お深いオフ会001 | 駄犬は犬鍋に

お深いオフ会001

※この先の文章は、99パーセントの虚構と妄想と粉飾とおためごかしと……1パーセントの真実から、構成されています。

QUICKENING -胎動-
AD2005/9/23(SATURDAY)
Point-KAIYODO

 その時、私は走っていた。
 理由は明快だ。急がねばならなかったからである。
 だが、その急ぐべき理由。それは不明瞭だった。
 全ては、私の手落ちから始まったとはいえ……
「───っ! 着いたっ!!」
 目的地の海洋堂は、血の通うもの、通わぬもの、あらゆる人型で埋まる、異種空間だった。
 ここには、初めてではない。だが、慣れることもない。
 いつ来ようとも、変わらぬ感覚。多くのヒトガタに囲まれ、そして自分すら、この中ではひとつの……
【???】「───アインさん?」
 振り向く。そこには、一人の男。
【アイン】「あなたは……私のお父さん……」
 私の眉間にめり込む、角度45°のメリケンチョップ。
【???】「集合に遅れて、しかも第一声がそれか!? うぬれこやつめ、痛い目見せちゃる」
 そのままもう腰が抜けるほどの甘く苦しい責め。
 頭が真っ白になった頃に、ようやく解放される。
【???】「まったく、初対面の相手を、なぜにこの俺様が堕とさねばならんのだ」
 私がむいむいやっていると、男殺しが自己紹介を始めた。
【かみしろ】「かみしろです。初めまして」
【アイン】「アインです。もうほんとごめんなさい。お願いですから世田谷スープレックスはもう勘弁してください」
 泣きつき、なんとかそれ以上の懲罰は免れた。

 かみしろさんに連れられて、海洋堂の中を進む。
 そしてその一角、特異な力場が形成されている場所で。
【かみしろ】「お~い、ぽこ嬢!」
陳列棚に下げられた商品に見入っていた、一人の女の子が、振り返る。
【???】「あ、しろ兄ぃ!」
ちょこちょこと駆け寄ってくる。
【???】「……しろ兄ぃ、その人は?」
そしてちょこんと小首を傾げ。
【かみしろ】「おう、今日の参加者の一人、アインさんだ。アインさん、こっちのちっこいのがぽこじょ、な」
【ぽこじょ】「ちっこい言うな!」
言うなりげしげしとかみしろさんの足に蹴りを入れる。
【かみしろ】「こんな奴だが、よろしくということで」
【アイン】「はぁ、よろしくです」
挨拶すれば子供のような蹴りをやめ、ぽこじょさんはじっと私を眺め。
【ぽこじょ】「……ロリコンの匂いがする……」
と、いきなり核心ど真ん中ストレート。
【アイン】「ソンナコトナイデスヨ? キョニュウ、タユンタユン、ワタシ、ウハウハ」
【ぽこじょ】「……」
無言で携帯を取り出す。そして、冷静にプッシュ。
【ぽこじょ】「……あ、もしもし? 黄色い救急車、大至急」
【アイン】「ごめんなさいかんべんしてください」
とりあえず、謝った。