BREXITの衝撃 | 多摩川マラソン日記

BREXITの衝撃

先週の国民投票で、イギリスがEUの離脱を決意しました。
EUに取って、大きな衝撃です。
戦後生まれた統合への夢。
EUの政策に関係の少ない問題(政治への不満、失業、貧富の格差、移民の増加)が焦点となり、離脱が残留を上回り、キャメロン首相の儲けが敗北に終わった。
とても残念な結果です。

焦点となった移民問題
近年、EUの移動の自由を利用して、東ヨーロッパからの移民(イギリスの場合はポランド等)がかなり増えています。
また、EU外からの移民・難民も多いです。
シリアやイラク、アフガニスタンやパキスタン北部の紛争等から。

それで、この移民の増加は本当にEUが主な原因でしょうか?
データを見ると、一番多いは、EUの国からでは無く、旧帝国からの移民。
1  インド (旧帝国)
2  ポランド (EU)
3  パキスタン (旧帝国)
4  ナイジェリア (旧帝国)

海外在住のイギリス人もEUの移動の自由を使っています。特にスペイン、フランス、ドイツに移住する中高年が多いです。
スペインだけで、75万人!
しかも、6割は45才以上。年金生活者が、物価の安い南ヨーロッパに移住する傾向が有ります。特に不動産の価格がイギリスと桁外れなので、イギリスでは買えないマイホームを老後の為にフランスの観光地、スペインのリゾート地に買うイギリス人が多い。
年金生活者が多い為、経済の活性化には余り繋がらないけど、場所によっては過疎化に歯止めの要因に成っています。


離脱勝利も残留(BREGRET)?
離脱の勝利で後悔した国民が多い見たい。株が暴落、バウンドも暴落、大きな金融機関のEUへの移動の動きも発表。そこで、残留への道を探す政治家や市民団体が多いです。国民投票には強制的に執行する法的権限は有りません。しかも、議会の大半の議員が残留を支持していたので、リスボン条約50条に基づく離脱の正式申請を阻止出来ます。
個人的に、離脱が大きな誤りだと思っています。しかし、国民投票を行った以上、その結果を受け入れるしか有りません。政治への不満も今回の結果の大きな引き金です。その状況で、民意を問い、その民意の決断を無視する事は、理論上、道徳上、そして「民主主義」の理念にも反しています。
更なる政治不信を生む材料に成ります。
誤った選択で多くのエリートが推薦してい無かった離脱の苦い薬を味わう事で、「民主主義」の「投票への責任」も覚える有権者も多いと思います。「選挙に行ってもなにも変わらない」とよく聞きますが、変わる時有ります。後悔する人が多いなら、その教訓が残ると思います。


イギリスの解体
今回の選挙ではスコットランドが全国の離脱と異なって、圧倒的(62%、しかも全て選挙区での勝利)に残留を選んだ。
2年前の国民投票で、イギリスからの独立にNOを選んだばかり。しかし、EUの中での選択でした。
既にスコットランド首相のニコラ・スタージョンは、EU支持を表明したスコットランド人の意思を尊重し、スコットランドをEU内に留めることに全力を注ぐと公言した。
早い段階で、イギリスのEUの離脱交渉と平行して、スコットランド独立兼EU加盟への道はあり得ると思います。
また、スコットランド同様、北アイランドも残留を選んだ。スコットランドの動きを見て、離脱の混乱が続くなら同じ道を選ぶ(又はアイランドとの統合を選ぶ)かもしれない。


ロンドン金融機関への打撃
「The City」に取って、今回の離脱が大きな衝撃です。それは、ユーロでの取り引きの特別許可を失う可能性が異常に高い。
既に複数の金融機関がフランクフルト等に数千人規模の移動を発表しています。
今回の離脱は、ロンドンの立場をシンガポール並みに変えます。EU外なので、EU諸国との取り引きには適しません。しかも、パウンドでの取り引きになると、不安材料が増えます。
その為、一部の取り引きはフランクフルト、パリ、そして…エジンバラに移ると思います。

EUとの貿易協定が厳しい
離脱は、離脱を呼ぶ…
それを避けるためEU側が好条件を提示することは有り得ないです。
現在無関税でイギリスからEUへ輸出出来ますが、当然それも消えます。失業の多い国々に取って、イギリスからマーケットを奪うチャンスとして見ている企業も多いはず。
また、EU外からの設備投資に関しましては、英語圏のイギリスが人気高かった。しかも、最低賃金が低かった。
しかし、関税の壁が現れたら、アイランドや東ヨーロッパ等、他の選択になるでしょう。

なお、勿論イギリスに取って、離脱は悪い話しだけではないはず。色んな国々と直接貿易協定を結ぶことが可能に成ります。例えば、カナダ、中国、インド等。
また、通過のコントロールもより自由に成りますので、特にEU側で大きな危機が訪れた時にその影響を和らぐ事が出来ます。しかし、得する点より損する点が多いいと思います。


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