水中での身体図式 | リハビリ茶屋

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リハビリテーションを勉強し始めてから考えられるようになった、水の中での身体のこと。


まとめてみました。





【水中での身体図式】



水中での自己身体の認知は、筋出力に対する四肢・体幹に感じる水の抵抗や流動感、水面上から見える視覚情報を統合し、体軸を調節(姿勢制御)している。


久々に泳ぐプール内で想像よりも動けない自分の歯がゆさの背景には、無意識下での「現役時代の動き」という枠組みBody Schema)が関与していると思う。







教科書を読んでもすぐに泳げるようにはなるわけではないように、運動学習には「動くこと」が必要


水中では、筋出力(上・下肢の運動)に対する水の流動的な抵抗感や圧が、皮膚や筋膜を伸縮させFeedbackされ、コピー&エラーの繰り返しで運動企画と出力が自動的になされていく。







水球のOB選手は、水の特性(水中で動く特徴)を現役選手よりも多く経験をしている


感覚運動経験が多いのである。


体力は少ないながらも、現役選手と何とかOBが試合を展開できるのは、


自分の筋出力に対してイメージしていた水の抵抗感とは異なるfeedback、すなわちミスマッチを即座に、現在の環境状況に合わせた修正(自己身体の枠組みを更新すること)が出来るからではないだろうか。


そして微細な感覚入力と出力を調節しながらまた動いていく。









要するに、動けるOBはエラー修正力が早いのではないか。あくまでも仮説です。


しかし、体力がそれに付いていかない!そんな場合は、見事に現役にやられます。苦笑


(昔の栄光にいつまでも頭の中でしがみ付いてるな、という痛恨の体験です。)











では、水中でのコア・コントロールの部位はどこになるか?



シュートやパスが正確になるには、体軸が安定している必要がある。


体軸を安定させられるから効率よく脚を巻くことが出来て、強い脚力を水中で発生させられるのか。


それとも、その巻き足が強いから体幹が安定するのか


どっちが先か。







私は今のところ、両面の要素が必要で、姿勢や状況判断によって第一優先安定部位を切り替えている気がします。


そのためには、水の感覚入力を皮膚や筋膜、筋紡錘が識別し、中枢神経系を介して筋出力へ切り替えていく能力が必要。


要は、水感覚に「慣れる」こと












先日の国体で、青柳勧(wikipedia )に久々会った時に、彼のヨーロッパ時代の練習からそのヒントを模索した。


彼曰く、「陸での体幹機能が水中でも同じ活用ができるとは思わないが、レスリングとかの練習をさせらましたよ」と。


「水中で体幹を鍛えるなら、メディシンボールでのパスの重さで、捻られる体幹を耐える」とか。


基本的な身体の回旋能力などの基礎は、ヨーロッパではジュニア時代から実施しているから敢えて大人では取り組まないのかも?ということ。







なるほど、結局は総合的に「水球の身体」を鍛えているわけですね、やはり。


水中に慣れ親しむ、という習慣は、水独特な感知力とそれに伴う身体制御力の向上を図り、


それが水中でのBody schemaの塗り替えを容易にするのではないかなぁ。







そんな疑問を、科学ベースでいつかは解明してみたいと思います。


そして、もっと効率的なトレーニングと、怪我のない身体作りを。



Masa