「紛糾する6月」の基本シナリオ -金融政策と市場の温度差- | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

「紛糾する6月」の基本シナリオ -金融政策と市場の温度差-

ギリシャ動向に一喜一憂する市場では、様々な噂(政策動向)が流れている。


噂の対象はECBおよびFRBに関する政策であり、日銀緩和についても噂(期待)は流れているものの、優先順位を付ければ、日銀に関する噂は、前者2つの機関に遅れをとっているといえるだろう。


市場の関心は、欧米における中銀政策動向、そして月末に控える欧州サミットでの何らかのコンセンサスだ。


6月6日     ECB理事会

6月14‐15日  日銀会合

6月17日    ギリシャ再選挙

6月19‐20日  FOMC

6月28-29日  欧州サミット


自分は至るところでFRBとECBの政策動向について論じているが、最近ではテクニカルな細かい政策内容を解説する事が多い。特にECBの金融政策は、FRBと違い、各国民間銀行とECBの間に各国中銀をかましている事から、単独国家の金融政策とはちょっと事情が異なってくる。


現在の欧州では、公開市場操作の担保範囲も各国によって違ってくるし、最近よく言及する欧州決済システム、「TARGET2」に関しては、その事自体をもってのみ理解する事はできない。上記、欧州金融政策の構造を理解していないと、市場が勝手に噂する「LTRO-3」によって、なぜドイツの債権が拡大するのかなどは理解できないだろう。


ちなみに、LTRO、LTROと連呼されるが、市場で言っているLTRO(長期リファイナンスオペ)は3年物融資の事を指しているようだ。 しかし厳密にはレギュラーオペである3ヵ月物からLTROであり、主要リファイナンスオペ1週間が「MRO」、1ヵ月物は「STRO」と呼ばれる。

その辺の「称号分け」なんかが好きな人は、覚えておくと良いかも知れない。為替ブログなんかで、間違った使い方が目に付くので言及したが、言ってしまえば、これら「識別」に重要な意味は無い。


タイトルは、「紛糾する6月のシナリオ(中銀およびドイツ)」だが、結論だけいえば、欧州情勢が紛糾する中でも、FRBやECBに関する自分の主張は変わらない。やたらと更新しないのも、以前から主張している事が現実に継続されているからであり、細かい言及は必要ないからだ。


ECBはTARGET2の不均衡拡大、そしてギリシャ再選挙前という事で動きにくいだろう。さらには市場の乱高下とは裏腹に、ECBが現情勢に動揺している素振りは、自分には感じる事ができない。

そして、前回エントリーでも言及したとおり、FRBもECBと同様だ。昨年の雇用統計を見るFOMCと今年の雇用統計に対するFOMCの視点は大きく異なっている。雇用統計の悪化を金融政策に結び付ける発想は、「化石の発想」だといえる。


金融政策は進化している一方で、市場の考え方は形式ばったままであり、それに付いていけていない。相場の乱高下もそれに関係している可能性が高いように、自分の目には映る。少なくとも、ここ数カ月でその「政策と市場の二極化」は顕在化している。「市場の織込みが遅い」という訳だ。


投資家の方も、是非そのような慎重な目で見て頂きたい。金融政策の視点に付いていかなくてはならない。簡単にいえば「BLS雇用情勢は市場に過大評価されている」。 そしてそれは時代遅れ、というわけだ。


日銀は政策の有無に関わらず、その効果自体が疑われている事で以前ほどの関心を示されない。月末の欧州サミットにて、ドイツのスタンス変更に、金融政策同様、様々な噂が流れているが、一夜にしてドイツのスタンスが変わる事は無い。


当然ながら、ギリシャ再選挙の結果によって「何か」が変わるかも知れないが、現在市場が注目している主要各国・中銀の政策動向に関しては、これまで同様、堅実路線が変更される事はないだろう。それが「6月の基本シナリオ」になる。自分の目には、「慌てているのは当局では無く市場のみ」、といった風に映る。




>早朝の更新となったわけだが、「ステルスのような蚊」に刺された。音を出さない蚊ほど厄介なものは無い、 、