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北方領土問題と為替市場について

当ブログの閲覧者の方はご存知の事かと思われるが、(当ブログでは)基本的に政治の事はあまり書かないようにしていて、それは自分が政治に疎く、というか日本の政治が自国通貨に大きな影響を及ぼす事ができない、と考えている事がその根底にあるわけです。

 

がしかし、安倍首相がロシアのプーチンに経済協力をチラつかせて北方領土の問題を解決しようとする姿勢は、今後の為替政策に大きな悪影響を及ぼす可能性高く、このあたりを行き当たりばったりで行動するという特質をもった我が国の首相がどのように考えているのかは知る由もない。以下、YOMIURI ONLINEから。

 

プーチン氏「北方領土きっと解決」…首相案評価

 

【ウラジオストク=寺口亮一、中島健太郎】ロシアのプーチン大統領は3日、極東ウラジオストクでの「東方経済フォーラム」で、安倍首相が提案したエネルギー分野など日露間の8項目の経済協力について、「唯一の正しい道だと考えている」と高く評価した。

そして安倍首相が北方領土問題の解決を呼びかけたことに対し「我々はきっと問題を解決する」と応じた。

----------------------------(以上、部分抜粋)

 

領土問題を解決しようとする姿勢自体を、決して批判するわけではないが、ロシアの手口に乗せられるような形でそのような姿勢を示す事に抵抗感を抱く方は多いのではないだろうか。問題はその対応になる。 国際法など無きに等しいロシアや中国のような国の侵略行為を容認するように見受けられ、第一、この事に関し米国が黙認するとは思えない。ロシアに特化した経済協力相を新設した時点で日本の行為をいぶかしんだ欧米先進国がほとんどだろう。

 

実績を残したいが為、あるいは表面上の国内世論を高めたい気持ちも分かるが、過去の外交交渉が物語っているように「保証のない賭け」にまたしても乗るのか。そのために「力での侵略行為」への批判スタンスを覆してよいのか。法の順守、といったスタンスは?

 

つい先日も韓国の財団に10億円を拠出した挙句(9月1日)、日本大使館前の慰安婦像撤去が実質上、受け入れられない事が議論になり、結局のところ交渉相手国の言いなりになっているという印象は拭えない。いつもの事だが国家間の交渉事にも関わらず「確約なき合意」になぜ乗るのかがわからない。

 

韓国の話は、日本の交渉事の微々たる1つであり、ロシアとのなりふり構わぬ今回の交渉も、益少なく損失多し、という事になる可能性が「十二分」に残される。日本はサハリン2で何を学んだのか? 今回の件で特に思うのは、一部日本メディアの楽観的報道姿勢になる。日本メディアは為替や米国の政策金利引き上げについてもそうだが、常に楽観的で異常なほど無責任だ。というか政策金利などの話に関しては無知に等しい。今回の件でプーチンが日本の山口にきたとして、それが領土問題の解決につながると考えるのは日本独自、特異な感覚だといえるかもしれない。よく首脳間で「個人的関係」が誇張されるが、国際的批判すら全く意にも介さないプーチンロシアにとって「山口訪問」が何になるというのだろう?

 

日本が米財務省の為替操作国モニタリングリストに掲載されたのは4月末の事だが、今回の交渉が進んでいくにつれ、「断固たる措置を採る」と言い続けてきた口先介入すらご法度になる可能性が高い。実際に、今回の件の起発点となった5月の日ロ首脳会談から財務相の介入措置発言はニュアンスが軟化しており、「用意がある」という麻生発言があった5月9日、米ドル108円からは円高が進行しているにも関わらず、指をくわえるのみで会合などのポーズを示すのが精一杯となっている。

 

日本は、為替介入などの市場への直接対応は当然の事、下手をすれば利上げを目論む米国からは自国における過去のQE無視、日本国内の量的緩和ですら何らかの禁止通達がくるかも知れない。当然ながら通達公表するのはFRBではなく、経済不調を為替市場のせいにする新しい大統領の下での財務省だからだ。(このままいけばその可能性はある) 

保証のない賭けに乗り、こちら側のみ合意内容を果たす。そして為替政策を講じる事もできず、日本は国際金融という大海の流れに飲まれるのみ。為替と北方領土問題は米国とロシアが絡んでいる時点で大きく関係している。