「9月FOMC」  -リーマン後、過ぎ去る4年- | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

「9月FOMC」  -リーマン後、過ぎ去る4年-

リーマン後、4年が経過しようとしている中で行われた「9月FOMC」では、市場の緩和期待に対し、(MBS追加購入)月額400億ドルペースという答えを出した。低金利の延長など、織り込み済みの政策について、細かい説明は不要だろう。


まず、「MBS拡大」は合理的な判断だといえる。長めの国債保有比率が拡大する一方で、SOMA保有の全MBS保有額は、2010年6-7月より縮小し続けているからだ。


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以下まとめ。


・住宅市場が回復の「兆しの兆し」を見せている今、「MBS追加購入」は、住宅金利を引き下げ着工件数を増加させる意図も含まれる。市場の流動性を考えた場合、国債市場とは違い、住宅市場の金利を引き下げる事はほぼ確実に可能だといえる。ただし、財政政策がFRBの政策に付いてこれないようだと、この作戦は空振りどころかバーナンキの言う「コスト」ばかりが目立ってしまう事になるだろう。


・市場関係者が気にしているのは、MBS追加購入という「QE3」の買取期間・規模になる。これについてステートメント では確実な期間を定めなかった。(ステートメントでは)あくまで労働市場の改善見通しが基準になるとの事だったが、バーナンキの記者会見では、債券買取停止時期についても言及したようだ。費用と効果を見極め、金融市場を守る準備も整っているとの事。(QEによる)弊害が出たときには債券買い取りを止めるとの含みを残した。これはジャクソンホールスピーチで強く言及した、「QE発動による個々のリスク」を意識している事が覗える。


・ステートメントでは、現行のオペと今回の「追加購入(QE3)」を合わせ月額850億ドルペースを強調している。現行のオペが「450億ドル・年末まで」という事を考えれば、MBS追加購入という「QE3」は、年末までは確実に実施するつもり、「現段階」ではそういう事になる。結果としてFRBのバランスシートは3兆ドル手前まで浮上する。


・その他、追加的緩和措置、いわゆる「QE4」についてはステートメントでも触れられてはいたが、米国債やMBS以外の一般債券買取となれば、議会の承認が必要になってくる場面も出てくる。これは彼自身が、ジャクソンホールで述べた事と明らかに矛盾する。


・バーナンキの記者会見からは、強い自信(意気込み)とともに、強い不安(緩和策の弊害)も垣間見られた。少々迷走しているように思える。8月雇用統計の結果が動揺をもたらしている事も覗えた。今までの一貫したスタンスが、ここにきて揺らいだ格好だ。共和党ではないが、彼は悪い意味で主役になる可能性が出てきた。


・リーマン後、ちょうど4年が過ぎ去ろうとする中での追加緩和策は、米経済が、景気後退から回復していない事をFRB自身の手によって証明した事にもなる。これについては様々な理由付けが可能だろうが、政策事実のみを見れば、「(社会から)取り残された人たち」を救い出せていない事は明らかだ。マネー量を注ぎ込んだとしても、雇用情勢が劇的に回復する事は無いだろう、金融政策のみ、1・2・3と連続実施しても、この状況は急転しない。 たとえば、フードスタンプ受給者が減少する兆候は、大規模緩和が行われてきた、ここ数年間で一度も見られる事は無かった。住宅金利のみ引き下がり、そのコスト(代償)ばかりが目立った結果となる可能性も考えられる。