Update: 傾くEA
ギリシャからの火種がイタリアに転がり落ちたという事で、市場はサプライズに包まれた。
意外感はあるものの、イタリアとてPIIGSの一国であり、警戒はされていた。
自分がこの間、ギリシャ救済を「下落への助走をとっている 」と形容したのを覚えているだろうか?助走は長いほどパニックは大きい。EUの「高慢なツケ」を払う時が到来しつつあるのかも知れない。今まさに、見え透いた欧州の啖呵 が崩れ落ちようとしている。 危機が囁かれるスペインとて同様だ。
Bloombergに「イタリア国債利回り、破滅まであと2ポイント 」という記事があった。
イタリア10年イールドが5%超えとなった事に触れ、「ギリシャとアイルランド、ポルトガルはいずれも10年債利回りが7%を超えた後に救済を要請した」(記事)、というのが「あと2ポイント」の理由となっている。
これを具体的に説明すれば、EFSF からギリシャへの貸出金利は約5%で、アイルランドへは5.8%だった。それらの事から、欧州から「破綻国家」への貸出金利を「6%基準」で捉えると、市場での調達金利が7%に到達した時点で、「EFSFから借りた方が安い」という事になる。 よってこれらの理由から、(EAの国は)国債イールドが7-8%となった時点で「ゾンビ」と見做される事になる訳だ。 イタリアとスペインは、その「EFSF貸出金利」(6%)を今まさにプッシュしている。
さらにCDS市場に目を移すと、イタリアCDSは300bp、
スペインは350bpをプッシュした。
以前言及 したように、EUとISDAの思惑によるヘッジ市場(CDS)の「信用落ち」は、投資家たちの欧州ソブリン撤退にも繋がる訳であって、今起こっている欧州ソブリン市場の混乱は、そのISDAの軽率なアナウンスが引き起こした、という事もできる。
EA(ユーロエリア)という偽装した欠陥住宅は、今まさに目に見えて傾いてきた。ギリシャという外壁がひび割れを起こし、そこからの雨漏れがイタリアという柱を腐らせる。目に見えて傾斜してきたEAに、EFSFという「改修の手立て」は通じない。 EFSFは、当初よりギリシャやポルトガル支援までしか予想しておらず、今回起こった事はまさに想定外という事になるだろう。
これ以上支援するようなお金は、最早どこにも無い。賢明な投資家であれば、そんな事は当の昔に気付いていたはずだ。
追記: 米政府の雇用操作によるドル高阻止、ISDAによる信用事由の裁量的判断。これらによって、今回の円高のステージは上がったように思える。 QE後のドル高を、ある程度は予想していましたが、対ユーロではその通り。 ただしBLS雇用の操作はどうしようも無い。(ドル円の軟下)
まぁ長期的なドル崩壊、という軸のシナリオは崩していないので、今後どうなる事やら。




