昨日は仕事先に行くのに、


バスを乗り間違えて、


1時間も路頭に迷いました。


皆様も、バスにはくれぐれもお気をつけ下さい。


それでは、今日も少しでも皆様も気晴らしになるように、


「ジアルの日記」をお贈り致します。


 「2384年12月16日。


今日は仕事が終るのが遅くなってしまった。


急いで家に帰り、軽い夕食を済ませた。


そして昨日作った煮込み料理と食材を持って、


テインのお宅へ向かった。ドアチャイムを押すと、



『どちら様ですか?』というテインの声が聞こえる。

『トーラ・ジアルです。』

『ああ、今開けますよ。』

自動ドアが開くと、

少し驚いたような顔をしたテインが出ていらした。

『どうしたんですか、こんな時間に。』

『遅くに済みませんでした。お惣菜を持ってきたんです。』

と答えたら、

『それは有難う御座います。でも、エリムは残業でいませんよ。』と言われた。

『お二人のお食事を持って来たんですから、

どちらかがいらっしゃれば大丈夫ですよ。』

『貴女は本当にいい方ですね。

こんな年寄りにまで気を使って下さって。

まあ、エリムもいい歳ですけれど。』

と言いながら、テインはリビングに案内してくれた。

部屋が散らかっていないので、

ちょっと驚くと同時に安心した。

『部屋を散らかしていると思っていたんですか?』

私の心を見透かしたように、テインに言われた。

『私だって、エリムとミラが来るまでは

、一人でちゃんと暮らしていたのですよ。』

テインは、冷蔵庫に食材をしまうのを手伝ってくださった。

すじ肉の煮込みを温めて食器に盛り付け、

持って来た食材でサラダとスープを作って、

テインにお出しした。

『有り難く頂きますよ、ジアルさん。』と言って、

テインは美味しそうに食べて下さる。

『美味しいですね。』

『有難う御座います。今

、温かいデザートも作っていますからね。』

『それは楽しみだな。』世間話をしながら、食事は進む。

いつもながら、テインは私達位の年代の話題にも

易々とついて来るので、驚いてしまった。

 オーブンのタイマーが鳴る。


『さあ、出来ましたよ。』と言って、熱々のバナナヨーグルトプディングをテインの前に置いた。

『これは美味そうだな。』大き目の耐熱容器で作ったのに、

テインは全部平らげてしまった。

ダイエットは大丈夫なのだろうか?

『エリムの分は別に有りますから、

帰ってきたら温めて食べるように言って下さいね。』

後片付けをしながら、私はテインに言っておいた。

『分かりましたよ。必ず伝えます。』

テインが、今日のお礼だと仰って、

ミラさんのとっておきのレッドリーフ・ティーと、

デラヴィアン・チョコレートをご馳走して下さった。

『遅くなってしまいました。そろそろ失礼致します。』

台所でお茶の道具を片付けているテインに声を掛けたら、

『ああ、送っていくよ、イリアナ。』と返事をされた。

『イリアナ?』思わず聞き返すと、

『済みませんね、昔の知り合いを思い出してしまって。』

何でもない事のように、テインは答えた。

しかし、心の中では相当に動揺しているらしく、

外套を着て靴を履く時に、

靴べらを取り落としてしまった。

イリアナとは、誰なのだろうか?

『あの、こんな時間に出歩いて大丈夫なのですか?』

外に出てから、ちょっと心配になってテインに聞いてみる。

『体の事ですか?それなら心配有りませんよ。

セキュリティを心配されているのなら、それも無用です。

私はプロの殺し屋でもてこずる相手ですよ。

そうは見えないでしょうけどね。』

『ええ。』と思わず答えてしまって後悔したのだが、

テインは声を立てて笑った。

『いやあ、正直な方ですね。

貴女のような方がエリムと付き合っているのは奇跡だ。

その資質を大事になさった方が宜しい。

正直さというのは生まれ持ったもので、

後から身につけられるものではないのです。』

『はい、有難う御座います。』

テインが仰る事だけに、重みがある。

『ねえ、ジアルさん。

出来ればエリムを見捨てないでやって下さい。

あいつは貴女に夢中だ。』

家が近くなった時に、冗談のようにテインは仰った。

『でも、友達だった頃とあまり変らないお付き合いですよ?』

『それが、あいつが執着している証拠なんです。

エリムは自分が大事に思っているもの程、

何でもないように振舞います。

大事なものだと悟られて、他の人間に取られないようにね。』

『エリムを見捨てたりしませんわ。』と答えたが、

そんな行動様式を身に付けてしまうなんて、

とエリムが気の毒に思えた。

『有難う、ジアルさん。』

テインは、カーデシア式の握手をして下さった。

そして、私を家の玄関まで送って下さって、

迎えに出た母に大袈裟な位私を褒めて下さった。

 母と話しながら、

ベイジョー風のミートパイを焼いた。

父の好きだったベイジョー料理だが、

テインとエリムは気に入って下さるだろうか?

明日がちょっと楽しみだ。」

こんな感じでしょうか?

皆様も良い休日をお過ごしください。