4月に入り、


北の地も大分日差しも強くなり、


温度も上がってきて、


「不滅の太陽」を信じたくなるような心境になって参りました。


恐らく、古代ローマの人々も同じような感慨を持ったのでしょう。


それでは、今日もスタートレック2次加工小説、


「ジアルの日記」をお贈り致します。


「2385年1月5日。今日は母と一緒にのんびりと過ごした。

午後2時頃に、キラ大佐から通信が入った。



 『ジアル、この前の豆の話を聞かせて欲しい人がいるのよ。』キラ大佐は言った。

 『はい、分かりました。』よく分からないながらも、私は答える。

 ビューアーの前に、ベイジョー人の中年女性が現れた。

私がカーデシア人に近い外見をしているせいか、表情はあまり友好的ではない。

『レンティルの事について、聞かせて下さい。』事務的に話し始めた。

『私はベイジョー移民管理局の職員です。

ワームホールの向こう側の植民惑星で大規模な気候変動が起き、

今年の農業生産が見込めなくなりました。

連邦に食料の援助を要請しなければいけないのですが、

どのような食料を要請すればいいのか、管理局内で意見が分かれているのです。

その為の参考意見を、多くの方に求めているところでした。

その時に、キラ大佐から、貴女のお話を伺ったのです。

そのレンティルという豆について、詳しく話して下さい。』

そこで私は、レンティルという豆は、水戻し無しで15分で煮える事、

ベイジョー人である母も喜んで食べるので、ベイジョー人の味覚にも合うと思われる事、

価格も安い豆である事等を説明した。

『ベイジョー風の調理法にも合うでしょうか?』中年女性は、首を傾げる。

『大丈夫です。最近母は、レンティルのベイジョー風料理の開発に凝っていて、

いくつもレシピを作っていますから。』

『そのレシピを見せて頂けますか?』母の了解を取って、レシピのファイルを転送した。

『ご協力有難う御座いました。』暫くその女性と話してから、通信は終った。

ちょっといい事をしたような気がする。

 静かに昔の映画など見て母と時間を過ごし、

夕食を終えた後に、エリムから通信が入った。

『やあ、ジアル。いい一日だったようだね。』

『ええ、ゆったりと過ごしたわ。』

『私の方も、充実した一日だったよ。』

今日のエリムは、なんだか話すのをためらっているように見える。

『何か御用があるの?』

『君に手紙を書いたんだよ。暇になった時に、読んでみてくれ。』

『ええ、読ませて頂くわ。』当り障りの無い事を話して、通信は終った。

チャイムが鳴って、手紙が転送されて来た事が分かる。

ポストから取り出してみると、エリムの名前が書いてある

、封筒に入った手紙だった。早速開いて、読んでみる。

『トーラ・ジアル様。

 今日の夜にこの手紙を書いていると、「どうして食堂で書いているのよ?」と、ミ

ラに笑われました。さて、こんな事を書いている場合ではありません。用件に入ります。

 正直に言いますが、私は、自分とデュカット家との経緯を話した時点で、

君との交際は終わりになるものと覚悟していました。

しかし、いつかは君に話さなければならないと思っていました。

君は間違いなくデュカットの息女で、家族の事を知る権利と義務を有するからです。

 君がパルモールの事を聞きたいと言った時に、

来るべき時が来たと思いました。しかし、

絶対に取り乱すまいとも心に決めました。

君の記憶に残る最後の私の姿が、取り乱した様子であって欲しくなかったからです。

話が終わり、君を家まで送った時には、精神を鍛えた私といえども、

陽気に喋る気にはなれませんでした。

そして、君をどれほど大事に思っていたかに気が付いて、自分でも驚いていました。

その時です、君が次のデートの予定を聞いてくれたのは。

一瞬、自分の耳が信じられませんでした。

辺りは暗くなっていましたが、太陽が戻って来たように感じました。

生まれて始めての経験で、戸惑ったのですが、

嬉しさのあまり、上手く言葉が出てきませんでした。

表情を取り繕って、次のデートの約束をするので、精一杯でした。

 しかし、あの時は嬉しかったと伝えたかったので、こうして手紙を書いています。

有難う、本当に嬉しかった。あんなに嬉しい瞬間は、私の人生に今まで無かった。』

と、手紙の本文には書いてあった。そして追伸には、

『もし私と別れた後でも、何か困った事が有ったら、相談に来て下さい。

私は恋人としては不十分かもしれませんが、相談相手としてはかなり有能な人間です。』

と書いてあった。何一つ修辞法を使っていない手紙だが、

私の心に沁みる内容だった。ゆっくり考えてから、返事を書こうと思う。」


こんな感じでしょうか?

それでは、皆様も良い休日をお過ごしください。