今日は日曜日だというのに、


販促活動と物資調達活動に励む事になっております。


皆様は、ゆっくりお休みください。


それでは、今日も少しでも皆様の楽しみになればと願いつつ、


「ジアルの日記」をお贈り致します。


2385212日。今日は定刻で仕事を終えた後、家に帰って服を着替え、香水を飲んでから、ホテルのバンケットルームを借り切ったパーティ会場に向かった。

『どうしたの、ジアル?何時もと全然違うじゃない。』

『今日の君はキリッとしていて素敵だね。』知り合いの人たちも、何時もと違う目で見てくれる。ID交換を申し出て来る人も、何時もより多いようだ。ホテルの人たちの態度も、丁重なように思える。私は心の中でエリムに感謝した。

『貴女のようにジュエリーをさりげなくお洒落に着けて下さっている方を見ると、嬉しくなりますね。』今夜のパーティで12人目にID交換を申し込まれたトリル人の女性に、そう言われた。IDを見ると、いつも「ピオニー」に宣伝を載せて下さっている宝石店の店長さんだった。この店は、この惑星が連邦に加入した頃からの老舗だ。

『ちょっと調べさせて頂いてもいいですか?見ただけでいい物だとは分かるのですけれど。』

『ええ、どうぞ。』私はこの方の反応を不思議に思いながら、ブローチを外して渡した。その方は、宝石鑑定用のトリコーダーで、私のブローチをスキャンした。

『とてもいい物ですね。スミレの花びらは殆ど産出しなくなった地球のアイオライトで、葉の部分はベンタックスのグリーン・ガーネットです。これも希少価値の高い石ですよ。台座は純度の高いラチナムで、とても繊細なデザインですね。失礼ですが、幾ら位で購入されましたか?』トリル人の店長さんは、常に宝石が気になるらしい。プロの鑑だ。

『済みません、分からないんです。恋人からプレゼントされた物なので。』

『私の店で扱うとしたら、5万クレジットは下らないでしょう。その方は、貴女が本当にお好きなんですね。』

『有難う御座います。』エリムがプレゼントしてくれたのが、そんなに高い物だとは思っていなかった。彼が「普段でも使える物」と言ったので、普通の物だと思っていたのだ。しかし、こういう形でエリムの気持を知らされると、とても嬉しい。

このブローチをデザインした人が知りたいとレクラさんが仰るので、必ず聞いてお知らせすると約束した。

色々な人が話し掛けてくれるので、こちらも楽しくおしゃべりをしながら知り合いが増えて、とても有意義で楽しいパーティだった。これは全部エリムの助言と選んでくれた服のお陰だ。楽しい気分でパーティから家に帰った後、エリムの誕生日プレゼントの料理の内で、日持ちする物を作った。刺繍のハンカチの準備はもう出来ている。明日は、残りの料理と、お菓子も作ろう。エリムは特別な人だから。ミラさんから、エリムはイーストを使ったお菓子が好きだと聞いている。この事を話してくれた時のミラさんは、『エリムは手間がかかる割に地味なお菓子が好きなんだから。』と言っていたが、まんざらでもないような顔をしていた。エリムは本質が分かる人だという事だろうか?今日は遅くなってしまったが、とても幸せな一日だった。」


それでは、皆様も良い休日をお過ごしください。