私に『Laurens, SC (サウスカロライナのローレンス)にくれば?』と誘ってくれた、友人M科学記者による、皆既日食のレポート

 

さすが科学記者!

同じ日に、ほぼ同じ場所で皆既日食をみていたのに

観察力がいかに違うことか....

 

彼女にお願いして了承を得ましたので、

『友人科学記者による皆既日食レポート』をここに記載させていただきます。

 

皆既日食の思い出をさらに深いものにするためにも、貴重なこのレポートを読み返しながらあの時の神秘的体験を再び味わってみました。

 

 

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メモを元に、昨日の皆既日食の体験を書き残しておきたいと思います。

 

私たちが見た場所はサウスカロライナ州南西部のローレンス。

皆既日食帯の中心線にかなり近い場所にある農場でした。

自然に囲まれた静かな環境で見られたのがすごく良かったです。

 

 

午後1時10分頃、スティーブによると日食の開始時刻だが、日食グラスで見ても本当に欠けているのかよく分からない。

 

1時23分、明らかに右上の一部が欠け始めた。

 

2時、太陽はもう半分くらいの大きさに。スティーブが双眼鏡をうまく使って地面に置いた白い紙の上に映してくれた。半月型の太陽の中に二つの黒点も見える!

雲がかなり増えてきた。でも日食グラスを使えば太陽ははっきり見えるので問題ない。

 

2時過ぎ、「少し涼しくなってきたね」とレベッカ。確かに、木陰から日向に出ると、刺すようだった日差しが和らいだのを感じる。日向の芝生の上で図った気温は摂氏37.8度。日食の開始時より7.6度も低い。

 

2時25分、太陽はもう三日月ほどの細さに。気温は30.5度まで下がった。

大きな木がある農場の小屋の前から、空が見えやすい車道の近くに移動した。

太陽は雲で覆われていたが、肉眼で皆既日食になる直前の状態を確認できたのでかえってよかった。

 

 

2時38分ごろ、太陽は完全に月に覆われた。あたりは薄暗くなり、より涼しさを感じる。夕方でもなく、夜明けでもない、不思議な薄闇の世界。白いコロナに覆われた黒い太陽の周りに、星も幾つか輝いている。皆が興奮し、歓声を上げている中で、誰かが「静かに」と言った。日食の進行とともに聞こえだしたセミの声が、ひときわ大きくなっていた。

 

双眼鏡を借りて太陽の方角を見た。視界の中央を占める真っ黒な円の周りにコロナが広がり、激しくうごめいている。思わず息をのんだ。畏怖の念を起こさせる、どこか凶暴な美しさだ。

 

2分あまりたち、太陽の反対側が輝きだすと、空全体が急速に明るくなっていった。
興奮冷めやらぬまま、小屋の前に戻る。皆既日食直後の芝生の上の気温は26.7度。開始時と比べると19度近くも下がったことになる。


2時45分、太陽は三日月程度。すっかり明るいが、日差しが弱いせいか、すべての色彩が薄い。まるで白昼夢を見ているようだ。

3時20分、太陽は半分以上顔を出した。日差しはもうかなり強い。芝生や木々の緑もくっきりと鮮やかになった。気温は36.7度。セミの声はいつの間にか消えていた。