日本の家族はどのように変わってきたのか
「家族」はよく耳にする言葉ですが、
実は日本の法律や統計に「家族」とは何か、
という定義はないそうです。
「家族」の範囲は人により異なりますが、
必ずしも同居している人だけではなく、
子供が独立したり転勤したりして
別居しても家族と考えている人もいるでしょう。
国勢調査等ではその代わり「世帯」という言葉が使われ、
住居と生計を共にした人の集まり、または単身居住者と定義されています。
つまり「同居」して「生計が一緒」の集団を世帯として数えていることになります。
普通世帯数の変化を見てみると、
1920(大正9)年は 約1110万世帯 であったものが、
1950(昭和25)年は 約1660万世帯、
2005(平成17)年は 約4800万世帯 と増えており、
一世帯当たりの人数は1950年の約5.0人から
2005年には約2.6人に減って、世帯は細分化、少人数化してきています。
上記の「普通世帯」以外のケースとしては、
下宿や独身寮の単身者、自衛隊宿舎、
老人ホーム等で暮らす「準世帯」がありますが、
合計388万人、総人口の 3% に過ぎません。
グラフ1:普通世帯数の推移 (国勢調査)
グラフ2:世帯平均人員の推移 (国勢調査)
ここで、日本の家族の動向について問題です・・・・・・
1)最近、夫婦から生まれる子供数の平均は、30年前より大幅に減っている
2)婚姻届けをなかなか出さない夫婦が50年前より増えている
3)離婚する夫婦の同居期間は30年前の方が長かった
少子化、できちゃった結婚、成田離婚というよく聞く言葉の印象から言えば、
3つともYESのような気がしますが、実際には全て間違いみたいです。
それでは、何がちがうのか・・・・・・・?
■1つ目は・・・・・・
夫婦の結婚後15年間で生まれる子供数の平均は戦後1957年の3.6人をピークに
減少して1972年には2.2人になりましたが、以降ほとんど横ばいで2005年が2.1人です。
少子化の議論でよく出てくるのは「合計特殊出生率」という指標で、1970年に2.13人だった
ものが、急減して2005年には1.25人になりました。
これは合計特殊出生率が生まれた子供の数を15-49歳までの女性全員の人数で割る、
つまり高校生や独身OLのような結婚していない人を割り算の分母に含めてしまうからで、
晩婚化で10代20代の未婚女性の数が増えたので少なくなった、というからくりになっています。
グラフ3:合計特殊出生率と完結出生児数
人口問題研究所 出生動向基本調査
註:-2005年のみ調査間隔が3年、他は5年
■2つ目は・・・・・・・
1950年には1ヶ月未満で婚姻届を出した夫婦は17.9%で、1年未満でも75.5%。
2005年の1ヶ月未満が72.6%、1年未満が92.7%という数値よりもかなり低くなっています
(厚生労働省 「人口動態統計」による)。
昔は「足入れ」といって、嫁を迎えても家族になじみ、
子ができるまでなかなか届を出さなかったそうです。
■3つ目は・・・・
離婚夫婦の同居期間の平均を求めた統計があります。
1950年は5.3年、1975年は7.1年ですが、80年前後に急激に増加し2005年は10.4年です
(厚生労働省 「人口動態統計」による)。
昔は見合い結婚が多かったせいかもしれない、という話だそうです。
今後、日本の家族の動向はどうなるのでしょう・・・・・?
住宅を供給するもとしては、今後の動向が気になります。