおや、私の同僚と君の同僚が一緒に騒いでいるようだね。』

エリムがそう言うから、みんな探偵なのだろうが、全然そんな風に見えない色々な星の人たちだ。よく見ると、ヴァルカン人と思しき男性が、ウィスキーのように見える液体を飲んで、ランファさんと笑いながら話している。私は食べ合わせが悪くて幻覚を見ているのだろうか?(多国籍料理の店では、たまに起きる事故なのだ。)

『ソーラー、私の恋人が事情を飲み込めずに驚いている。説明してやってくれないか?』エリムが、私を空いている席に座らせながら、その人に話し掛けた。

『恋人?この人がですか?』ソーラーと呼ばれた男性も、驚いた顔をした。しかしすぐに真顔に戻って、

『私はね、ヘルガード生まれのヴァルカンとロミュランのハーフです。浮浪児をしていた所を地球人に拾われて、住人の大半が地球人の植民星で育ちました。養父母はヴァルカンの名前を付けてくれて、ヴァルカン式の教育を受けさせてくれたのですが、結局私は地球人に近い性格に育ってしまったのですよ。ヴァルカンの武術だけは好きでしたけれどね。』と説明してくれた。

『この男は、我が社のエースの一人なんだよ。何しろ、ソーラーがヴァルカン人のローブを着て、ヴァルカン語で話すと、誰も探偵だとは思わないからね。格闘技も出来るし、頭もいい。』

『貴方にそう言われても、本気に出来ませんよ。』

それから暫くの間、みんなで楽しく話をした。エリムが席を立った時に、

『今日は本当に来て良かったですよ。ガラックさんの恋人はどんな人だろうという話で、会社はもちきりでしたからね。』と、ソーラーさんが話し掛けてきた。

『貴方たちは探偵なんでしょう?ガラックさんを尾行すれば良かったじゃないの。』ランファさんは言った。

『ガラックさんは、私たちに釘を刺しているんですよ。「尾行しても構わないが、私が尾行に気が付いたら、それなりの報復は覚悟して貰いたい。」ってね。ガラックさんは、うちの会社で一番の腕利きです。そこまで言われて、勝負に出られる命知らずはいませんよ。』エリムが戻って来た時に、ラストオーダーの時間になったので、飲み会はお開きになった。ランファさんとソーラーさんは、もう少し話をしたいと言って、別の店に向かった。

『ねえ、ジアル。先週はお互いの仕事の都合でゆっくり会えなかったから、今週の週末は、きちんとデートをしよう。明日は2人きりで飲まないか?』

『でも・・・』

『分かっているよ。デュカットに、男と2食も一緒にするなと言われているんだろう。だから、午後遅くから逢って、夕食を一緒に食べよう。それでいいだろう?』

『ええ、それならいいわ。』

『じゃあ、1500時に噴水の前で待ち合わせよう。』エリムはそう言って、家の前で私にキスをしてくれた。

入浴してから日記を書いているのだが、心配事はもう一つ有る。私はここまでお酒を飲んだのは初めてなので、明日には二日酔いになっているのではないかという事だ。明日のデートは大丈夫だろうか?」